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「能登の支えに!」焼鳥職人が12時間、焼き続けるチャリティーイベント!売上は酒蔵の復興に【金沢市】

今回冒険するのは、石川県金沢市の焼鳥屋「たまや」……と言っても、通常営業じゃない。2024年1月1日に起きた能登半島地震。その復興の支えになろうと、北陸をはじめ日本全国の焼鳥屋が手を携えたチャリティーイベント「絆YAKITORI」だ。

この1日のために焼鳥職人が集結

3月17日(日)、金沢で1日限りのチャリティーイベント「絆YAKITORI」が開催された。その会場に選ばれたのは金沢駅からほど近くの焼鳥屋「たまや」。石川県と富山県、東京の焼鳥職人6人に小松市出身のスペイン料理シェフを加えた7人が12時間耐久で焼鳥コースを振る舞い、その売り上げを復興のために寄付するというもの。

驚くことに、このチャリティーイベントのきっかけを生んだのは、東京の焼鳥職人の一言だった。

「やき鳥 卍郎」の和田さん
「やき鳥 卍郎」の和田さん

金沢の焼鳥屋「やき鳥 卍郎」の和田さんが東京を訪れたのは、震災後ほどなく。焼鳥屋を巡ったのち、親交のある六本木の「YAKIRORI燃es」の沼能さんと、小松市出身で西麻布にスペイン料理店を構える「FERMINTXO(フェルミンチョ)」の作元さんと3人で食事していたときのこと。

「金沢でチャリティーイベントをやろう! 全国の焼鳥屋から串を集めてさ!」

沼能さんがそう言ったことをきっかけに「どうすれば実現できるか」と語り合ったのだそう(すごい会合だ)。

「能登のために何かやりたいと思っていましたが、実際、一人では何もできない気持ちでいたので、沼能さんの一言はとても心強かったですね」と和田さん。

「YAKIRORI燃es」の沼能さん
「YAKIRORI燃es」の沼能さん

「FERMINTXO(フェルミンチョ)」の作元さん
「FERMINTXO(フェルミンチョ)」の作元さん

全国の焼鳥屋から1400本の串を集めて

  • 開催日は3月17日(日)
  • 開催場所は「たまや」
  • 可能なかぎり12時間、焼き続ける
  • 1回転を90分制にして6回転する
  • 参加費はすべて寄付する

3人でざっと大枠を決め、細かいところは後日、詰めることに。和田さんは金沢に帰ると早速、北陸の焼鳥職人に声をかけたのだそう。それはそうだ。12時間で焼鳥コースを6回転まわすのは簡単な話じゃない。これだけのコトを成すには、モノもヒトも必要になる。

「全国の焼鳥屋さんから串打ちされたネタをを提供してもらうため、このチャリティーイベントを『絆YAKITORI』と銘打って、グループLINEを作ってアイディアを出し合いました」

  • 参加費は5000円にする
  • コースは串10本とドリンク(飲み放題)
  • 串1400本は全国からチルドで発送してもらう
  • 酒類は業者に協賛をお願いする
  • 寄付は投げ銭も取り入れる
  • 参加費は石川県、富山県の酒造組合に寄付する

チャリティーイベントへの参加をSNSで呼びかけたところ、ものの3時間で6回転分の席が完売。参加者は石川県が9割、富山県と福井県が1割で、127人にのぼった。焼鳥コースの串は一人あたり10本。余裕をもって見積もると1400本ものネタが必要になる。

だからこそ、全国から開催日に合わせてネタをチルドで送ってもらうことが必須だった。どの焼鳥屋も日々の営業をこなしたうえで、チャリティーイベントのための串を打ち、それぞれの思いを添えて届けてくれたわけだ。そう思うと、ぐっとくるなぁ……。

焼鳥屋以外の店もチャリティーに協力

焼鳥コースは「FERMINTXO(フェルミンチョ)」の作元さんによる前菜から。ひと口で放り込めばふくよかな香りがふわっと広がった。

煮干しスープ
煮干しスープ

なんと、スープは金沢のラーメン屋「麺つみき」が提供。煮干しのうまみや香りがしっかりありつつも、すっと軽やかで飲みやすい極上スープだ。焼鳥チャリティーイベントだからてっきり鶏スープが出ると思っていたから、これは嬉しいサプライズ。

どの焼鳥屋の串が出るかはお楽しみ

ハツ
ハツ

砂肝
砂肝

全国20店以上の焼鳥屋から串が集まっているものだから、どの焼鳥屋のネタが出るかは一期一会。1本目はハツだった。それも開かない丸ハツだ。噛めばプリッと弾けるようにうまみが広がっていく。くせもなく、ピュアな味わい。下処理もしっかりやっているんだろうなぁ。

