Yahoo!ニュース

張り巡らされた伏線と衝撃過ぎる結末! ラストで唖然とする“二度見必至”の救いの名作3選

渡辺晴陽作家・脚本家/エンタメアドバイザー

映画もアニメもドラマもそうですが、物語には伏線といって、ストーリー序盤にその後の展開のヒントになるシーンや情報がこっそり暗示されていることがあります。
伏線の張り方が上手いと、観客は気づかないうちに伏線となるシーンが印象づけられていて、物語が終わった後に「あのシーンは、こういう意味だったのか!」と驚きますよね!

そんな伏線の張りかたが秀逸で、ラストで全てがかみ合った瞬間にとてつもない衝撃を受けるであろう名作を3作品(洋画・邦画・アニメ)紹介します。

  • 最後の最後で見ている人の予想を裏切る展開がある
  • 一度見てから見返すと、はっきりと伏線が分かる

今回はこの2点にこだわって、見ていてスッキリする後味のいい作品を選びました。

どう考えてもバッドエンドしか想像できない物語が、あっと驚く方法でハッピーエンドになったり。「どうしてこうなった?」と違和感を覚えていたのが、最後で「そうだったのか!」と納得に変わったり。いずれも、とてもエンタメ性の高い作品です。
なお、作品の性質上、この記事はネタバレ控えめで書いております。

【洋画】監督を一躍有名にした衝撃の名作

『シックス・センス(The Sixth Sense)』

本作は1999年に公開されたアメリカの映画で、M・ナイト・シャマラン監督の出世作と言える作品です。世界で7億ドル近い興行収入を記録し、日本でも興収80億円近い興行成績を記録している大ヒット作。シャマラン監督は本作以降、『アンブレイカブル』、『サイン』などのヒット作や、ウィル・スミス原案の『アフター・アース』などの作品を手がけています。
本作『シックス・センス』は、幽霊が見えるという少年コール・シアー(演:ハーレイ・ジョエル・オスメント)と、彼を救おうとする精神科医マルコム・クロウ(演:ブルース・ウィリス)の物語。タイトルのシックス・センスは幽霊を見る第六感のことを表しています。作中には少しグロテスクな姿をした幽霊も登場しますが、一般的なホラー映画のような怖い作品ではありません。むしろ、心が温まるヒューマンドラマのような性質も持っています。また、ミステリー作品でもあるので、ハラハラドキドキするサスペンスフルな展開も楽しめます。

何より伏線の張り方が秀逸な本作。ラストシーンを見たときは、「えっ、うそっ、まさか!」と驚いて、最初から見返してみたくなるはずです。
映画館で公開されていた当時は、二度見るにはチケットを買いなおさなければいけませんでしたが、配信やレンタルなら何度でも見れますし一時停止もできます。20年以上前の映画ですが、今だからこそできる楽しみ方もあるので、興味を持った人は古い映画だなどとあなどらずに見てみてはいかがでしょうか?

【邦画】伏線に次ぐ伏線。そして、大どんでん返し

『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』

本作は2012年公開の映画で、原作は道尾秀介さんによる同名小説です。ベテラン詐欺師のタケ(演:阿部寛)、ちょっとおとぼけな感じの相棒テツ(演:村上ショージ)、スリの少女まひろ(演:能年玲奈)、まひろの姉のやひろ(演:石原さとみ)たちが奇妙な共同生活をし、あることへの復讐を兼ねた一世一代の大仕事(詐欺)へと向かう物語です。
ストーリーはとてもスリリングで、中盤には少し悲しい展開や、息のつまるようなシーンもありますが、それを越えてラストまでたどり着くと、全てがかみ合って解けていくような気持ちのいいエンディングが待っています。

本作を見終わったときには、張り巡らされた伏線に圧倒されることうけあい。映画の序盤から、ラストの大どんでん返しのヒントがたくさん散りばめられていて、どうして気づけなかったのかと不思議になるくらい。でも、気づけない……。

一度見たときと、二度目に見たときとではまったく印象が異なる本作。めちゃくちゃ面白かったけど、初見のときの感覚では二度と見られないのが悲しいです・・・。
ネタバレ無しでみられるのは最初の一回だけなので、初めてみるときには心して見ることをオススメします。
なお、絶対に事前にネタバレサイトなどを見ないこと!!

【アニメ】悲劇も、ファンタジーも、コメディも、ミステリーも

『絶園のテンペスト』

本作は2012~13年にかけて放送されたアニメで、城平京、左有秀、彩崎廉による同名漫画が原作です。作中では印象的に、シェイクスピアの『ハムレット』と『テンペスト』の引用が出てきます。
ヒロインの不破愛花(cv:花澤香菜)が何者かに殺害されていたり、もう一人のヒロインの鎖部葉風(cv:沢城みゆき)も途中で死亡していることが発覚したりと、序盤に悲劇的過ぎる展開がある本作ですが、大どんでん返しがあって見事に悲惨な展開を回避していきます。いったいどうやって絶望的な展開を好転させるのかについては、ぜひ本編をご覧ください。
本作は、創造の力を持つ「はじまりの樹」と破壊の力を司る「絶園の樹」、それらに選ばれた魔法使いの戦いが描かれるファンタジー作品ですが、二十話のサブタイトルに『フーダニット(誰がやったか)』というミステリー用語が使われているように、ミステリー色も強い作品になっています。また、話数によっては非常にコミカルで楽しい場面もあります。

悲劇とコメディ、ファンタジーとミステリーのように一見対極にありそうな要素が上手く合わさっていて、それら全てが結末へと向かう上で欠かせない伏線にもなっている本作。
全24話とそれほど長いわけではありませんが、厚みと満足感は充分な作品です。

いかがでしたか?
公開から10年以上の作品なので、すでにご覧になったという方もいるかもしれませんが、まだ見ていない人にはオススメできる作品です。
いずれも、一度見たら、もう一度はじめから見直してみたくなる作品だと思います。二度目に見るときは、早送りで飛ばしながら伏線や気になる場所をチェックしてもOKですが、どうせならフルでじっくりと見直せば、一回目と二回目で別の作品のような味わいを楽しめます。

衝撃的な結末の作品にはバッドエンドのものも多いですが、今回は比較的後味のいい名作を3作品紹介しました。気になった方はレンタルや配信などでご覧ください。なお、結末を知らずに見たほうが絶対に面白い作品なので、ご視聴の際は出来るだけレビューサイトや口コミを見ずに視聴されることをオススメします。

その他、エンタメ系情報をYahoo! JAPAN クリエイターズプログラムやTwitterで発信しています。上記のような記事に興味がある方は、合わせてご覧ください。

作家・脚本家/エンタメアドバイザー

国立理系大学院卒、元塾経営者、作家・脚本家・ライターとして活動中。エンタメ系ライターとしては、気に入ったエンタメ作品について気ままに発信している。理系の知識を生かしたストーリー分析や、考察コラムなども書いている。映画・アニメは新旧を問わず年間100本以上視聴し、漫画・小説も数多く読んでいる。好みはややニッチなものが多い。作家・脚本家としては、雑誌や書籍のミニストーリー、テレビのショートアニメや舞台脚本などを担当。2021年耳で読む本をつくろう「第1回 児童文学アワード」にて、審査員長特別賞受賞。

渡辺晴陽の最近の記事