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ハッブルが新発見!129億光年彼方にある史上最遠の恒星「エアレンデル」

宇宙ヤバイchキャベチ

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どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「ハッブルが新発見した史上最遠の恒星エアレンデル」というテーマで動画をお送りしていきます。

●これまでの最遠恒星「イカロス」

エアレンデルの新発見の仕組みや、それがいかに凄いのかを知るために、まずは単一の恒星としてこれまで最遠記録を持っていた「イカロス」という恒星を簡単に紹介します。

地球から何十億光年以上彼方の超遠方にある天体で、実際に観測できるのは、それ自体がとても明るい銀河やクエーサーだったり、超新星といった極めて明るい突発的な爆発現象である場合がほとんどです。

単一の恒星はほぼ確認できません。

ですがこれまで、その他の恒星とは群を抜いて遠い宇宙にて発見された単一の恒星が知られていました。その恒星の名は、「イカロス」といいます。

Credit:NASA, ESA, P. Kelly (University of Minnesota)
Credit:NASA, ESA, P. Kelly (University of Minnesota)

イカロスは地球から53億光年離れたMACS J1149+2223という銀河団がある方向にて発見されました。

画像右上のように2011年には一切見えなかった天体が、2016年時点でははっきりと映っているのがわかります。

この光源こそが、史上最も遠くで発見された恒星だった、イカロスです。

実際のところ、このように時期によって変化する光源のほとんどが超新星爆発などの極めて明るい天体現象です。

ですがこの光源の光のスペクトルを調べたところ、初めて確認された2013年から変化していないことが明らかになったそうです。

これは超新星爆発ではあり得ない特徴です。

この「時間経過とともに光のスペクトルが変化しない」という特徴から、この光源は超新星ではなく、後述する重力レンズ効果によって通常の約2000倍も明るく見えるようになった単一の恒星であると考えられています。

アインシュタインの相対性理論と実際の観測によって、重力によって空間が歪み、光が曲げられることが明らかになっています。

例えばブラックホールや銀河のような、大きな質量を持った天体の背後からやってきた光は、その進路が歪められることで、本来だと地球に届かない方向に放たれた光も地球に届くことがあります。

これが重力レンズ効果です。

重力レンズ効果が起こると、地球から見ると背後にある天体が通常よりも極めて明るく見えたり、複数個に分裂しているように見えたりもします。

Credit:NASA, ESA, P. Kelly (University of Minnesota)
Credit:NASA, ESA, P. Kelly (University of Minnesota)

特にイカロスの場合は銀河団MACS J1149+2223全体に加え、恒星や中性子星、ブラックホールなどの小さな天体による重力レンズ効果(重力マイクロレンズ効果)も合わさって、本来の2000倍もの明るさに見えたそうです。

このイカロスからの光は、実に94億年もかけて地球に届いたものと考えられています!

これはイカロスが発見されるまで最も遠かった単一の恒星の距離記録を実に100倍以上上回る、断トツの記録となっていました。

●史上最遠の恒星「エアレンデル」

それでは今回の本題です。

2022年3月30日とつい先日、NASAはハッブル宇宙望遠鏡によって、実に129億年前に放たれた単一の恒星の光を観測したと発表し、大きな話題を呼んでいます!

先述のイカロスより35億年も古いです。

Credit:NASA / WMAP SCIENCE TEAM
Credit:NASA / WMAP SCIENCE TEAM

宇宙の年齢は138億年とされているため、宇宙誕生から10億年もしない超初期の宇宙にあった恒星の光を観測しているということになります。

この新発見の恒星は「エアレンデル(Earendel)」と命名されました。

これだけ遠方にあって観測できる天体のうち、最小の構造は、せいぜい銀河の中にある比較的小さな星の集団である、「星団」程度でした。

これだけ遠くにある単一の恒星が発見できたのは、歴史的な快挙であると言えます。

Credits: Science: NASA, ESA, Brian Welch (JHU), Dan Coe (STScI); Image processing: NASA, ESA, Alyssa Pagan (STScI)
Credits: Science: NASA, ESA, Brian Welch (JHU), Dan Coe (STScI); Image processing: NASA, ESA, Alyssa Pagan (STScI)

そしてこちらが実際にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、エアレンデルが写っている画像となります。

左上にある明るい天体が、重力レンズ効果を発生させた大質量の銀河団「WHL0137-08」となります。

画面右上から左下にかけて伸びる赤い線が2本ありますが、点線ではない方が、重力レンズ効果によって引き延ばされ、明るく見えている背後の天体です。

そして点線の方が「焦線」と呼ばれる、重力レンズ効果によって特に明るく見える領域です。

引き延ばされた背後の天体のうち、ちょうど焦線付近にあったエアレンデルの光が特に強調され、単一の星として地球から見えています。

この効果により、エアレンデルは通常の数千倍も明るく見えていると考えられています。

観測データから、エアレンデルの質量は最低でも太陽の50倍、毎秒放出するエネルギーは太陽の数百万倍と、既知の恒星の中でも最高クラスにハイスペックな星であると推定されています。

ただしエアレンデルは連星系である可能性もあり、その場合は星のスペックも変わってくると見られます。

●ファーストスターである可能性

Credit:NASA_s-Goddard-Space-Flight-CenterCI-Lab
Credit:NASA_s-Goddard-Space-Flight-CenterCI-Lab

この宇宙は誕生直後は水素とヘリウムという最も軽い元素しか存在せず、それより重い元素(重元素)は全て、恒星内部で起こる核融合反応によって生成され、星が爆発することで徐々に宇宙にまき散らされたと考えられています。

つまり宇宙の年齢が高くなるほど、それ以前に星がたくさん死んでいるため、重元素の比率も高くなっていきます。

新たに誕生する恒星も、誕生した年代が遅いほど、恒星内部に存在する重元素の比率が高くなります。

エアレンデルは宇宙誕生から9億年後には既に存在していたため、超初期の宇宙で誕生した恒星であることがわかります。

つまり星の内部に重元素がほとんど含まれていないはずです。

もしくは、エアレンデルの内部に重元素が「全く」存在していなければ、エアレンデルは誕生以前に他の星が一度も死んだことがない、つまり宇宙で最初の世代の星である「ファーストスター」に分類されることになります。

ファーストスターは宇宙の歴史を明らかにするための非常に重要なピースであるため、世界中の科学者たちがそれを観測しようと努めていますが、これまでにその姿を捉えられたことは一度もありません。

可能性は低いとされているものの、仮にエアレンデルが重元素を一切含まないファーストスターであると判明すれば、天文学の歴史に残る大発見となるでしょう。

こういった背景があるため、エアレンデルがそもそも本当に単一の恒星なのか、恒星だとしたら進化のどの段階にあり、どういった組成なのかなどといった、より詳細な追加情報が極めて重要になります。

エアレンデルは今後数年にわたって重力レンズ効果によって非常に明るく見える状態が続くとされているため、今年2022年末には、去年末に打ち上げられた次世代望遠鏡ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡による追加観測が行われる見通しです。

Credit:NASA, ESA, B. Welch (JHU), D. Coe (STScI), A. Pagan (STScI)
Credit:NASA, ESA, B. Welch (JHU), D. Coe (STScI), A. Pagan (STScI)

エアレンデルは宇宙の歴史を紐解く重要なピースとなってくれるかもしれません。

今後もこの天体の研究が進み、新情報がもたらされるのが楽しみです!

https://www.nasa.gov/feature/goddard/2022/record-broken-hubble-spots-farthest-star-ever-seen
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000580.000015177.html

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