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『なぜこの試合を地上波は取り上げないのだ』ACL浦和vs全北【浦和レッズ川柳な試合レビュー】

浦議浦和レッズサポーター(さいたま市)

■それでいいのか?地上波各局

呆れ果てたというか、軽くアタマに来た。試合が終わって、23時くらいに埼スタから戻ってきてテレビ各局のニュースを見たら、あの劇的なACL準決勝を報じていたのはTBSの「ニュース23」だけ。日本テレビもフジテレビも、アメリカのガラガラのスタンドの消化試合で、大谷翔平が三振してチームも負けた、なんてどーでもいいような試合はたっぷりやるくせに、アノ埼スタの試合を無視した。いったい彼らは何を考えてるんだろう、と地上波テレビ局の人たちの頭の中身を見せてもらいたくなった。ホントに、それでいいと思ってるの?それで「報道やってます」みたいなデカいツラできるの?

まあ、私達のわからないような諸事情があるのかもしれないし、もうテレビ地上波も「惰性で見る人間だけ見てくれればいい」と開き直ってるのかもしれないけど。

ACL  捨ててガラガラ  ショータイム

そうグチの一つもこぼしたくなるくらいに、きょうのレッズ・全北現代戦はインパクトの強いいい試合だった。これ、報道しないって、やっばりヒドい。

■チャントの勢いのまま先制するも・・・

埼スタに到着したのは試合開始40分くらい前。おそらく自由席は北側だけでなく南側もいっぱいになるだろうから、と前もって買えるバックアッパー席を確保したのだが、来てみたら南側自由席、後ろの方は結構空いてる。あとで2万3千人台だったのを知る。バックアッパーは、高いし、傾斜もややきつく、転んだら大ケガしそうなので、年々恐怖心が増す。いつもの南側自由席に比べて、観客の年齢層もグッと若く、若者グループとかが多い。

それにしても気になったのが、相手である全北現代のサポーター席の人の少なさ。ここで勝てば決勝進出なのに、どういうことだろ?ベスト16のジョホールの方が、よっぽど多かった。日本在住の全羅北道出身者だけでもけっこういる気もするし、そもそもこのチームはKリーグを代表する強豪なはずなのに。会場のサポーター比率はそれこそレッズ側の1000分の1くらいか。

少ない全北サポ
少ない全北サポ

選手入場のコレオに引き続き、北側ゴール裏の応援は試合に入っても全開。『赤き血のイレブン』が5分くらい続いていた。

選手入場時のコレオ
選手入場時のコレオ

その声に押されてか、11分くらいに松尾が押し込む。この時点では、全北にはあまり迫力を感じなくて、きょうも準々決勝の時みたいな楽勝かな、とすら思った。37分くらいにカウンターで飛び出されたり、危ないシーンもあったものの、とりあえず失点ゼロに抑える。

いよいよ後半だ。前半のはじめころと比べて、全北もエンジンがかかってきた。これはちょっと心配だな、と不安が広がった矢先のPK判定だ。

レフリーもすぐには結論が出せないくらい微妙で、VARに持ち込まれたわけだが、どうしたってこっちとしては、向こうの狙いにまんまとハマっちゃった悔しさが残る。しかし、あのファウルのシーンくらいは、ぜひオーロラビジョンで流してもらいたい。あくまでテレビ中継でだが、大相撲だって取り直しの一番は何度もビデオに流して「あ、あれは勇み足ですね」なんてやってるんだから。観客が置き去りだ。

勇み足  観客置き去り  蚊帳の外

そのあたりから両軍の攻防がヒートアップなっていき、カウンターのやりあいや早いパス回しがあって、前後の動きが激しくなってくる。これはもう、アッパーで見ている方が、いつもの南側よりもよほどわかりやすい。ゴール裏は左右はともかく、前後がわかりにくいのだ。

そして79分には江坂、明本、ユンカーと、本来は先発でもおかしくないスーパーサブの三本柱、いわば相手の息の根を止めるべく、「三人の仕事人」がピッチ登場だ。今のレッズはこの人たちが後半のギリギリのところで出られるのが強い。すでに全北DFが疲れている時間帯だからこそ、「飛び出しユンカー」だって効き目があるのだ。

全北の  息の根止めろ  仕事人

さっそく「飛び出しユンカー」、見せ場は作ってくれたものの、ポストに阻まれ、決勝点ならず。

■サポーターの強力な後押しで劇的勝利

延長に入ると、まるで相手はPK戦狙いなのかのように遅延行為っぽい手に出てみたりで、もっぱら攻めてるのはレッズなのに、なかなかフィニッシュにいかない。ちょうどエアポケットに入ったみたいなところで、ほぼ残り5分、ゴール決められてしまった。

まさか、このまま負けてしまうのか、とガッカリして、いっそ帰ろうかと思った矢先に、ユンカーの同点ゴール。いつもの「飛び出し」ではなかったものの、ちょうどいいポジションにいた成果だろう。今日の彼はボールが出てくるところを待ってシュートした「出待ちユンカー」。

終了前  出待ちユンカー  大仕事

PK戦が北側のレッズサポ前で繰り広げられたのは相当なアドバンテージではあった。全北のPKには強烈なブーイングをあびせ、レッズの方は静かに見守る。あれはレッズ選手にとっては強力な後押しになったでしょう。

全北の一人目が失敗したところで、「こりゃ、勝った」と確信した。今回の集中開催の恩恵は、最後の最後まで続いたわけだ。

北側の  サポも闘う  PK戦

勝利決定直後
勝利決定直後

まったく、前回も思ったが、最近はシーズンが深まるごとにチーム力が充実するので、天皇杯や今年のACLみたいなトーナメントになると、めっぽう強い。そのかわりまだ形が整わない前半に低迷するためにリーグ戦は優勝争いに絡めない。その点で、来年は2月にACL決勝もあることだし、シーズンはじめから強くしておかなくてはならない。てことは、ACLもリーグ優勝も両方狙える年になるかもしれない。

来年はいい年になりそうだ。

山中伊知郎

1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後30年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。去年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。現在、去年一年の記事をまとめた単行本『浦和レッズ川柳2021』(飯塚書店)が好評発売中。現在は、山中企画で、タブレット純の3冊目の本と、お笑い系プロダクション「浅井企画」の元専務・川岸咨鴻氏の半生を追う本を準備中。『浦和レッズ川柳2022』も計画中だ。『川岸咨鴻伝  コサキンを「3億年許さん」と叱責した男』は9月上旬に発売予定。

浦和レッズサポーター(さいたま市)

浦和レッズに関する情報をまとめたり、議論したりする『浦議』を1998年から運営しています。最近はYou Tube「浦議チャンネル」もやっています。浦議チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCAFN4-ne2gUkEl6xddW71hA

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