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1年間の分析の末…NASAによる科学的なUFO研究の成果が初めて発表される

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「NASAがUFO研究の報告書を公開、その中身とは?」というテーマで動画をお送りします。

NASAは2022年6月にUFOについて科学的な観点から調査する研究チームを発足させると発表しており、その後2023年9月14日に、研究結果をまとめた報告書が初めて公開されました。

NASAは未確認の空中現象に対して本腰を入れて科学的分析を進めていく姿勢を見せており、今後こういった不思議な現象の謎への理解が急速に進んでいくことが期待されています。

●UFO、UAPとは何か?

改めてUFOとは、Unidentified Flying Objectの略で、日本語で「未確認飛行物体」という意味です。

その名の通り、正体が確認されていない飛行物体を指します。

一般的にUFOといえば「地球外生命体の乗り物」という印象が強く、陰謀論のテーマになることも少なくない単語です。

そこでNASAのような公的な機関は、より科学的な印象を持つ新語である「UAP(Unidentified Aerial Phenomena)、未確認空中現象」を好んで使うようになっています。

本記事でも以後は「UAP」を用いることにします。

UAPについては例えば軍部など、信頼できる公的機関もその目撃情報やデータをいくつも公開しています。

中でも有名なものとして、2015年に米海軍のパイロットが撮影し、その後米国防省が正式に公開した、「GoFast」という映像があります。

観測者が乗るジェットから見下ろす方向に、背後の海の上を高速で移動する物体が見受けられます。

このような未知の飛行物体が実在することは事実でしょう。ですがそれは単に正体を特定できない物体が飛行しているというだけで、それが地球外生命体の乗り物であるということを示しているのではありません。

●NASAがUAP研究の報告書を初公開

UAPに対する科学的な理解が求められるようになる中、まさに世界を代表する科学のエキスパート集団であるNASAが名乗りを上げました。

NASAは2022年6月、航空機や既知の自然現象とは特定できない上空の事象(UAP)を科学的な観点から調査する研究チームを立ち上げると発表し、その後多分野の専門家16人からなる独立チームが結成されました。

UAPの正体を解明するためにネックになると考えられたのは「詳細なデータの不足」でした。

そこで利用可能なデータの特定、データを収集するためのより良い方法、そしてUAPの科学的理解を前進させるためにNASAがそのデータをどのように利用できるかなどに焦点を当て、議論が進められていました。

当初から「約9か月後に研究成果を報告書でまとめる」と宣言されており、2023年のどこかで報告があると期待がありましたが、ついに2023年9月14日、UAP研究チームによる報告書が初めて公開されました。

そこで述べられていたUAPの正体についての結論としては、科学的な結論を示すにはやはり現時点では詳細なデータが不足しており、「地球外が起源である証拠も、そうでない証拠も見つかっていない」とのことです。

一方報告書には、今後UAPに関するより詳細なデータを集めるための方針が明記されており、NASAがこの謎に対して本腰を入れて向き合っていく姿勢が見て取れます。

具体的にはまずNASAはUAP研究の責任者を任命し、他の機関と協力してUAPデータ収集の網を広げていくと発表しています。

しかしUAPやUFOはセンシティブな一面がある分野であり、以前UAP研究チームのメンバーが脅迫を受けたこともあるため、UAP研究の責任者の身元は伏せられていました。

また、NASAの地球観測衛星に搭載されているセンサーを使用し、大気や海洋の状態を監視してデータを集めること、さらには一般市民からの目撃情報を収集するための新しいツールを設置する選択肢などが示されていました。

将来的には、最先端の望遠鏡からのデータを分析し、太陽系全体におけるUAPの兆候を見つけることができるようになる可能性も示唆されました。

そして報告書は、多くのUAP報告が、深く調査されれば説明可能であることが判明すると指摘しています。

その具体例として、先述した「GoFast」の映像の説明が明確に示されていました。

映像では背後の海に対し、飛行物体は猛スピードで移動しているように見えますが、これを詳細に分析した結果、視差効果によって速度を誤って判断していたことが判明しました。

実際にはこの物体の移動速度は時速60km強であり、この物体が存在する高度における一般的な風速と同程度であるそうです。

さらに映像の解析から、飛行物体の温度が背後の海よりも低いことが判明し、このことはこの物体が熱を放つ推進システムによってではなく、単に風に乗って移動しているだけの可能性が高いことを示しています。

UAPの研究は、直接地球外生命体の探査に結びついているわけではありません。

しかし現実にこの不可解な現象が世界各地で起きていることは明確な事実であり、そんな未知の現象を解き明かすことには、大きな意義があります。

NASAの科学力が味方についたことは心強いの一言です。

https://www.nasa.gov/feature/nasa-to-set-up-independent-study-on-unidentified-aerial-phenomena/
https://science.nasa.gov/uap
https://science.nasa.gov/science-pink/s3fs-public/atoms/files/UAP%20Independent%20Study%20Team%20-%20Final%20Report_0.pdf
https://www.universetoday.com/163181/report-nasa-ufo-uap-research/
https://wired.jp/article/nasa-ufos-aliens-report-2023/
https://www.space.com/nasa-ufo-uap-study-team-first-results-revealed
https://www.space.com/nasa-ufo-study-group-better-data-needed
https://www.space.com/nasa-unidentified-aerial-phenomena-science-panel

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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