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電車でお花見ウォーキング 江戸時代から続く古道と自然と桜の花を楽しみながら歩く日帰り旅

わか子ライター
秩父三十四観音霊場 23番音楽寺

2024年、今年の春の訪れは例年よりもゆっくりですが、それでも暖かくなってきた今日この頃であり、各地で桜の開花宣言も出されるようになりました。
桜の開花宣言を聞くと、どうしてもお花見に出かけたくなります。今年は何処に出かけようかと考えて、桜の開花情報を確認しながら何だかソワソワしています。桜の花を楽しめる期間はとても短いですが、満開の桜はもちろん、散り際に舞う桜の花びらも、とても美しいです。自宅近くでも桜を楽しめる場所はあるのですが、せっかくなので一日出かける予定を立てて、非日常も楽しめる日帰り旅はいかがでしょうか。

埼玉県秩父には日本百観音霊場の1つである秩父三十四観音霊場があります。鎌倉時代である1234年に開創と伝えられており、江戸時代には庶民にも観音信仰が広まり多くの参拝者が訪れました。
三十四か所あるすべての札所(お寺)を一番から順番に全て巡ると約100kmの距離になりますが、札所巡りにはお参りする方法や順番などに規定は無いので、暖かく晴れた春の一日を青空の下で桜の花を楽しむお出かけウォーキングです。

秩父三十四観音霊場巡り:お地蔵様と桜
秩父三十四観音霊場巡り:お地蔵様と桜

コースの紹介

秩父三十四観音霊場の札所19番から23番までを巡礼するコースのご紹介です。秩父札所巡りの中でも江戸巡礼古道として人気がある古道を含んでおり、札所間のみだと歩く距離は約8kmです。

19番、龍谷(りゅうせき)寺

龍谷寺はNHKの番組であるブラタモリで紹介されたことがあるお寺です。お寺の観音堂が建っている場所は大きな一枚岩の上であり、その岩盤は約1500万年前に上昇した外秩父盆地から流れ込んできた砂岩だとあります。(関連サイト:ジオパーク秩父札所19番龍谷寺の角礫質砂岩

19番龍谷寺
19番龍谷寺

お堂の前に建つだけでも岩盤の大きさを実感することは出来ますが、境内を出て外側を回り込むと岩盤が露出しているのを見られる場所があります。岩盤の表面にはポットホールもあるので、隆起する前には荒川の流れで岩が侵食されていたのが良く分かります。

お寺の裏側に回ると、大きな岩盤が良く分かる
お寺の裏側に回ると、大きな岩盤が良く分かる

20番、岩の上堂

秩父盆地は荒川の河岸段丘で出来ているので、その荒川の浸食で造られた崖の上に岩の上堂があります

20番 岩の上堂
20番 岩の上堂

文字通り岩の上にある札所。昔は荒川を渡って河川より階段を登って参拝したと言われています。現在では旧秩父橋を渡り、国道299号から旧古道へ入り歩き進み丘の上から下って参拝できるようになっています。

丘の上より岩の上堂に向かって階段を降りていく
丘の上より岩の上堂に向かって階段を降りていく

21番、観音寺

21番、22番のお寺は河岸段丘で出来た平坦な丘の上を歩き進みます。県道72号秩父荒川線沿いに21番観音寺があります。

21番観音寺
21番観音寺

観音寺は通称「矢之堂」と呼ばれているそうで、観音堂の正面にも矢之堂と書かれています。
境内には「しずかさや 岩にしみる 蝉の声」と刻まれている芭蕉の句碑があり、この地の画家により大正13年(1924年)建立されたと書かれています。

22番、童子堂

童子堂は江戸時代には別の場所にありその跡地は今でもあるのですが、明治末期に巡礼するのに便利な今の場所に移ったとあります。平安時代である915年に村の子どもたちの間で天然痘が流行った際に、観音様を祀りお参りして病が治まったのがきっかけで童子堂と呼ばれるようになったそうです。

22番童子堂 仁王門(手前)観音堂(右奥)
22番童子堂 仁王門(手前)観音堂(右奥)

