『初めて采配を楽しみに埼スタへ行った夜』浦和vs広島【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■観客数も上昇傾向
先週末くらいには、週刊天気予報で「31日は雨」だったような気がするが、幸いにも、夜中に雨が降った後は、いい天気。この天気と同じで、ここ2、3試合、不安な滑り出しながら、後半になってみるとうまく勝ち切ってしまうのが今のレッズ。ほぼ実力に差がない先発組とサブ組を絶妙に組み合わせて結果的に勝ちに持っていくのだから、これはどうもスコルジャ監督の「手腕」なのかもしれない。
それできょうは、どういうところで、どういうふうにメンバーチェンジするのかを注目しながら試合を見ていこうかな、と出発前に考えた。私としては、こういう「采配」見物をメインに埼スタに来たのはめったにない。ていうか、初めてかも。
また、陽が沈み切らないうちに自転車で埼スタに着きたかったために、到着は6時半過ぎ。
スコルジャの 采配見たくて ペダルこぎ
平日夜なのに、案外、子供連れがいる。まあ、集客数は2万くらいかな、と予想したら、ほぼそのくらいの埋まり具合になっていく。10年以上前なら、きょうくらいの条件で3万も珍しくなかったが、今なら上々だろう。これからリーグ戦勝ち進んでいけば、平日でも3万超えは出てくるって。
平日の 3万超えも 夏か秋
■今日も冴えるスコルジャ監督
さあ、試合開始、となったら、どうも私たちのいる南側自由席の方にレッズが攻めてくる回数より、向こうに攻められてる回数が多い。つまり押されてる。
チャンスもなくはないにせよ、ゴールが決まりそうな匂いがしない。特にカンテだな。7分くらいに来たチャンスを決められなかったのは仕方ないとして、どうも、「最後の一歩」が出せない選手のような気がする。ほら、前のACL決勝で点を決めたラファエル・シルバにせよ、すぐいなくなっちゃったレオナルドにせよ、「最後の一歩でボールを足に当てて点を決める」能力があった。それが、見ている限りカンテには感じられないのだ。運動能力とか足の速さとかじゃない、天性のカンというかセンスというか。
関根も、やたらとよく動くし、オーロラビジョンにもよく映るのだが、その割に決定的な仕事が少ない。ただ、興梠やリンセン、カンテに比べて、関根の代わりは埋めづらいのも確かだな。
点決める 一歩が出なきゃ そりゃあかんて
ちょっと強引なダジャレだな。
しかしきょうのスコルジャのチェンジは、ますます絶好調だった。後半に入って、1点取られた後、カンテ引っ込めて興梠のほか、モ―ベルグに代えて大久保、岩尾に代えてリンセンと、思い切って攻撃陣を総とっかえしてしまった。そしたら、何か詰まってたみたいだった歯車が急に滑らかに動き出した。
また、酒井が実にいい味を出しているのだ。全力疾走しているようにも見えないし、前にも書いたが、あの闘莉王みたいに、前にいる人間かき分けて飛び出してくるみたいな強引さもないのに、気が付いたら、攻撃でも守備でもいいポジションにいる。ゴール横の左サイドへのロングパスもピタッと決める。
でもって、きょうなんか、ゴール決めちゃったもんね。2点目も起点になったのは酒井だし。ホント、「自然体」な感じのまま、前にうしろに移動し、攻守のバランスをとってる酒井は、俳優にたとえるとワキでドラマを締めるけど主役だってやれちゃう小日向文世あたりの立ち位置かな。いや、ちょっとたとえが老け過ぎか。
うしろヨシ 前でもヨシの 2番かな
リンセンのアシストもよかったものの、点を決められないのは「めぐりあわせ」か。
最後の方で関根も交替で引っ込めたあたり、スコルジャの「点の匂いのしない選手はチェンジする」嗅覚も、相当なものなのかもしれない。
で、結局、今日も後半の入れ替えをキッカケにして勝っちゃった。さ、自転車でまた帰ろう。
スコルジャの 采配見届け ペダルこぎ
動画:ニューヒーロー・早川!浦和レッズ川柳2023【4月編】
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。現在、去年一年の記事をまとめた単行本『浦和レッズ川柳2022』(飯塚書店)が好評発売中。代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、昨年9月、お笑い系プロダクション「浅井企画」の元専務・川岸咨鴻氏の半生を追った『川岸咨鴻伝 コサキンを「3億年許さん」と叱責した男』をリリース。11月上旬には『タブレット純のローヤルレコード聖地純礼』も発売。今年4月には、漫才協会在籍30年の浅草芸人・ビックボーイズ・なべかずおが半生を振り返る『たまらんぜ! 芸人人生七転び八転び』を出す。