続く砂肝もサシュッと小気味よい歯切れ。塩の当て方もいい。これは食欲も刺激されるというもの。

抱き身
抱き身

レバー
レバー

抱き身(むね肉)は見るからにでっぷりとした大ポーション。その水分量を生かし、しっとり仕上げるのは焼鳥職人の腕の見せ所だ。これは食べごたえがあるなぁ。

レバーはレアではなく、しっかりとした火入れ。それでもパサつくことなく、ふっくらとした口あたり。

せせり
せせり

ぼんじり
ぼんじり

そして、大ぶりなせせり! せせりも打ち方によって食感が変わるネタだけど、このプリプリ感は予想を超えてきた。いいね。

そして、ぼんじり。間ににんにくの芽を挟むなんて、初めての味わい。ぼんじりから溢れ出た脂がにんにくの芽にからんで、うまいんだ。

れんこん
れんこん

くるみねぎま
くるみねぎま

野菜は出ていないな、と思っていた矢先、現れたのはれんこん。表面はパリッと香ばしく、中はシャキッと歯切れよく。そういえば、金沢はれんこんの産地でもあったな。

ここで、ボリュームのあるくるみねぎま! 目の前で焼いて要る沼能さんも普段「YAKITORI燃es」で扱うネタだ。皮で肉とねぎを挟んだものなのだけど、素材や打つ職人が違えば表情も違う。おもしろいもんだ。

つくね
つくね

雲仙ハム
雲仙ハム

そろそろ終盤。丸々としてパンッと張ったつくねは、噛めば肉汁がブシッと溢れて。このつくね、うまいなぁ。どこの焼鳥屋のものかは気になったけど、それを聞くのも野暮ってもの。

10本目はまさかの雲仙ハム! 焼鳥屋ではなく居酒屋でハムカツなどに使われることが多い食材だ。焼鳥屋で炭火で焼いたものを食べるのは、これが最初で最後になるかも?

炭火焼のラムチョップまで登場!

ラムチョップ
ラムチョップ

「追加で、ラムチョップはいかがですか?」と声をかけられた。お、これは嬉しい誤算。まさかこんな形でラム肉を食べられるなんて……。

しかも何といっても、炭火だ。うまくならないわけがなく、肉厚なラムからは濃厚なうまみがあふれ出た。たっぷり焼鳥を食べて、トドメと言わんばかりにラム。んん。これはたまらないなぁ。

全国の焼鳥屋が繋げた串というバトン

前菜、スープ、焼鳥10本、ラムチョップ。いやぁ、大満足。あっという間の90分だった。その一方で、職人やスタッフは片付けや準備のための30分をおいて、また次の90分が始まるわけだ。真昼12時から24時まで計6回転。「ぶっつけ本番でしたが、思っていた以上にスムーズにまわせました」と和田さんが笑う。

「焼鳥は人の心をここまで動かせるんだって、実感しました。たかが焼鳥と思うかもしれません。でも、全国から送っていただいた1400本。それは串打ちから焼き上がるまで、魂のこもった1本1本を127名のお客さんに繋げるバトンのようでした」

「能登の支えに」を胸に。焼鳥チャリティーイベントで集まった参加費は、一部経費を除いて全額、能登・富山の酒蔵の復興のために寄付したのだそう。全国の焼鳥屋の「絆」がなければ、これほどのイベントは実現しなかっただろうな。そう思うと焼鳥はすごい。ますます、好きになってしまったよ。

【焼鳥職人】

「YAKITORI燃es」(東京):沼能さん

「卍郎」(石川県):和田さん

「たまや」(石川県):関川さん

「悠」(石川県):原島さん

「真ゆき」(富山県):北川さん

「虎以」(富山県):米澤さん

【スペイン料理シェフ】

「FERMINTXO」(東京):作元さん

【串提供】

「ひげぼうず」(北海道)

「あぶるべ」(北海道)

「焼鳥ビストロふじ」(千葉県)

「熊男爵」(東京)

「やまじ」(東京)

「銀座 萩」(東京)

「山香」(東京)

「ホップデュベル」(東京)

「333」(石川県)

「真ゆき」(富山県)

「富の極みsei」(富山県)

「ぴーすけ」(大阪)

「鶏匠膳」(大阪)

「YAMATO」(大阪)

「いわ田」(大阪)

「登鶏」(大阪)

「こばやし」(岡山県)

「とり やまもと」(広島県)

「み津ちゃん」(広島県)

「ことり」(島根県)

「さえき」(島根県)

「植松(個人)」(福岡県)

「おかめ」(長崎県)

「酉翔」(佐賀県)

「古町千」(熊本県)

「鶏尽」(沖縄県)

【備長炭提供】

「蛤坂まえかわ」(石川県)

【スープ提供】

「麺つみき」(石川県)

【ラムチョップ提供】

「ウルトラチョップ」(東京)

※ほか、飲料協賛は「サッポロビール」「福光屋」「いろはわいん」「カガヤ酒店」「車多酒造」「乙村酒販店」「久世酒造」「スコルニワイン」

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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