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シリーズ【気ままに旅して、Trip銘菓(Maker)】家康も愛した豆味噌!老舗が織り成す和のケーキ

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

創業1782年。東海道五十三次の38番目の宿場町、愛知県岡崎に本店を構える老舗和菓子屋「備前屋」さん。

長年愛される数々の銘菓を多方面で販売される傍ら、本店ではケーキなどの洋生菓子も販売なさるなど、愛される町の和菓子屋さんとしての一面も。

八丁みそ松風
八丁みそ松風

そんな備前屋さんでは、愛知県岡崎市を代表する特産品のひとつ、八丁味噌を使用した和菓子も販売されています。今回は岡崎市に工房や蔵を構える「カクキュー」さんの八丁味噌を使用した和菓子、「八丁みそ松風」をご紹介。

予め八等分されている心遣い
予め八等分されている心遣い

ちなみに松風とは、小麦粉・お砂糖・味噌を合わせたケーキのようなお菓子。カステラのように卵(卵黄)を使用せず、生地を発酵させて作るなど、もちもちっとした食感が特徴です。

今回の八丁みそ松風も卵黄ではなく卵白のみを使用して作られております。  

開封した瞬間から、どこからともなく奥深い八丁味噌の香りが広がり、一気に期待が膨らみます。

豊かな照りとケシの実
豊かな照りとケシの実

艶やかな焼き面にまぶされたケシの実までもキラキラと煌めくような表面と、八丁味噌の色合いが反映された濃い飴色に裏切られることなく、舌先にキリリと感じる味噌の塩気。塩気、甘味、熟成されたほんのり渋みが滲む強い旨味と三つの要素が順に巡り、最後は大豆と塩が織り成すシンプルゆえに印象的な余韻を残して引いていきます。

ふわふわよりも、もちもち
ふわふわよりも、もちもち

やや荒めの肌面ですが、じつはしっとり。ぼそぼそとした食感はなく、適度な重厚感にも好感が持てます。ケシの実のぷちぷちっとした食感も他の食感に埋もれることなく、しっかりと感じられます。

また、備前屋さんの松風は細長いカステラのような形状となっており、あらかじめ八等分に切れておりますので、そのままお皿に乗せて提供したり、はたまた手でいただけるのも嬉しい心配りですね。

備前屋さんの紋が印字された箱です
備前屋さんの紋が印字された箱です

容器とビニール袋でしっかり密封されています
容器とビニール袋でしっかり密封されています

八丁味噌は大豆と塩のみから作られ、糖分、いわゆる甘味が少ないお味噌です。

したがって、京都や奈良で作られる、甘くまろやかな白味噌を使用した松風とは似て非なる色合いや味わいに仕立てられております。

カクキューさんからは八丁味噌にお砂糖などの調味料を加え、田楽や味噌カツなどのお料理と一緒にすぐ召し上がれる商品も販売されておりますが、そのお味が好きな方はきっとお気に召す味わいかと。

素朴ながらも濃厚な、それでいて地域の特色を感じられる和菓子もいいですね。

2023年の大河ドラマでもお馴染み、徳川家康も愛したという三河の豆味噌。令和の今も美味しくいただいております。

旅の締めくくりに、旅に思いを馳せる始まりも、その土地の銘菓を添えて。

ぜひ栞もご一読を
ぜひ栞もご一読を

<備前屋・本店>
公式サイト(外部リンク)
愛知県岡崎市伝馬通2-17
0564-22-0234
9時~19時

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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