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【御殿場市】インター付近田園風景に溶け込む『鮎澤神社』 奉納される三番叟は文化財にもなっています

渡辺雅来地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

御殿場第2インターチェンジ付近、国道138号線御殿場バイパスはとプレミアムアウトレットに向かう車や箱根にアクセスしやすいため、休日は混雑します。
混雑を避けようと脇道に入ったところで、小さな神社を見つけたので立ち寄ってみました。

鮎澤神社

参道とグラウンド
参道とグラウンド

右手には広いグラウンド、左手にはコンクリートで固められた参道が続きます。
グラウンドの名前は『鮎沢グランド場』。管理しているのは鮎沢区。この地域一帯のことを鮎沢というようです。
鮎沢グランド場夜間照明設備使用規則の書かれた看板の横には石碑と道祖神が祀られていました。

参道左手には石碑が建てられています
参道左手には石碑が建てられています

参道の左側には『鮎澤神社』と刻まれた御影石の石碑が建ち、側面には合祀百年記念と刻まれていました。

鳥居
鳥居

参道を歩いていくと、その先には鳥居があります。
先ほどの石碑とは違い、かなり年季の入ったように見える鳥居。額束にはなんと書いてあるのか分からないほどで、鳥居の上部にはもこもこと苔が息づいていました。

株から芽吹いた新しい命
株から芽吹いた新しい命

鳥居の先は階段になっています。階段を登る途中で、折れてしまった古木の株から芽吹いている新たな芽を発見しました。

階段を登り切ると、御神木とも思える立派な木の前に、鮎澤神社の由緒が書かれた看板がありました。
先ほどのグラウンドの管理者が鮎沢区になっていたので、この辺りの地名と思っていましたが、神社の鎮座地は新橋になっていました。

手水舎と宝物庫
手水舎と宝物庫

神興殿
神興殿

左側には手水舎と宝物庫、右側には神興殿があり、真ん中に神殿が祀られています。

神々しいほどに輝く神殿
神々しいほどに輝く神殿

グラウンドと逆側には森林があり、境内に差し込む光が神々しく輝いていました。

神殿中
神殿中

神殿の中を覗かせて頂くと凛とした空気が漂い、幾枚かの賞状と昔の写真が飾られているのが分かりました。

由緒から

由緒を読むと、鮎澤区内にあった3社を明治43年合祀に合祀したそうです。

由緒書き
由緒書き

合祀されたとされるのは、厄除け・五穀豊穣の神様と言われる素戔嗚尊(すさのおのみこと)を御祭神とする八坂神社、富士山を神格化した木花開耶姫命(このはなさくやひめ)を御祭神とする浅間神社、「天」を支配する天照大御神こと大日孁命(おおひるめのみこと)と夜を統べる月夜見命(つきよみのみこと)を祀る日月神社の3社。
この時に『鮎澤神社』と改称されました。
現在の社殿は昭和43年に区民總意の元に新築されたそうです。

名前の由来

「鮎沢」と書いて、「あゆざわ」ではなく「あいざわ」と読むのに何か理由があるのかと調べてみました。

ふりがなであいざわと記されています
ふりがなであいざわと記されています

「鮎沢」は、富士山・愛鷹山と箱根に挟まれた間の沢という意味で、小山町竹之下、沼津市大岡など広範囲を示す地名として使われていたのだそう。
「間の沢」だから「鮎澤」と書いて「あいざわ」と読むのですね。

御殿場市で唯一の三番叟が奉納される神社

神殿の中を覗かせて頂いたときに気になったのが左側に掲示されていた『文化財指定書』。
遠くて良く見れませんでしたが、御殿場デジタル資料館で確認すると例祭の宵宮(10月の最終土曜日の夜)に拝殿で三番叟が奉納されるのだそうです。
足拍子に農事にかかわる地固めの、鈴ノ段では種まきを思わせる所作があり、五穀豊穣を寿ぐという三番叟が奉納されるのは、御殿場市で唯一『鮎澤神社』だけなのだそうです。

境内奥の森から差し込む日差し
境内奥の森から差し込む日差し

渋滞回避のために通った回り道で、たまたま立ち寄った『鮎澤神社』でしたが、江戸後期頃から開始されたと想定される三番叟が引き継がれている由緒ある神社でありました。

鮎沢神社:御殿場市新橋273

地域情報発信ライター・執筆家(富士宮市・御殿場市)

身近の新しい発見や、小さな幸せを探して日々バイクで放浪しながら活動しているライターです。記事を通じてみなさまの発見や幸せに繋がれば嬉しいです。趣味はバイク、ガーデニング、猫(無類の猫好き)です。

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