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【富士宮市】昔肝試しした記憶がある人この指とーまれ!~新田忠常も探索した『人穴富士講遺跡』~

渡辺雅来地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

「人穴の鳥居をくぐると事故に合う」という都市伝説が行き交い、若い頃、友達同士で肝試しに来た場所…富士宮在住の方なら、そんな思い出のある方も少なくないのではないでしょうか。

明るくなりましたが、鳥居は当時のままでした
明るくなりましたが、鳥居は当時のままでした

人通りもなく、車もあまり通らない暗い道の脇にひっそりと建つ鳥居、どこまで続いているのか分からない深い溶岩洞窟、その横に並ぶお墓のようなもの…まだ人穴富士講遺跡がなんなのか知らなかった若かりし頃には、とても怖いもののように映りました。

富士山が世界遺産となり、人穴富士講遺跡が構成資産になると、人穴富士講遺跡のちょっと不気味だった雰囲気は一掃され、散策しやすい場所となりました。
そして、人穴富士講遺跡の歴史を知ることで、恐怖は興味へと変わりました。

不気味さは全くなくなった参道
不気味さは全くなくなった参道

鳥居の北側には広くて明るい駐車場があります。10台くらいは停められるのではないでしょうか。

参道も舗装されて、歩きやすくなっています。

新しく奉納された鳥居
新しく奉納された鳥居

令和3年に奉納されたばかりの鳥居は、まだヒノキの良い香りがしそうな面持ちで、そこにありました。

この道も昔は暗くて怖かった思い出があります。
この道も昔は暗くて怖かった思い出があります。

人穴が歴史の資料に登場するのは鎌倉時代。
源頼家が新田忠常に人穴の調査を命じています。
新田忠常といえば曽我兄弟の兄を打ち取った猛者!新田忠常は6人の郎従を従い人穴の調査に向かいますが、なぜか4人は人穴内で急死。忠常は将軍から賜った剣をそこにいた浅間大神へと献上し,戻ることができたと綴られています。

また富士講の開祖・藤原角行が洞内で修行をし、悟りを得た場所、そして入滅をした場所として富士講の聖地として参詣・修行の場となったそうです。

今は入れません。
今は入れません。

人穴洞穴は入口の狭い階段を降りると扁平で床面は平坦で板が敷いてあり、板の下は田んぼの泥みたいでした。
あちこちに石造物が祀られていて、最奥部は水が溜まっていた記憶がありますが、現在は文化財保護、安全上の問題から無断で入れなくなっていました。
(事前申込をすれば、安全対策を行った一部区間については入洞可能だそうです)

拝殿。昔はなかったと思います。
拝殿。昔はなかったと思います。

拝殿は、昔はなかったと思います。

最近作られたようでまだ新しく綺麗な感じでした。拝殿左側には碑塔群が200基ほど並んでいます。

展望場から見た景色
展望場から見た景色

昔はこれが全部お墓だと思っていたので、とても怖かった記憶がありますが、先達の供養や大願成就記念に富士講の人達が建てたものだそうです。

奥には展望場があり、碑塔群、拝殿と富士山を一望できるようになっていました。

歴史を知ったうえで訪れる人穴富士講遺跡は、昔とは全く違ったイメージでした。
まだ心霊スポットだと思って足が遠退いている方に、ぜひ訪れてみて頂きたい!

人穴富士講遺跡
住所:富士宮市人穴206
TEL: 0544-52-1620(人穴富士講遺跡案内所)
人穴富士講遺跡案内所は土・日・祝日の10時~15時開館
*開館時は、富士山世界遺産ガイドによる案内を受けることができます。

地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

身近の新しい発見や、小さな幸せを探して日々バイクで放浪しながら活動しているライターです。記事を通じてみなさまの発見や幸せに繋がれば嬉しいです。趣味はバイク、ガーデニング、猫(無類の猫好き)です。

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