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緊急地震速報が出たらどうするべき?「コンロの火を消して机の下」は間違い??防災士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
3月21日9時8時に発生した茨城県南部を震源とする地震の震度情報(気象HPより)

家の中にいるときに突然、緊急地震速報のアラームが鳴ったら、すぐに行動できるでしょうか。

もしガスコンロの火がついている状態で緊急地震速報が出たり、あるいは実際に強い揺れを感じたりしたら、どうしますか?

あなたの持っている防災知識は、もう古いかもしれません。

とりあえずガスコンロの火は消さない

緊急地震速報に気づいたり、強い揺れを感じたりしたら、コンロに火がついているかどうかは関係なく、まずは身の安全を守る行動をとりましょう。

というのも、現在では都市ガスであろうとプロパンガスであろうと、震度5程度以上の揺れが発生した場合はガスが自動で止まるしくみになっているからです。

火の元の確認や、万が一出火してしまった場合の初期消火は、揺れが一旦おさまってからにしましょう。

とにかく体を守るのが一番。初期の段階でケガをしてしまうと、それ以降の行動が制限され、最終的に命に危険が及びやすくなってしまうためです。

なお、家が倒壊するおそれがあったり、津波警報・大津波警報が出たりして避難が必要な場合は、ガスの元栓と電気のブレーカーを両方とも切ってから家を出ましょう。

「机の下」は安全か?

強い地震の時に机の下にもぐって身を守ること自体は正しいのですが、その際、"安全な"机の下にもぐってください。

たとえば、窓の近くにある机は安全ではありません。地震によって窓ガラスが割れてしまうおそれがあるからです。

その場合は、机の下に入るのではなく、その場で頭を守れるもの(座布団でもカバンでもジャケットでも)で頭と首の後ろを守りながらうずくまる、いわゆる「ダンゴムシポーズ」を取りましょう。

比較的安全なのは?

緊急地震速報が出るような強い地震の際、家の中でも比較的安全な場所は玄関です。

というのも、たいていの家では玄関に倒れやすい家具や火の気がない上に、玄関にいれば避難する場合にもすぐ出られるからです。

もちろん、玄関にモノがたくさん置かれている家の場合は玄関も危険ですし、強く揺れている最中に無理をして玄関まで移動するのも危険です。

普段から備えを!「シームレス防災」のすゝめ

緊急地震速報が出るたびに、「そろそろ地震対策しなきゃ…」と思う人が多いのでは。

しかし、家具の固定や備蓄などは一朝一夕にできるものではないので、なかなかしっかり備えるのが難しいと感じる人も多いと思います。

そこで最近は「シームレス防災」といって、普段の生活を便利にしながら同時に災害に備えるという考え方が知られるようになりました。

たとえば、倒れやすい家具を買ってから転倒防止の作業をするのではなく、最初から天井に突っ張るタイプの家具を選んだり、日常的に食べても美味しいお菓子で日持ちするものを非常食にも兼用したり、といった具合です。

家具の買い替えをすぐやるのは大変ですから、まずはお菓子から始めるなど、自分がやりやすいと感じるものから手をつけていきましょう。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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