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10兆fpsのハイスピードカメラで「光が進む瞬間」を撮影!

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「10兆fpsで捉えた光の動き」というテーマで動画をお送りしていきます。

●とてつもなく速い「光速」

真空中の光の速度は秒速30万kmにもなります。

地球の赤道の長さは約4万なので、仮に光速で地球の赤道上を周回した場合、光は1秒で地球を7.5周もしてしまいます。

そして地球表面と月面までの平均距離は38万4400kmもありますが、光速だと片道わずか1.255秒で辿り着きます。

なので逆に言うと、私たちが地表から見る月の姿は、1.255秒前の姿であることになります。

さらに真空中の光速は、この宇宙における物質の速度の上限であることも知られています。

わずかでも質量を持つ物質だと、どれだけ加速しても光速に限りなく近づくだけで、決して光速以上にはなりません。

このように光速は私たち人間スケールではとても目に負えないほど速く、そしてこれ以上に速い物質はこの宇宙のどこにも存在しません。

●光の動きも捉える高速度撮影

ここでは静止画しか扱えませんが、YouTubeでの解説動画では映像を紹介しています
ここでは静止画しか扱えませんが、YouTubeでの解説動画では映像を紹介しています

米国カリフォルニア工科大学(CalTech)の研究者たちによって、光の波が進む様子を捉えた映像が公開されています。

CalTechの研究者たちは、光が進む様子を確認するために、毎秒10兆フレームという、驚異的な高速度撮影が可能なカメラを用いました。

1秒あたり10兆フレームということは、カメラのシャッターを1秒間に10兆回押すようなものです。

CalTechの研究者たちが用いたこのような超ハイスピードカメラは、光の動きでさえもスローモーションで捉えています。

また2011年には、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが開発した、1秒あたり1兆フレームのカメラによって光の動きを撮影し、その成果が研究論文で報告されました。

●数兆fpsの世界

CalTechやMITの研究者たちの撮影した光の映像を詳しく解説する前に、まず市販のハイスピードカメラと研究用のハイスピードカメラを比較したいと思います。

近年では、人間の目で捉えられない映像を撮影するため、さまざまなタイプのハイスピードカメラを購入することが可能です。

一般的にハイスピードカメラとは、1秒間に動画を連続的に1000フレーム以上撮影できるカメラのことを指します。

1秒あたりのフレーム数をfps(frames per second)という単位で表し、1秒あたり30フレームなら30fpsです。

このfpsの数値が低すぎると、映像はカクカクした動きになります。

例えば、映画は24fps、テレビは30fps、ゲームだと30fpsから60fpsぐらいが多いです。

もちろん、fpsが高いほど、映像は滑らかになりますが、データ容量も大きくなり、処理にも負担がかかるため、目的に応じて適切なfpsを選ぶのが重要になるでしょう。

もしスポーツのシーンなど、動く被写体を撮影したいなら、120fps以上のカメラが適していると言われています。

さらに、ハイスピードカメラの中には、100万fpsの性能を持つものもあります。

100万fpsのハイスピードカメラで撮影した動画を、スローモーションで再生することで、銃弾でさえも綺麗に動きを確認できてしまいます。

それに対して、MITの研究者たちが開発したカメラは、市販のカメラとは全く桁が違い、1兆fpsで撮影可能です。

つまり、銃弾を綺麗に撮影できる100万fpsのカメラのさらに100万倍の性能を誇っています。

1兆fpsのカメラで撮影した1秒間の映像を、通常のカメラと同じ30fpsの速度で再生する場合、見終わるのに1000年以上もかかる計算です。

このように、研究者たちが使用しているカメラは、私たちが普段使っているような市販のカメラとは比べ物にならない性能を持っています。

具体的には、10億分の1秒以下という想像を絶する短時間に、実に480回もシャッターを押し、このように極めて短い動画を作成しました。

●10兆fpsで見る光の様子

ここでは静止画しか扱えませんが、YouTubeでの解説動画では映像を紹介しています
ここでは静止画しか扱えませんが、YouTubeでの解説動画では映像を紹介しています

さらにCalTechの研究者たちは、MITのカメラの10倍である10兆fpsのカメラを開発し、光が移動する瞬間を撮影しました。

光が非常にゆっくりと進んで見えます。

CalTechの研究者たちは、光線が反射光と透過光の2つに分離する瞬間も映像で確認しました。

光の反射を2連続で起こした映像がこちらです。

2つのミラーによって、光が跳ね返っている様子がしっかり捉えられています。

そして、以上のような数兆fpsの超ハイスピードカメラは、今後さまざまな技術に貢献するはずです。

具体的には、生体医学や材料科学、およびさまざまな応用分野に、大きな影響を与えると言われています。

光と物質の相互作用を綿密に観察できる以外にも、次世代型の顕微鏡を生み出すこともできるそうです。

その一方で医療分野では、患者の血液テストで役立つことが期待されています。

そして研究者たちは、このカメラの性能をさらに100倍高め、いずれは1000兆fpsという数値を実現できる可能性があると述べています。

カメラは私たちの日常生活でも、あらゆる場面で使用されており、光の動きを撮影できるほどの高精度なカメラの誕生は、あらゆる応用が可能です。この技術がどこまで高まり、どのように応用されるのか期待しましょう。

https://www.nature.com/articles/s41377-018-0044-7#MOESM4
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-6862367/Mesmerizing-video-captures-speed-light-looks-like-10-TRILLION-frames-second.html
https://web.media.mit.edu/~raskar/trillionfps/
https://techcrunch.com/2018/10/12/at-10-trillion-frames-per-second-this-camera-captures-light-in-slow-motion/
https://www.caltech.edu/about/news/ultrafast-camera-takes-1-trillion-frames-second-transparent-objects-and-phenomena

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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