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【富士宮市】地名『大岩』の由来⁈~富士山の溶岩を祀る『大岩子安神社』~

渡辺雅来地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

中学生の頃、友達に誘われて来た『大岩子安神社』。
友人曰く、「『大岩子安神社』は学問の神様だから、同じ高校に行けるように願掛けしよう」とのこと。知識がない2人で大岩に「同じ高校に行けますように!」とお祈りしたことを、ふと思い出しました。

小高い傾斜に鎮座しています。
小高い傾斜に鎮座しています。

明治以前『大岩子安神社』はその名を『大岩御前社』といい、『犬飼明神』と『木之花咲耶姫命』を御祭神としていました。
『犬飼明神』は竹取物語でかぐや姫を育てたおばあさん。かぐや姫のおばあさんって神様だったの?と驚く方もいると思いますが、「富士縁起(富士山に関する起源・沿革や由来を示したもの)」によるとかぐや姫は月に帰ったのではなく、富士山の山頂で『浅間大明神』に、おじいさんは愛鷹山で「愛鷹権現」、おばあさんは富士山の今山で「犬飼明神」という神様になったとされています。
かぐや姫を無事に大きく立派に育てた『犬飼明神』、そして燃え盛る産屋で無事に三人の子供を出産した『木之花咲耶姫命』を御祭神としている『大岩御前社』は安産の神様とされ地域の方々を中心に信仰されていました。
明治になると『大岩御前社』は『大岩子安神社』に改名され、御祭神は『木之花咲耶姫命』に統一されました。
『大岩子安神社』では『木之花咲耶姫命』を『子安大神』の神名で祀り、御利益は子授け・安産・育児・家庭円満とされています。

拝殿横に由緒が書かれていました。
拝殿横に由緒が書かれていました。

昔は地域に嫁に来た若い女性を集めて、この神社で子授け祈願も行われていたそうです。
そして地名の由来となった大岩は『大岩子安神社』本殿裏にあります。

神殿
神殿

この岩は縄文初期に表富士標高1600m付近から噴出した元村山溶岩流の末端で、火口から溶岩流で運ばれて来た溶岩とみられています。高さ、3m弱と言ったところでしょうか。樹木と一体化したような大岩には、しめ縄がかけられていました。この岩が地名『大岩』の由来になったと言われています。

これが地名の由来となった『大岩』
これが地名の由来となった『大岩』

ところで、合格祈願に訪れた中学生の頃の私達…見当違いだと思っていましたが、境内に小さな社があり、その中に祀られていたのは学問の神様の藤原道真公でした。
あの頃は気が付いてもいませんでしたが(笑)

学問の神様として有名です。
学問の神様として有名です。

小高くなった境内で中学生の頃の思い出と、子供の頃の通学路だった懐かしさに浸り、南を眺めていた私の足元に、サッカーボールが転がって来ました。
「すみません」と走って取りに来た小学生くらいの男の子。「いくよ!」と蹴り返したボールは、元気良く弾んで男の子の元へ帰りました。

拝殿前は小さな公園になっています。
拝殿前は小さな公園になっています。

大岩子安神社:富士宮市大岩字峰谷戸399
アクセス:県道397号を北へ向かいなかがわ眼科さんのある複雑な信号の手前を右折、約200mほど先の左側

地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

身近の新しい発見や、小さな幸せを探して日々バイクで放浪しながら活動しているライターです。記事を通じてみなさまの発見や幸せに繋がれば嬉しいです。趣味はバイク、ガーデニング、猫(無類の猫好き)です。

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