Yahoo!ニュース

【御殿場市】川の表情がガラッと変わる神秘的な『牛渕』 名前の由来 そして川なのに雨乞いを行う理由は…

渡辺雅来地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

御殿場プレミアム・アウトレットの駐車場P5を出て左折し、桑木西バスターミナルのあるT字路を左折、市道を約800m進んだ鮎沢川に『牛渕』と呼ばれる場所があります。

道路から一段下に降りられる階段があり階段の前には『牛渕』についての説明看板がありました。

道路沿いにある説明看板
道路沿いにある説明看板

江戸時代中期に村人が飼っていたどう猛な牛が牛小屋から逃げ出し、村人たちは松明を持ってどう猛な牛を鮎沢川の崖の上に追い詰めると、牛は崖の上から深い淵ふちに転落しました。
その日から激しい雷雨が降り続き、淵の中からは牛のうめくような音が聞こえました。

看板を読むと、『牛渕』の名の由来は、この話からだという事は分かりました。

階段があり、川の近くまで降りられます。
階段があり、川の近くまで降りられます。

疑問に思ったのはこの後の「毎年8月に麦わらで作った子牛を淵に投げ入れ雨乞いをしている」ということです。
牛が落ちて雷雨が続いたから、牛を淵に落とせば雨が降る…と原理は理解できますが、川があるのに雨乞いする理由が分かりません。

そこで調べてみると鮎沢川は水位が水田よりも低く、水をくみ上げて利用することができなかったそうです。(川面は階段を下りても、まだずっと低い位置でした)

川の流れは道からかなり低い位置です。
川の流れは道からかなり低い位置です。

江戸時代は米の値段と言うのは金の価値以上に重要で、水が足りずに米が不作となれば、死活問題でした。雨乞いは「田畑を潤す雨水」のためのものだったのです。

鮎沢川流と牛淵を比べると、ガラッと感じが変わります。
鮎沢川流と牛淵を比べると、ガラッと感じが変わります。

淵と苔の生えた岩は神秘的!
淵と苔の生えた岩は神秘的!

その後の鮎沢川では、和田橋の上流水の取り入れ口が設けられたことで、深沢の水事情は改善しましたが、深沢の無事と繁栄を願うという気持ちを込めて、この神事は現在でも引き継がれているそうです。

歴史ある古き神事が現在も引き継がれている『牛渕』。

こうした地域の歴史を後世につないでいくことも、今生きている私達の使命ではないかと思い起された場所でした。


鮎沢川 牛渕
アクセス:御殿場プレミアム・アウトレットの西側の市道『紅葉橋』『暢気父橋』の間

地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

身近の新しい発見や、小さな幸せを探して日々バイクで放浪しながら活動しているライターです。記事を通じてみなさまの発見や幸せに繋がれば嬉しいです。趣味はバイク、ガーデニング、猫(無類の猫好き)です。

渡辺雅来の最近の記事