【富士宮市】『源頼朝巻狩りの地』由来の山桜『駒止めの桜』と、歴史的建造物『井出家の高麗門と長屋』
『駒止めの桜』または『狩宿の桜』と呼ばれる山桜は、樹齢約800年以上、枝張り14mという大きな古木です。古木でありながら毎年4月中旬頃から咲き始めその見事な美しさは多くの観光者を魅了しています。
国指定の特別天然記念物にもなっている『駒止めの桜』は、源頼朝が富士の巻狩りで、馬をつなぎとめていたと伝えられていて、その名の由来にもなっています。
葉も花もない時期でしたが、その存在感は圧倒されるものでした。
『駒止めの桜』後ろには清流が流れる小川があり、石の橋が架かっています。
この橋を渡ると右側に句碑が立っています。この句碑は白糸の滝の駐車場にあったものを、こちらに移設して来たそうです。
右の句は『夏雲は湧き諸滝は鳴りに鳴る(夏の雲は高く湧き上がっており、その下の白糸の諸滝はすさまじい音を立てて落下している)』、真ん中の句は『花見にと馬に鞍置く心あり(昔の人が馬に鞍を置いたときと同じ心情で、花見に行こう)』左の句は『紅葉中夕べの滝のただ白し(日暮れを迎えた紅葉の中では、滝の白さが一層くっきり目に映る)』という意味でしょうか。
富士宮市では毎年『富士山を詠む』という俳句集が作成されていますが、多くの自然と雄大な富士山がある市内の至る所で素敵な句が生まれる理由が納得できます。
奥正面には、大きな高麗門と長屋がどっしりと構えています。
井出家は中世以来の歴史を持つ名家であり、富士の巻狩りの際、源頼朝が仮宿としたと伝えられています。
『井出家の高麗門と長屋』は江戸時代後期の歴史的建造物とされ、富士宮市指定文化財になっています。
門の隅には茅葺の吹き替え工事を行った方々の名前を書いた看板が立てられていました。現在でも歴史的建造物を修繕補修する為に技術を持った職人さんがいるんですね。頭が下がります。
『高麗門と長屋』から富士山を眺めると、とにかく素晴らしい景色です。
『富士見にと馬に鞍置く心あり』ほぼ盗作の句を頭に思い浮かべ、自分を笑う自分。誰かに見られたら、おかしな人だと思われても仕方ありません。
誰にも見られないように急いでヘルメットを被り、春が来るのを心待ちにして、バイクのエンジンをかけました。
駒止めの桜・狩宿の桜:富士宮市狩宿98−2
アクセス:富士宮駅から県道414号を北に向かい、富士宮信用金庫上井出支店さんを左折、県道75号線を道なりに進み、橋を渡って右側。