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八朔の日に五穀豊穣の祈りを込めて。たねやさんの限定品「八朔福搗餅」で大地の恵みをいただきます。

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

八月一日は、農業(特に稲作)に携わる方にとっては大切な節目の日のひとつというのをご存知でしょうか?

その名も「八朔」の日。八は八月を、朔は一日(朔日)を意味し、この日は収穫に向けてより稲穂が豊かに育つよう、お供え物をして五穀豊穣を神様にお祈りする日。その際に粟を使用したお餅を食べてお祝いしたり、力をつけたといわれています。

粟模様でしょうか
粟模様でしょうか

なぜ白いお餅ではなく粟かと申しますと、これには昔の食文化が関わってくるのです。

今でこそ精白米を日常的に口にしていますが、江戸時代はまで高級品。身分の高い人しか食べることができず、庶民は粟や稗、豆類などを混ぜた雑穀ご飯を食べていました。稲よりも乾燥などに強く、比較的栽培しやすかったということもあります。五穀豊穣、という言葉はここからきているという説もあります。

八朔福搗餅
八朔福搗餅

さて、そんな粟を使用したお餅を八朔の日に食べる文化を現代まで継承しているお店がいくつかあるのですが、その中でも滋賀県の名店である「たねや」さんより、八月一日限定で発売された「八朔福搗餅」をご紹介。

四隅から覗く粟餅の黄色
四隅から覗く粟餅の黄色

視界を埋め尽くす圧巻の粒餡と、ちらりと四隅から覗く金糸雀色の粟餅。なんとなく覗いているように見えて、おそらく外観などをきちんと計算なさっているからこそだと思うのです、流石たねやさん。この粟餅の色がまた可愛らしくて、和菓子の中でも私のお気に入り。

ミニトマト大の粟餅
ミニトマト大の粟餅

ミニトマト程の大きさの粟餅が12個程入っているのですが、そのお餅の食感がまた独特。やや粗めに挽かれた糯米なのでしょうか、餅粟の粒感との一体感が生まれ、もちもちというよりはむちむちとした歯切れの良さのあるお餅に仕上がっています。ほんのり甘く、それでいて塩気が感じられ、噛みしめて飲み込んだ後には餅粟のふくよかさや香ばしさがふんわりとこみ上げてきます。ほんのわずかに舌に残る粟のざらつきがむしろ心地良い。

蜜と小豆の粒、双方の魅力が詰まっています
蜜と小豆の粒、双方の魅力が詰まっています

そして、こちらの粒餡。非常にとろりとしていて、粒餡なのにタレのような、滴るような瑞々しさ。それでいて立派な大粒の北海道産小豆は存在感抜群!舌先で潰せるほど柔らかなのに、小豆ならではの素朴な味わいもしっかりと残っています。おそらく、とろりとしたソースのような部分と小豆の部分それぞれの個性が互いを引き立て合い、餡子の甘味と素材の味わい全てが絶妙に絡み合う粟餅へと昇華されているのでしょう。

粒餡をたっぷり絡ませて
粒餡をたっぷり絡ませて

今回はお箸で頂きましたが、もし来年販売される場合は思い切りスプーンで掬って、独り占めしちゃおうかな…なんて。

粟餅の粟は雑穀のひとつですし、一般的にはヘルシーな食材として雑穀米などとして一緒に炊飯されることが多いかと思います。飲食店などで選ぶこともできますね。

元気が出そうな黄色いパッケージ
元気が出そうな黄色いパッケージ

ご飯だけではなく和菓子の食材としても使用されることの多い粟。ぜひその栄養価だけではなく、粟にまつわる食文化や歴史にも少しだけ触れて頂けたら、より美味しくいただけるかもしれませんね。

<たねや近江八幡日牟禮ヴィレッジ(本店)>

公式サイト(外部リンク)

滋賀県近江八幡市宮内町日牟禮ヴィレッジ

0748-33-4444

年中無休

9時30分~17時

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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