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巨大隕石、温暖化、地球停止。地球滅亡の危機と戦う名作を見て、SDGsを考える

渡辺晴陽作家・脚本家/エンタメアドバイザー

ようやく、秋らしい涼しい毎日になりました。
かと思えば、ちょっと寒いくらいの日もありますね。

それにしても、今年の夏は本当に暑かったですね。異常気象というのか、異常が通常になりつつあるのか。地球環境を守るために、巷ではSDGsという言葉をよく耳にするようになりました。

そんなわけで今回は、秋の夜長を楽しむための映画を3本、地球の危機とSDGsの観点から選んでみました。いずれも歴史ある名作なので、ご覧になったことがある方も多いかと思いますが、SDGsが叫ばれる今だからこそ、もう一度見てみてもいいかもしれません。
まだ見ていない人には要チェックな3本、さっそく紹介していきます。

巨大隕石に立ち向かえ!

アルマゲドン

こちらは、1998年の映画です。30歳以上の方なら、ほとんどの方が知っているのではないでしょうか。

巨大な隕石(小惑星)が地球に向かってきて、およそ半月後には地球に衝突し、地球は死の惑星と化してしまう。それを防ぐためには、隕石に穴をあけて、隕石内部の深いところで核爆弾を爆発させる必要がある。そこで、掘削作業を熟知した石油掘削員たちがスペースシャトルで隕石に向かい、その破壊を試みるというストーリー。


当時の日本では、「ノストラダムスの大予言」がものすごい勢いで広まっており、1999年7の月には、恐怖の大王が天からやってきて地球が滅ぶと噂されていました。テレビ番組でも、予言の考察や、どういう現象で地球が滅ぶのかなどの話題が、わりと真面目なトーンで語られていました。
また、新約聖書の中に出てくる「ハルマゲドン(=アルマゲドン)」という世界の終末をもたらす最終戦争と絡めて語られることもありました。

もしも今、「ノストラダムスの大予言」が広まれば、フェイクニュースだとすぐに鎮静化するでしょうか? それともSNSなどでもっと爆発的に広がるでしょうか?
当時は本気で地球が滅ぶと思っていた人も少なからずいて、どうせ滅ぶならその前にと、貯金を全部使い果たしてしまった人もいたようです。
そんななかで公開されたアルマゲドンはかなり注目を集め、日本でも大ヒットし、興行収入は135億円を記録しました。もちろん、時流に乗っただけでなく、胸が熱くなるシーンや泣けるシーンもあり、展開もスリルがあって面白い映画でした。

原子力は嫌われがちで、まして核兵器なんてあってはならないものとされていますが、本作のようなシチュエーションになったとしたら核爆弾が全くない状態ではお手上げです。そんなことを思うと、「SDGsも難しいな」なんて感じるのではないでしょうか?

イメージ:隕石
イメージ:隕石

地球温暖化の末路

デイ・アフター・トゥモロー

こちらは、2004年の映画です。それなりに話題になった作品なのでご存じの方も多いでしょう。

地球温暖化によって南極大陸の氷が解け、その影響で海流が変化し、その結果として地球が逆に寒冷化して氷河期に突入してしまう物語。地球全体が凍ってゆき、もっとも冷え込むエリアではスーパー・フリーズ現象という何もかもが一瞬で凍り付いてしまう現象が起きます(オイルが凍ってしまうので、車や飛行機も動かせない危機的事態)。
ニューヨークでもその現象が起きようとしており、主人公のジャック・ホールが、ニューヨークにいる息子サムを救出に向かうストーリーが主軸に描かれています。凍り付いた街をニューヨークに向かうジャックと、急速に冷え込んでいくニューヨークで生き抜こうと奮闘するサムの二人の物語が同時進行で展開し、リズミカルな緊張感がある作品。

地球温暖化によって氷河期になるという一見すると矛盾した話ですが、本作を見ているとリアルに感じられます。現在も南極の氷はどんどん解けて行っているそうですが、2004年の時点でもかなり解けだしていて、映画中には南極の氷が崩れる実際の映像も使われています。
SDGsについて考えるきっかけとして、なかなか良い映画でしょう。

SFパニック映画ですが、ジャック視点で見れば家族愛の物語として楽しめ、サム視点で見れば冒険譚としても楽しい本作。リアリティがありすぎてちょっと怖くなりますが、まだ見ていない方には強くオススメしたい作品です。

なお、本作の続編に見せかけた『デイ・アフター・トゥモロー・〇〇〇』のような作品がいくつか作られていますが、本作とは関係ありません。

イメージ:氷山
イメージ:氷山

地球が停止する日

ザ・コア

こちらは、2003年の映画です。それほどヒットはしていませんが、テレビでは何度も放映されているので、ご覧になった方もいるかもしれません。

ある日、動物の異常行動や、原因不明の異常現象が地球規模で確認されるようになり、地球は大混乱に陥ってしまいます。この異常現象がなぜ起きているのかを科学者たちが解析したところ、異常現象は地球の深部(コア)の回転(⇒マグマの流れ)が停止してしまったせいで、このままでは地球は滅亡すると判明します。そこで、学者たちは地底探査艇に乗り込み、コアで核爆発を起こして止まってしまったコアの回転を復活させようとします。

いろいろな意味でアツい本作。最大の魅力は地底を描いた映像でしょう。
地底探査艇でどんどん地中深くへと潜っていくストーリーなので、場面は探査艇の内部が中心になります。ですが、窮屈さや息苦しさは感じません。
地底のマグマの中を突き進むシーンや、マグマのない岩盤の間を進むシーンなどは神秘的で、「もしかしたら地球のコアはこんな風なのかなぁ」なんて、近そうで遠い地底に思いを馳せたくなる作品です。
勇敢なシーンや、壮絶なシーンがあり、ドラマとしてもぐっと引き込まれることでしょう。

科学万能というと言葉が古いですが、ネットやスマホが発展した現代。何もかもが分かったような気持ちになることもあると思います。そんな現代だからこそ、実は分からないことが沢山あって、地底とか海底にもまだまだ未知の世界が広がっていると感じられるこの作品をオススメしたいです。
本作を見れば、きっと自然の偉大さについて考えてしまうはず!

イメージ:マグマ
イメージ:マグマ

今回は芸術の秋にせっかく見るならSDGsについて考えるきっかけになるような、ちょっと勉強になる3作品をと言うことで、『アルマゲドン』、『デイ・アフター・トゥモロー』、『ザ・コア』を紹介しました。
いずれも、地球や宇宙の神秘を感じられる壮大な名作です。

興味を持たれた方は、秋の夜長にご覧になってはいかがでしょうか?

作家・脚本家/エンタメアドバイザー

国立理系大学院卒、元塾経営者、作家・脚本家・ライターとして活動中。エンタメ系ライターとしては、気に入ったエンタメ作品について気ままに発信している。理系の知識を生かしたストーリー分析や、考察コラムなども書いている。映画・アニメは新旧を問わず年間100本以上視聴し、漫画・小説も数多く読んでいる。好みはややニッチなものが多い。作家・脚本家としては、雑誌や書籍のミニストーリー、テレビのショートアニメや舞台脚本などを担当。2021年耳で読む本をつくろう「第1回 児童文学アワード」にて、審査員長特別賞受賞。

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