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『大久保のドリブルは、ワクワクする始まりである』浦和vs鳥栖【レッズ川柳試合レビュー】

浦議浦和レッズサポーター(さいたま市)

■少し寂しかった北ゴール裏の入り

自転車に乗り、果実が実った柿の木の横などを通りつつ考える。

柿


ホームの残り3試合、「テーマ」を持って観戦しようとすると、ちょっと難しいな。とりあえず今年狙えるタイトルはないし、優勝の可能性も、J2落ちの危険性もほぼない。次のACL出場権の3位以内もない。いわゆる、クライマックスのない「消化試合」が続いてしまうかもしれない。ACL決勝に向けての選手チェックといってもだいぶ間があきすぎてしまうし、来季の新戦力発掘、ないしは新システムの開発、といっても、じゃあいったいどの選手を試したらいいの、と聞かれても、答えに詰まる。思わず一句。

優勝も  降格もない  秋が来た

しかし30年の歴史を重ねた中では、もちろん、過去、こういうシーズンもあった。要するにどんな状況であっても「楽しみ」を見出し続ければいいのだ。

きょうに関していえば、先発メンバー発表の時に知ったのだが、主審が、今度のワールドカップに呼ばれた女性の山下良美さん。まずは彼女がどう試合をコントロールするかに注目して見ることにする。レッズの中でいえば、リンセンかな。まだ実戦で見たことなかったし、どれくらいやれる選手なのかとともに、前線でユンカーをはじめとした他の選手とうまく融和できるのかを見てみたかった。

試合開始30分前くらいに埼スタに到着したら、広場でもパンの店がたくさん並ぶイベントやってたりして、想像していたよりも多くの人が集まっている。しかも老若男女というか、偏りなく、いろんな年代の人達が揃っている。「消化試合」で相手が鳥栖なら、ようやく2万人超えるくらいか、といささかナメていたが、すいません。2万6千以上が集まってました。

しかも、想定以上だったのがサガンサポ。サポーター席がほぼ埋まるくらいに駆けつけていた。熱量は高い。それに比べると、レッズ側がやや寂しく、北側ゴール裏も、上の方はちょっと空席が見えた。「声出しOK試合」以来、たとえ使える座席が50%としても、とりあえず南側から見ると毎回満杯だったのに。

サガン鳥栖サポーター
サガン鳥栖サポーター

試合開始直前の北側ゴール裏
試合開始直前の北側ゴール裏

サポーター  エラいぞここまで  サガン鳥栖

なんとストレートでヒネリのない一句と少し恥ずかしいが、これ、正直な感想。

■大久保のような選手の活躍は嬉しい

さて、試合開始。山下主審の走りは、男性審判と比べても、別にそんなに差は感じない。それより開始すぐ、ユンカーのパスにうまく反応できなかったリンセンがちょっと気になった。このキッカケの1点目を決められるかどうかで、チームに溶け込めるかどうかも決まるところがあるから。特にFWは。高原も杉本も、そこでつまずいた。

直後、「よし! オウンゴール!」と南側レッズ・サポが立ちあがりかけてオフサイドでシュンとした後、ユンカーが倒されたFKになったところで、山下主審、レッズ選手に囲まれる。どういうことなのか、その時はよくわからなかったが、後でネットで見たら、倒した選手はイエローじゃなく、レッドじゃないの、といった抗議だったらしい。そこも、うまくさばいた山下主審。しかし、岩尾のFKは、ゴール枠内ギリギリ左上に来ていて、実に惜しかった。

南側ゴール裏なので、ハジかれたのがすぐ前で見え、余計に残念。

ハジかれた  名手岩尾の  ゴール隅

そこから一進一退の末に生まれたゴールは、最後に決めたのはユンカーだとしても、ドリブルで懐に入り込んでパスを出した大久保が8割がた決めたような得点。何試合か前、大久保と松尾とモ―ベルグを合わせて「ドリブル三銃士」と名付けたことがあったが、やはりただゴール前でパスをつなぐだけじゃないこういう選手がいると、南側でもワクワク感が増す。コツコツ毎晩、居残りでドリブルの練習をしているような「ひたむきキャラ」も感じられて、思わず「居残りちゃん」というニックネームが浮かんだ。(あくまでイメージであって、本当かどうかはわからない)

敵陣を  タテヨコ引き裂く  居残りちゃん

結局、際立ったキャラクターを見せられないままにリンセンは後半途中で交替。やや、選手の動きについていけるか不安なところもありつつ、山下主審は「そつなく」一試合を裁く。1点は取られたものの、西川のナイスセーブもあって、どうにか2-1で逃げ切り。

2点目が決まった瞬間の南側自由席
2点目が決まった瞬間の南側自由席

15時試合開始だと、ちょうど試合終了後の帰り道でどんどん日が暮れていく感じになる。秋の深まりを体験できて、なかなか心地よい。ファミリー層にとっても、連休初日のレジャーとして、広場のパン祭りで親子でいろいろなパンを食べ比べ、レッズの勝ち試合を見終わって、帰るころには空の夕焼けを見て、なかなか充実した内容になっていたのではないか。

ただ、この次のコンサドーレ戦は水曜午後7時半。冷えるかも。何を試合観戦の「楽しみ」のネタにするかと同時に、何着ていくかも考えとかないと。

山中伊知郎

1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後30年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。去年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。現在、去年一年の記事をまとめた単行本『浦和レッズ川柳2021』(飯塚書店)が好評発売中。代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、9月6日、お笑い系プロダクション「浅井企画」の元専務・川岸咨鴻氏の半生を追った『川岸咨鴻伝  コサキンを「3億年許さん」と叱責した男』をリリース。11月上旬には『タブレット純のローヤルレコード聖地純礼』も発売予定。また、今年末には『浦和レッズ川柳2022』も出す予定

浦和レッズサポーター(さいたま市)

浦和レッズに関する情報をまとめたり、議論したりする『浦議』を1998年から運営しています。最近はYou Tube「浦議チャンネル」もやっています。浦議チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCAFN4-ne2gUkEl6xddW71hA

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