ベテルギウスの超新星は数十年以内!?驚愕の新説が登場
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「やはりベテルギウスは爆発間近だった!?新説が登場」というテーマで動画をお送りしていきます。
●超新星間近なベテルギウス
オリオン座のα星ベテルギウスは赤く輝く一等星で、地球から見て非常に明るく見える恒星です。
ベテルギウスは太陽の10倍以上の質量を持つ大質量星で、さらに一生の末期段階に入っており、太陽直径の800倍程度と極めて大きく膨張した「赤色超巨星」に分類される恒星です。
そして近いうちに超新星爆発を起こし、一生を終えると期待されている点でも有名な恒星です。
とはいえ「近いうちに」というのは天文学的スケールでの話で、人間スケールでいえば遥か未来の出来事かもしれません。
●ベテルギウスの爆発時期の定説
○爆発を期待させる異常
ベテルギウスの超新星が世界的に注目されている理由は、比較的近距離に存在するのもありますが、ベテルギウスに爆発を期待させる異常が見られることも挙げられます。
ベテルギウスは2019年末から2020年2月下旬あたりまで急激な減光を続け、一時は二等星に相当する明るさになるなど過去に類を見ないほどにまで暗くなり、大きな話題を呼んでいました。
その後この大減光は直接超新星爆発に関係するものではない可能性が高いことが判明し、ベテルギウスの状態も元に戻ると考えられていたものの、実は現在でも平常とは言えない状態が続いています。
まずベテルギウスは変光星であり、200年も前から約420日という周期で比較的規則的な増光と減光を繰り返す性質が知られていました。
ですが大減光イベントの後、赤の実線で示された実際のベテルギウスの光度変化は、青い点線で示された約420日周期の従来の変化に基づく推定と比べて明確に異なり、その周期は約130日と明確に短くなっています。
さらに2023年に入ってからのより直近のベテルギウスは、従来と比べて非常に短い周期変化を維持しているだけでなく、非常に明るくなっている点でも異常です。
このように大減光イベント後に周期が短くなったり、さらには短期間で増光を見せたりと、不規則な変化を見せているメカニズムについては詳細なことがわかっていません。
○定説は「まだまだ先」
ではベテルギウスの超新星爆発は迫っているのかというと、私たちが生きている間にベテルギウスの爆発を見れる可能性は極めて低いという考えが一般的です。
オーストラリア国立大学や東京大学などの研究チームによると、ベテルギウスの核ではヘリウムの核融合が起こっている可能性が高いと判明しました。
ベテルギウスのような大質量星の核では、最も軽い水素から始まり、ヘリウム、炭素、酸素…と徐々に重い元素が核融合で生成されていき、最終的に鉄ができると星の核が重力崩壊を起こし、超新星爆発に至ります。
そのためヘリウムの反応が起こっているベテルギウスは、まだまだ核融合の段階を残しているため、今すぐに爆発することはなさそうです。
具体的には今から10万年間は爆発しない可能性が高いのだとか…
そして現在見られている異常についても確定的なことはわかっていないものの、「大減光後の異常状態からゆっくりと回復している過程に過ぎない可能性が高い」という考え方が一般的です。
●やはりベテルギウスの爆発は間近!?
そんな中、ベテルギウスの爆発が人間スケールでも間近の、今後数百年以内、さらには数十年以内に発生する可能性があることを示す新説が登場し、世界的に話題になっています。
ベテルギウスは変光星の中でも星全体の脈動によって明るさが変化する「脈動変光星」の一種ですが、恒星の脈動の周期は、恒星の直径が大きいほどゆっくりになります。
また恒星の直径は、内部の核融合反応が進んでいるほど大きくなる傾向があります。つまり脈動の周期の理解は、恒星内部の核融合の段階を理解することに繋がり、そこからその恒星がいつ一生を終えるのかを推測できます。
ベテルギウスの顕著な変光周期には、420日周期の変光だけでなく、2200日周期の変光も見られるそうです。
従来の理解では、ベテルギウスは420日周期で星全体が脈動をしており、2200日周期の変光の原因は周囲の塵など、星の外部的な要因によるものであると考えられてきました。
ベテルギウスの脈動の周期が420日であると考えた場合、ベテルギウスの大きさは太陽の800~900倍程度であると推定されます。
これは赤色超巨星としては小柄で、まだまだ膨張する余地が残されていることからも、ベテルギウスの最期の瞬間は人間スケールでは遥か未来だと考えられてきました。
ですが最新の研究では、ベテルギウスの変光周期のうち2200日のものが星全体の脈動の結果起きたものであると考えています。
ベテルギウスの脈動周期が2200日であると仮定すると、ベテルギウスの直径は太陽の1200倍ほどになると推測されています。
さらにベテルギウスは既にヘリウムの次に核融合の燃料として使われる炭素をほぼ燃焼し終えており、今から数百年以内に寿命を迎える可能性が高いそうです。
その場合今生きている人間が爆発の瞬間を目撃できる可能性も十分あります。
一方、この研究成果には反対意見も存在します。
反対の根拠として、ベテルギウスは多波長で分析が行われていますが、ほとんどの波長でベテルギウスの直径が定説より巨大であること支持していないことなどが挙げられます。
ベテルギウスの爆発の時期に関する研究は、今後も盛り上がり続けることでしょう。