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新人研修で飛び出すイチロー語録 会社員が野球未経験ながら素振りを続ける理由とは?

山崎エマドキュメンタリーフィルムメーカー

〜イチローファン物語 第3弾 #dearICHIRO〜

「野球をやってない人でも人生に活かせる要素がある。イチローのインタビュー本は自分の哲学書」。そう語るのは広告会社に勤務する東京在住の布施俊和さん(34)。大学受験や就職活動で自分を見失い、挫折を重ねた布施さんは失敗から学ぶ人生を歩んできたという。「イチロー選手は自分に与えられた才能を『4打席凡退しても5打席目を楽しみに待てる気持ち』と言っている。」失敗の度に、イチロー選手の言葉を使って自分自身と向き合い、前に進んできた。

大学3年生だった2008年、ずっと気にかけていたイチロー選手と同じ空間に立ちたいと思い、シアトルに短期留学。初めてイチロー選手を見た時、天に昇る気持ちになった。喋ることもできない人なのに、見ているだけで考えさせられる。美術館にいるような経験だったという。

例年、新入社員の研修を担当する布施さん。彼らの指導にもイチロー選手の言葉を活用することが多い。社会人の一歩目を踏み出す若き社員たちを観察していると、「イチロー選手が日本人のスタンスを変えた存在なのかもしれない」と感じるようになったという。つまり、集団主義的な考えが強かった日本で、イチロー選手の海外での活躍が刺激となり「より自分に向き合って『個』で結果を出していくことで組織に貢献する」という考えが受け入れられてきたのではないかと分析する。

 布施さんは野球未経験者ながら、ここ何年も素振りを日課にしている。「イチロー選手をもっと理解したい、もっと知りたい」と思ってたどり着いた行動だ。笑う人もいるというが、決して上手とは言えない素振りの姿に、見入ってしまった。素振りが上手くなることが目的ではない。布施さんはイチローという存在を頭・心・体の全てを使って吸収しながら、自身の向上に努めている。
「自分を構成するものの中で、イチロー選手から学んだことが非常に多い」と言い切る布施さんは、イチロー選手の思考や言葉が我が道を模索する若者のヒントになると信じ、これからも伝えていくつもりだ。

会社の同僚や後輩に呆れられるほどイチロー選手を取り入れる彼の姿、公園の片隅で素振りを続ける彼の姿、尊敬と感謝の意。イチロー選手に、届け!

  イチロー選手が引退する少し前から、私は全国にいるイチローファンの方々と繋がってきた。20年間もイチロー選手が大好きでありながら、これまでそのような行動を取ったことがなかった。「イチローファン」の中には、人生の歩みや思考の面、それ以外の部分で共通点はあるのだろうか。そんなことを考えながら、それぞれのイチローファン物語、彼が人生にもたらした影響などを聞いてきました。

平成のヒーロー、イチローの、ファン物語。次回に続きます。

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イチローさんに思いを伝えるみなさんの『私とイチローの物語』を募集します。

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ドキュメンタリーフィルムメーカー

山崎エマ(Ema Ryan Yamazaki) 日本人の母とイギリス人の父を持つ。19才で渡米しニューヨーク大学卒業後、編集者としてキャリアを開始。長編初監督作品『モンキービジネス:おさるのジョージ著者の大冒険』ではクラウドファンディングで2000万円を集め、2017年に世界配給。夏の甲子園100回大会を迎えた高校野球を社会の縮図として捉えた『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』は、2020年米スポーツチャンネルESPNで放送し、日本でも劇場公開。最新作では都内のある小学校の一年に密着。日本人の心を持ちながら外国人の視点が理解できる立場を活かし、ニューヨークと日本を行き来しながら活動中。

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