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【2月3日は節分】実は1年に4回!?豆まき不要の人がいるってホント?今年の恵方は?気象予報士の暦解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
身近なようで意外と知らないことが多い「節分」

今日2月3日は節分。
1年の無病息災や開運を願って豆まきをしたり、大豆や恵方巻きを食べる人も多いと思いのでは。

暦の中でも身近な存在ではありますが、実は1年に4回あったり、豆まき不要な苗字の人がいたりと、意外と知らないことが多い節句でもあります。

節分=「季節の分かれ目」

節分に豆まきをするようになったのは500年以上前とされる
節分に豆まきをするようになったのは500年以上前とされる

節分とは、漢字の示す通り「季節の分かれ目」のことで、季節は春夏秋冬4つあるので分かれ目も4つあります。
冬から春になる立春の前日、立夏の前日、立秋の前日、立冬の前日がすべて本来は「節分」です。

ただ、現在では立春の前日だけが文化として残っています。
もともと立春は、春が始まる日というだけでなく1年の始まりでもあったため、他の節分よりも重視されたのだと考えられています。

豆まき不要な人の苗字は?

「渡辺」という苗字の人は節分に豆まきをしなくていい…という話を聞いたことがある人もいるのでは。
この説の根拠となっているのは、約1,000年前の平安中期に活躍したとされる渡辺綱(わたなべのつな)という武将です。

源氏の子孫で、正式に名乗るときは「源綱(みなもとのつな)」と言っていたようですが、武勇に秀でていて鬼退治もしたと伝えられ、今でも鬼は渡辺という名字を渡辺綱の子孫だと思って怖がるため、「渡辺さん」は豆まき不要だという理屈です。
(渡辺綱の鬼退治がその後どうなったかは、関連記事をご覧ください。)

錦絵に描かれた渡辺綱(右下)。『頼光四天王大江山鬼神退治之図』より。(国立国会図書館デジタルコレクションから保護期限が終了したものを転載)
錦絵に描かれた渡辺綱(右下)。『頼光四天王大江山鬼神退治之図』より。(国立国会図書館デジタルコレクションから保護期限が終了したものを転載)

なお同様の理由で、「坂田さん」も豆まきしなくて良いという俗説も存在します。

ただ一方で、もともと武士の役目の中には邪気払いも含まれるという考え方もあり、もし武士の末裔であればむしろ率先して豆まき(邪気を払う意味もある)をすべきという説もあります。

こういった伝承や文化などは何かが絶対正しいということはないので、去年まで何も知らずに豆まきをしていた全国の渡辺さんも安心して大丈夫です。

2024年の恵方は

実は恵方は全部で4種類しかない。
実は恵方は全部で4種類しかない。

今年2024年の恵方は、東北東
たまにネットで誤った説明を見かけますが、東北東は真東と北東の間にあたるので、真っすぐ東の方向よりもやや北に寄った方角になります。

ちなみに「恵方って毎年、漢字3文字な気がする…」と感じている人もいるかもしれません。
実は、恵方は全部で4種類のみ
中国の暦や陰陽道によく用いられる「十干(じっかん)」という符号に基づいて、東北東、西南西、南南東、北北西の4種類が順にめぐってきます。
そのため、2024年の恵方が東北東ということは、来年2025年は西南西です。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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