怖いくらい?当たりすぎる最近の南岸低気圧予報…はずれたような気がするのはナゼ??気象予報士解説
今日8日は未明から都内を含む関東の広い範囲で雪が降り、積もったところもありました。
皆さんは朝起きて外を見て、あるいは実際に通勤や通学をして、どう感じたでしょうか。
実は天気予報としてはこれ以上ないくらいドンピシャで当たっていたわけなのですが、そうは感じていない方が大多数だと思います。
なぜここまで予報は当たったのか、そして、なぜはずれたように感じるのでしょうか。
予想のど真ん中
多くの人がご存じの通り、現在では天気予報はコンピュータが計算します。
気象予報士はコンピュータの計算結果を人間にとってわかりやすい言葉に翻訳するわけですが、今回、前日7日のうちにコンピュータが出していた計算結果をそのまま鵜呑みにすると、「都心は8日未明から水分の多い湿った雪が降り、道路には積もらないけど屋根や生け垣や芝生など積りやすい場所にはうっすら積もるだろう」という見通しだったのです。
そして実際、今朝起きて筆者が目にした都心の光景は、まさにその通りでした。
当たりすぎてちょっと怖いくらいです。
予報はなぜ当たったのか
今回の予報が当たった原因はもちろん複数ありますが、その中でも大きいのは予想気温の計算精度が年々上がっていることです。
今の時期、雲から落ちてくるものは、空の高いところの段階ではほぼすべて氷(雪)で、それが地上付近まで落ちてきた時に雪のままなのか解けて雨になるのかが重要なので、地上付近の温度をどのくらい正確に計算できるかが南岸低気圧予報の鍵を握ります。
数年前まで、特に冬の朝の気温はなかなかぴったり当たらず、気象予報士もそれを折り込んで解説する必要がありました。
しかし今では、かつての苦労が嘘のように気温の予想が当たりやすくなっていて、結果的に南岸低気圧による雨・雪の予報精度も上がっているのです。
なぜはずれたように感じる?
今回、NHKでも民放でも、前日7日のうちに放送されたほとんどの番組では、「都心でも雪は降るけど、たとえ積もったとしても都心はうっすら積もる程度で、大規模な交通規制などの影響はなさそう」という見立てが解説されていました。
ただ、いくら最近のコンピュータの計算が当たりやすくなったとはいえ、予報は予報であり、確定的な未来などあり得ません。
そのためどの気象予報士も、万が一、予報より気温が下がった場合は大雪に気をつけて、とコメントする必要があります。
なぜなら気象現象は、少しでも予報がズレた場合に人の命を奪うおそれがあるからです。
ところが、そのような幅を持った解説をすると、聞く人はだいたい自分に都合のよい解釈をしてしまいます。
そのため、結果として実況を目にした時になんだか予報がはずれたような気がしてしまうのです。
このあとの天気は
8日は一旦天気が回復しても、日本海の低気圧上空の寒気の影響で大気の状態が不安定になり、再び天気が崩れるところがあります。
午後は近畿や東海、夜は関東でも、一時的な雨や雷雨、場合によってはあられが降るおそれがあるため天気の急変に注意が必要です。