【富士宮市】古き良き時代の面影がそのまま残る純喫茶『らんぶる』
亡き叔父がこよなく愛した喫茶店『らんぶる』。
生前、病室の中で『らんぶるの珈琲が飲みたい』と口癖のように言っていたのを、昨日の事のように思い出します。
外出許可が出て、『来週に行けるね』なんて話していた矢先に叔父は亡くなり、叶わぬ約束となっていました。
叔父の写真をバッグの中に潜めて、『らんぶる』にやって来ました。
黄色と白のレトロなタイルが貼られている入口で、沢山の植物が出迎えてくれました。昔は全部がタイル貼りだったそうですが、台風などではがれてしまい、現在のような風合いになったそうです。
ガラスの扉を開けると、モザイクタイルが施された壁、重量感のあるソファー、背面一面に並べられたグラスが照明の光を受けて輝くカウンター、天井から下がるシャンデリア、店内を構成する1つ1つが年代を物語っているようです。
お店は今から60年以上も前の、昭和35年に開店したそうで、当時は奥庭や池もあったそうです。懐かしそうに話してくれた店主さんが、当時の写真を見せて下さいました。
メニューは4枚。全て手書きで温かみを感じます。
お昼時を過ぎていましたが、小腹が減っていたので、カレーとらんぶるブレンドとクリームソーダを注文しました。
カレーの見た目は素朴な感じですが、スパイスが効いていて、少し辛めの大人の美味しさでした。
お店の名前『らんぶる』とは、茶色い半透明の宝石『琥珀』の意味です。静岡のトミヤコーヒー豆を使い、富士宮の湧水で淹れたこだわりのらんぶるブレンドは苦みの少ないスタンダードなコーヒーをエスプレッソ気味に淹れています。珈琲の色を『琥珀』に見立てて名付けられただけあり、飲みやすいのに満足できる、味覚を追求した完成度の高い味でした。
純喫茶に来たら頼みたい定番のクリームソーダは、触っていたくなる手触りのて敵なグラスで提供してくれました。
どれもこれも、始めて来たのに懐かしさを感じる味でした。
古き良き昭和の時代を覚える喫茶『らんぶる』。
ふと亡き叔父が「うまいだろ?」と隣で微笑んでいるような錯覚を感じ、後ろ髪を引かれる思いで、店を後にしました。
喫茶らんぶる
住所:富士宮市大宮町17-14
TEL:0544-24-1340
営業時間:10:00~17:00
定休日:水曜日