【富士宮市】本殿がない⁈古くからの富士山祭祀の形が今も残る『山宮浅間神社』
山宮浅間神社は富士山構成資産の一つです。
1900年以上の歴史を持つ山宮浅間神社。紀元前27年に富士山の神を山足の地に祀ったことに由来し、西暦110年に日本武尊(やまとたけるのみこと)が現在の位置に移し、山宮浅間神社が成立されたと言われています。
その約700年後に現在の本宮浅間神社に遷され、山宮(元宮)となったそうです。
駐車場から10ほど北に歩くと鳥居があります。
鳥居を潜ると、富士山頂方向へまっすぐな道が続きます。背の高い杉の木と灯篭の間の参道は、凛とした空気が漂っています。
ちょうど半分歩いた辺りの場所に、籠屋(社務所)があります。昔ここは祭儀を執り行った神職が一晩こもって祈祷したところです。現在は無人で、お賽銭箱と山宮浅間神社のパンフレットが置いてあります。
籠屋を通り過ぎると参道は途中から細い階段になり、遥拝所に繋がります。参道の真ん中にある丸い石、これは鉾立石と言われ、御神幸の途中の休憩時に鉾を置くための石だそうです。いくつかあったと言われる鉾立石ですが、現在は山宮浅間神社の参道に2つ、本宮浅間神社に1つ残っているだけです。
遥拝所は長方形の玉垣に囲まれています。
玉垣の中は石列で区分されたいくつかの遥拝所が設置されているそうです。
このような特異な形態は、富士山を神と考え、山体を直接拝む古代からの富士山祭祀の形を留めていると推定されています。
ここから富士山を直接拝んだとされているだけあり、玉垣の上には大きく富士山を仰ぐことができました。
境内に社殿がない、山宮浅間神社。何度か社殿を建てようとしたらしいのですが、その度に大風の被害に合い、建設することを断念したそうです。
人工物が何も映らない遥拝所の形式を、富士山の神が愛していたからなのかなぁとこんな昔話を聞きながら思いを馳せていました。
本宮浅間神社の起源となった、最も古い歴史を持つ山宮浅間神社の遥拝所から仰ぐ富士山に年初めの祈願をしたら、御利益がありそうですね。
山宮浅間神社:富士宮市山宮740
アクセス:登山道入口の信号を右折 県道180号を北へ向かい山宮北信号機を越して左側
問い合わせ:富士宮市世界遺産課
TEL:0544-22-1111(市役所代表)
案内所(休日のみ10:00~15:00) 0544⁻58-5190
*案内所開館時間には、富士山世界遺産ガイドによる案内を受ける事ができます。また御朱印も案内所開館時間にお願いすることができます。*