童子堂と言う名前によるものなのか、仁王門に祀られている仁王像は特徴的な顔をされています。他にも境内には身代わり地蔵やとげぬき地蔵、不動明王等の多くの石仏が祀られています。

童子堂入り口にある入り口のお地蔵様と武甲山 台座には安政4年(1857年)とある
童子堂入り口にある入り口のお地蔵様と武甲山 台座には安政4年(1857年)とある

23番、音楽寺

童子堂を出ると、巡礼道は山の方へと向かっていきます。次の24番音楽寺は秩父ミューズパークがある山にあるので、ぐんぐん坂を登ります。

23番音楽寺
23番音楽寺

音楽寺の境内でお参りした後、境内の奥に入り込むように進んで更に上に登っていくと、秩父札所を開創したと言われる十三賢者を祀る十三地蔵があります。音楽寺と言う名前は十三賢者がこの山の松風の音を聞いた時に菩薩が奏でる音楽に感じたことに由来すると言われています。

十三地蔵(音楽寺)
十三地蔵(音楽寺)

音楽寺から次の24番法泉寺までは車で走れる道路が整備されていますが、この区間には長尾根道と言われる江戸時代の巡礼道がハイキングコースとして残っています。約1時間の道のりではありますが、この機会に是非、非日常を感じられる山中の古道を楽しんで歩きましょう。

念仏坂:江戸時代の巡礼者が極楽往生を願いながら念仏を唱えこの坂を往来した
念仏坂:江戸時代の巡礼者が極楽往生を願いながら念仏を唱えこの坂を往来した

24番、法泉寺

長尾根道ハイキングコースで山中を歩いた後に県道へ出ると、24番法泉寺へと続く長い階段が目の前に現れます。その階段の数は117段もあります。ここまで歩く旅をしてきた足にとっては試練の様にも感じますが、ここまで頑張ったからこそ諦める選択肢はありません。頑張って登ります。

24番法泉寺前の階段は117段
24番法泉寺前の階段は117段

やっとのことで階段を登りきると目の前に観音堂が現れます。この観音堂は江戸時代中期の物と言われており、仁王門を兼ねている珍しい造りになっています。

法泉寺の観音堂
法泉寺の観音堂

休憩場所とお手洗い、売店

今回の歩くコースでは、各札所にお手洗いや休憩できるベンチが整備されており、巡礼がしやすくなっています。コースは秩父盆地の自然豊かな場所である為、タイミング良くお店は無く、自販機も少ないです。昼食や軽食、多めの飲み物を持参してください。

青空の下で食べる食事は美味しい(22番童子堂のベンチ)
青空の下で食べる食事は美味しい(22番童子堂のベンチ)

※2024年3月30日投稿
現地へ出かけられる際には桜の開花情報を確認してください

今回のコースと歩く距離

約8.5kmコース

スタート:秩父鉄道大野原駅

ゴール:札所二十四番バス停(14時39分発ー14時54分西武秩父駅着、15時28分発、16時19分西武秩父駅着)本数が少ないので注意してください。

西武バス秩父エリア時刻表(久那線)、西武バス運賃経路検索

約16kmコース(周回コース)

出発・到着は西武秩父駅(秩父駅)として全てを歩くコース。途中移動に電車やバスを利用しないので時間に拘束されにくくなるが、24番法泉寺から駅まで歩く距離は5km以上となるので心構えが必要。

※参考地図

秩父観光ナビ:江戸巡礼古道尾根を歩く道(PDF地図)

地図内のコースは秩父鉄道大野原駅出発し、19番札所ー25番久昌寺をお参りして秩父鉄道影森駅までを歩く約13kmのコースが乗っています。

ライター

東京都在住のおばさんです。子育てが落ち着いてきた頃より趣味で登山や街道歩き等を始めました。歩く旅は大変だというイメージがありますが、歩く事で解る楽しみもあります。実際に歩く旅をして、歩く旅の楽しさをお伝えしたいと思っています。

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