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恐らく「永遠に解明できない」深すぎる宇宙の謎3選

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「恐らく永遠に解明できない宇宙の謎3選」というテーマで動画をお送りしていきます。

この宇宙には数多くの謎があり、それらを解き明かすために多くの研究が行われていますし、実際に過去の研究によって多くの謎が解明されてきています。

ではこのまま人類の科学技術が進歩していけば、いずれはこの宇宙の全ての謎が解き明かされるのかというと、残念ながら現時点ではその可能性は低いと言わざるを得ません。

なぜならそれらの中には、現在の理論だとどうあがいても解明できそうもないという壮大すぎる謎が含まれているからです。

今回はそんな解明できなさそうな宇宙の謎を、解明できなそうな理由も含めて3つ紹介していきます。

●ブラックホールの中身

まず1つ目は、ブラックホールの中身です。

ブラックホールは一般的に太陽の30倍より重い超大質量の恒星が一生を終える際、星の核が自身の重力によって中心の1点に向かって際限なく押しつぶされる事で形成されると考えられています。

ブラックホールの中心にあり、ブラックホールの全質量がそこに集中していると考えられている体積0の1点は、特異点と呼ばれています。

そんな特異点の周りでは重力が極めて強く、そこから脱出するために必要な速度(脱出速度)が光速を超えています。

ですが特異点から離れるほど重力が弱まり、脱出速度が光速と等しくなる境界面が、事象の地平面と呼ばれています。

ブラックホールの事象の地平面の内部領域や、特異点で何が起こっているのかは本当に気になるところですが、残念ながら現在の枠組みでは、それらを知ることは永遠にできそうもありません。

なぜならこの宇宙で物質が出せる速度には光速という上限があるためです。

これは観測から得られた明確な事実であり、アインシュタインの相対性理論もこの光速度が不変であるという事実をもとに成り立つ理論となります。

光速が不変である以上、脱出速度が光速度を上回るほど重力が強くなっている事象の地平面の内部に一度でも入ると、そこからはあらゆる物質も光も情報も出てくることはありません!

なのでブラックホールの内部は完全に一方通行の世界です。

私たちがブラックホールの事象の地平面の外の世界にいる限り、そしてこの宇宙の速度の上限が光速である限り、ブラックホールの内部のことを知ることはできないでしょう。

できるとしたら、現在の枠組みを超えた何らかの形で光速を超えるワープができる技術が確立される必要があります。

ですが現時点でその方法は全くわかっていませんし、そもそもそんなことが可能なのかどうかもわかっていません。

●空間的な宇宙の果てやそれ以遠

Credit:NASA's Goddard Space Flight CenterCI Lab
Credit:NASA's Goddard Space Flight CenterCI Lab

続いて2つ目の謎は、空間的な宇宙の果てについてです。

先述の通り、物質の速度の上限は光速度ですが、宇宙空間の膨張速度には上限がなく、現在の宇宙でもその膨張速度は光速を超えていると考えられています。

そして初期宇宙ではインフレーションという、それこそ光速なんて比較にすらならないほど異次元の速度での空間膨張も起きていたと考えられています。

Credit: Frédéric MICHEL and Azcolvin429, annotated by E. Siegel.
Credit: Frédéric MICHEL and Azcolvin429, annotated by E. Siegel.

そんなわけでこの宇宙はとてつもなく広いのですが、あまりに広すぎるがゆえに、宇宙が誕生してから138億年かけてもその地点からの光が一切届いていないほど、異次元に地球から遠い領域も存在していると考えられています。

つまり地球から光で観測可能な宇宙には限界があり、それ以上に遠い場所はまだ光が地球に届いていないため、どれだけ観測技術が進歩しても光では原理的に観測することができない、というわけです!

さらに、時が経つにつれてより遠い宇宙から放たれた光が地球に到達するようになるため、地球から光で観測可能な宇宙の範囲は時間経過とともに広がっていくのですが、この宇宙の膨張速度は非常に速いため、どれだけ時間が経過してもそこからの光が地球に届かないような、「光では永遠に観測不可能な領域」が存在している可能性が高く、その領域は途方もなく広いと考えられているんですね。

地球から光で観測可能な宇宙は、現在の距離で地球から約465億光年の範囲で広がっていると考えられていますが、観測不可能な宇宙を含めた全宇宙の大きさはそれこそ日本語の単位では表せないほど巨大な可能性もあります。

後述しますが、実は重力波など、光以外の手段を使って観測すれば、観測可能な宇宙の範囲が大幅に広がると考えられています。

とはいえそれでも空間的な宇宙の果ての姿を捉えることは難しいでしょう。

また、この宇宙の外側には無数の別の宇宙が存在していて、それぞれで別の物理法則が適用されているという考え方もありますが、それを確かめるのはさらに難しそうです。

空間的な宇宙の果てを見るためには、やはり観測者が光速を大幅に超えて移動する手段が必要になりそうです。

もしワープ技術が確立されれば、ブラックホールの中身だけでなく、宇宙の果ての仕組みも解明できるかもしれませんね!

●ビッグバンの瞬間やそれ以前

そして最後に、この宇宙が誕生してビッグバンが起こる瞬間やそれ以前のこともわからないかもしれません。

宇宙誕生の瞬間から約38万年後、この宇宙の温度が3000度程度にまで下がり、宇宙空間に自由に存在していた電子が原子核と結びついたことで、光が電子の影響を受けずに直進できるようになったと考えられています。

そのため現在観測できる最古の光、つまり光で観測可能な宇宙の果てから放たれた光というのは、宇宙誕生後38万年後の宇宙の晴れ上がりの瞬間の光ということになります。

この最古の光は「宇宙背景放射」として実際に観測されています。

Credit:NASA/WMAP
Credit:NASA/WMAP

このように光を使って観測ができるのは距離にして地球から465億光年、時間にして宇宙誕生から38万年後までですが、例えば重力波など、宇宙の晴れ上がり以前でも他の物質の干渉を受けなかったものを使って観測できれば、地球から465億光年よりも遠い場所の、宇宙誕生から38万年後より古い情報を掴める可能性があると考えられています。

重力波は非常に微弱なので、現在の観測技術では極めて難しいですが、理論的には宇宙誕生後わずか10^-36秒後に起きたとされるインフレーションの瞬間に発生した「原始重力波」を捉えることができる可能性があるようです。

もしそれが捉えられれば宇宙の歴史の大部分を知ることができるようになるのですが、インフレーション以前の本当の宇宙の始まりの瞬間や、それ以前の世界について知ることは難しいかもしれません。

この宇宙が始まる前については、様々な仮説があります。

その中には「宇宙にそもそも始まりはなく、過去が無限に続いている」という内容のものもあります。

ビッグバン以前にも宇宙が無限に続いていたという説については以下の動画で詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。

いずれ今回紹介した壮大すぎる謎たちが解明されることに期待しつつ、宇宙の謎に思いをはせておきましょう!

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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