『アジア王者なのに・・・』浦和vs鳥栖【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■北ゴール裏の声量はあまり変わらない
「余熱」は残っているのか?それとも「燃え尽き」状態になっちゃっているのか?
まあ、あのACLの激戦の後、中三日で選手がどんなプレイをするかとともに、サポーターがどうなのかも気になる、ある意味、注目の一戦。自転車で行くため、出来るだけ日が暮れ切らないうちに着きたいと少し早めに家を出て、試合開始一時間前には埼スタ到着。
もちろん6日の時とは比べ物にならないくらい観客の数は少ない。ただウォーミングアップのあたりから南側自由席で見てた限り、北側ゴール裏の地鳴りのような応援ボルテージはそんなに落ちてる感じはしない。平日夜、相手はそう集客の多い方ではないサガンとすれば、まあまあ人も集まっている。やはり「ソロ活」中高年男性は多めだとしても、ちょくちょく小学生くらいの子供もみかけた。 スタンドに関していえば、「余熱」はまだある。
ゴール裏 地鳴りも強く 余熱かな
■余熱が残っていた選手は・・・
だが、試合が始まってからの選手の動きを見てみると、こりゃどうも燃え尽きちゃってる感じは強い。なにしろ前半、レッズ側で最も目立った選手が西川なのだから。最低2回、「やられた!」とつい頭を抱えた相手のシュートを、西川がキッチリと止めてくれた。おかしいんじゃないか、リーグ戦下位チームを相手にアジア王者がアップアップで、一番活躍してるのがゴールキーパーではシャレにならない。でも現実は確実にレッズが押されてた。南側なので、前半はレッズがこちらのゴールに攻めてくるのだが、なかなかボールもこっちへ来ない。
前半終了ちょっと前の決定的チャンスも、起点になったのは西川のゴールキックだった。酒井は休み、興梠も前半は出ずで、結局、まだ余熱が残っていたのは西川だけだったんじゃないの、と納得。どうやらきょうは0-0のスコアレスで満足しとこう、と自分に言い聞かせる
中三日 それでも西川 余熱かな
いや、まいった、まいった。その西川ですら後半に入ると、もう熱は残ってなかったようで、シュートにうまく対応できない。興梠や関根が入っても、攻撃の形もうまく作れない。
続けざまの失点で0-2か。こんなんだったら、思いっきりのターンオーバーで、西川だのショルツだの明本だの、6日に出てたメンバーはみんな休ませても良かったくらい。
「強いレッズ」を期待した人たちの多くはガッカリしたであろうし、実際に終了前に席を立った観客も少なくなかった。なぜか私の近くで席を立った人たちにはスーツ姿が多かったような。仕事帰りのサラリーマンで、どうにも早めに仕事を済ませ、ACLのようにレッズに勝ってもらって日頃のストレスを晴らしたい、みたいな人達なのかもしれない。かえって負けてストレスためちゃったかもしれない。
勝ったサガンのサポーターが鉄道唱歌の替え歌で盛り上がっているのを見て、「勝っておめでとう」と祝福する以上に、おちょくられてるみたいでちょっとハラがたった。
負け戦 鉄道唱歌に ハラが立つ
どこがアジアトップなんだ!と怒りを込み上げさせつつ埼スタのゲートをくぐるあたりで、横にいた二人組の会話が耳に入った。
「おかしいよね。アジアで一番強いはずじゃなかったのか」
「たぶん、埼スタって、アジアじゃないんじゃない」
よし、これは「いただき!」と立て続けに2句。
なぜ負けた アジアで一番 強いはず
もしかして アジアじゃないのか 埼スタは
次は14日。さすがにコンディションは回復してるでしょ。
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。現在、去年一年の記事をまとめた単行本『浦和レッズ川柳2022』(飯塚書店)が好評発売中。代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、昨年9月、お笑い系プロダクション「浅井企画」の元専務・川岸咨鴻氏の半生を追った『川岸咨鴻伝 コサキンを「3億年許さん」と叱責した男』をリリース。11月上旬には『タブレット純のローヤルレコード聖地純礼』も発売。今年4月には、漫才協会在籍30年の浅草芸人・ビックボーイズ・なべかずおが半生を振り返る『たまらんぜ! 芸人人生七転び八転び』を出す。