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GN-z11超え!観測史上最遠の天体「HD1」を新発見

宇宙ヤバイchキャベチ

科学系YouTuber

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今回は「史上最遠の天体HD1が新発見される」というテーマで動画をお送りします。

●最遠の天体=最古の天体

近年の観測技術の進歩は目覚ましいものがあります。

例えば1990年代に初めて見つかった太陽系外惑星ですが、今では5000個以上見つかっていてもはや当たり前の存在です。

そして観測の対象は遥か遠方の深宇宙も同じで、ハッブル宇宙望遠鏡の台頭などもあってどんどん深くまでその姿を観測できるようになってきています。

Credit:ひっぐすたん
Credit:ひっぐすたん

地球から何億光年も離れた天体からの光は地球に届くまでに何億年もの月日が経っているため、そんな遠方の天体を観測するという事は、その光が放たれた何億年も前の時代の宇宙を見るという事になります。

つまり宇宙は遠くを見れば見るほど過去にさかのぼることになります!

ではこれまでの観測史上最も遠くにある天体は、地球から一体どれくらいの距離があって、どれくらい過去の姿を見ることができるのでしょうか?

●これまでの最遠記録

Credit:NASA, ESA, P. Oesch (Yale University),G. Brammer (STScI), P. van Dokkum (Yale University),and G. Illingworth (University of California,Santa Cruz)
Credit:NASA, ESA, P. Oesch (Yale University),G. Brammer (STScI), P. van Dokkum (Yale University),and G. Illingworth (University of California,Santa Cruz)

今回の主題はつい先日発表された最新の観測結果ですが、その前にこれまで考えられていた地球から最遠の天体についておさらいしたいと思います。

これまで見つかった中で最も遠くにある天体は、ハッブル宇宙望遠鏡によって発見されたこちらのGN-z11という銀河であると考えられてきました。

赤いしぼやけていますが、はっきりと存在を確認できます。

Credits: NASA, ESA, P. Oesch and B. Robertson(University of California, Santa Cruz),and A. Feild (STScI)
Credits: NASA, ESA, P. Oesch and B. Robertson(University of California, Santa Cruz),and A. Feild (STScI)

宇宙は膨張しているため、遠方の天体から放たれた光は地球に到達する過程で波長が伸びます。

その波長の伸び度合いを示す指標が「赤方偏移」というもので、これが大きいほど波長が伸びていることがわかります。

つまり赤方偏移の値zが大きいほど遠くからやってきた光という事がわかりますが、このGN-z11の赤方偏移の値zは、z=11というものでした。

それまでの過去最高値が8.7という値だったので、大幅更新していることがわかります。

そこから割り出されたGN-z11の地球からの現在の距離はなんと約320億光年にもなり、観測された光は今から134億年も前、宇宙が誕生してわずか4億年後の光だと判明しました!

この銀河の大きさは私たちの住む天の川銀河の25分の1、質量は100分の1程度と天の川銀河と比べてしまうと小柄ですが、宇宙が誕生して間もなくできた銀河としては異常なまでに大きく、当時の銀河の成長が速いことを示します。

●最新の観測結果

Credit: Harikane et al.
Credit: Harikane et al.

そして2022年4月8日とつい先日、東京大学などの研究チームは、GN-z11が持っていたこれまでの記録を塗り替える、新たな史上最遠天体を発見した可能性があると発表しています。

Credit:Harikane et al., NASA, ESA, and P. Oesch (Yale University)
Credit:Harikane et al., NASA, ESA, and P. Oesch (Yale University)

HD1と命名された新発見の天体からの光は、赤方偏移zの値が13.3と考えられています。

これはGN-z11よりも1億年古い今から135億年前、宇宙誕生からわずか3億年後の瞬間に放たれた光である可能性が高いそうです。

赤方偏移により、135億年以前の天体からの光の波長は1.7マイクロメートルよりも伸びているとされています。

GN-z11を発見したハッブル宇宙望遠鏡が観測可能な光の波長は1.7マイクロメートルより短いものに限るため、ハッブル宇宙望遠鏡ではGN-z11より遠い天体を発見するのは難しいと考えられていました。

そこで研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡よりも長い波長領域をカバーしている地上の望遠鏡の観測データから実に合計1200時間以上分、70万個以上の天体のデータを集め、その中からGN-z11よりも遠い天体を探しました。

数ヶ月間も時間をかけて分析を行った結果、135億年前の天体が持っていると予想されている特徴とよく合致した、HD1を新たに発見しました。

その後HD1の光の波長ごとの強度を明らかにする分光観測を行ったところ、99.99%の確率でHD1が135億年前の天体である証拠が発見されました。

現時点で非常に高い確率ではあるものの、99.9999%の確率で正しいといえないと科学的な確証にはならないため、今後より高精度で詳細な追観測が求められています。

また、HD1は非常に信号が弱いため、物理的な性質は謎に包まれています。

もし本当に135億光年彼方に存在していれば、この天体は極めて明るい天体であると予想できます。

とはいえHD1がここまで明るい理由は確定しておらず、この天体が非常に星形成が活発な銀河である可能性もありますが、活動的なブラックホールである可能性もあるようです。

高い確率で135億年前の天体であるものの、まだ地球からの距離を含めた多くの性質が確定していないことから、HD1の注目度は既に非常に高いものとされているようです。

実際に早くもハッブル宇宙望遠鏡の後継機であるジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡による観測の対象として選ばれており、今後の追観測に多くの期待がかかっています!

また今回の関連で、つい先日にはハッブル宇宙望遠鏡が地球から最も遠い「単一の恒星からの光」を観測することに成功したと発表され、大きな話題を呼んでいます。

単一の恒星は「エアレンデル」と命名されましたが、エアレンデルについて以下の動画で詳細に解説しているので、あわせてご覧ください。

https://alma-telescope.jp/news/most-distant-galaxy-202204

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