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明日は気温急降下!早すぎる「菜種梅雨」で警報級の大雨も︰気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
19日の最高気温(気象庁HPより)。記録的な暖かさだったが21日からは冬の寒さに

昨日19日は全国的に春本番の陽気となり、特に北日本では2月としては観測史上最高気温となったところが200地点を超えました。

今日20日も関東では引き続き春本番〜初夏ぐらいの陽気ですが、西日本ではすでに気温が下がり始めていて、明日21日は関東も気温が一気に約10度も下がる予想。

さらには、前線停滞で季節はずれの大雨にも注意が必要です。

前線の北と南で"別世界"

(左)2月19日18時の実況天気図、(右)21日9時の予想天気図(気象庁HPより)
(左)2月19日18時の実況天気図、(右)21日9時の予想天気図(気象庁HPより)

今週は日本付近に前線が停滞するために梅雨のような天気になりますが、この前線の位置が南北にズレるだけで、気温が大幅に変わります。

というのも、前線の北側にはシベリアの寒気とつながっている真冬の空気、南側には熱帯とつながる暖気があるため。

19日の段階では広い範囲が前線の南側に含まれていたのが、明日21日は前線が南下し、日本列島はほぼ丸ごと前線の北側に入る見通しです。

このため、一気に初夏の陽気から冬の寒さへと気温が急降下するのです。

「菜種梅雨」とは

例年、冬から春に移り変わる際に日本付近に一時的に前線が停滞し、「菜種梅雨(なたねづゆ)」と呼ばれます。

ただ、通常は菜の花が咲く3月〜4月によく起きる現象で、今回のように2月のうちに前線が停滞することを「菜種梅雨」と呼ぶべきかは、気象予報士の間でも判断が分かれるところです。

とはいえ、前線の北と南で温度差が大きいことや、曇りや雨が1週間程度続く点は、「菜種梅雨」の特徴そのもの。

暖冬の影響で、「早すぎる菜種梅雨」がやってきたと言えそうです。

東京は2月1か月分の雨/石川県は大雨警報の可能性

もともと2月は全国的にも雨が少ない月ですが、今週予想されている雨の量は、平年の2月1か月分の降水量に匹敵するところも。

たとえば東京では、2月の平年の降水量は56.5ミリですが、今日20日から22日にかけては3日間合計でそれと同じくらい降る予想で、1か月分の雨がたった3日で降る計算になります。

また、地震の影響で大雨警報の基準を下げて運用している石川県では、大雨警報が出る可能性があると気象庁が情報を出しています。

石川県の能登地方では地震で崩れやすくなっている場所が多いため、「大した雨じゃない」と感じても大雨警報が出た場合は慎重に行動してくたさい。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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