京都の老舗の人気メニュー「鍵善良房」さんが仕上げる吉野葛と沖縄県産黒糖の葛切りは旨味と喉越し抜群です
突然ですが、シンプルな和菓子はお好きですか?
シンプルといっても、そのくくりは非常に多彩でどこからどこまでがシンプルなのか、と悩んでしまいますよね。元々洋菓子に比べ、比較的和菓子は使用する食材の数が少ないといわれています。
例えばおはぎ。小豆・お砂糖・糯米・わずかの塩があれば基本的なおはぎは作ることができます。手軽に自宅で挑戦できる和菓子として、お彼岸などには料理番組でも作り方が紹介されることもしばしば。ですが、それ以上に素材の質と腕が問われる和菓子もあるのです。
京都にお店を構える「鍵善良房」さん。祇園という、趣や情緒溢れる京都の町並みにて暖簾を掲げ、京都の町を知り尽くしその地で働く方々や、全国からファンが訪れる和菓子屋さんです。創業は享保年間。約300年の歴史を紡ぎ、街の移り変わりと共に歩んできたお店では、吟味された素材を代々受け継がれてきた職人技で丁寧に仕上げる老舗です。
今回は鍵善良房さんでも人気、出来立ての「くづきり」をご紹介。
仄かに青みを帯び、羽衣のように向こう側が透けるところもあれば、霧がかかったように霞むような表情も見せてくれる葛切り。こちらは森野吉野葛本舗さんの吉野葛のみを使用しているとのこと。あわせるのは水のみ。
一緒に供されるのは沖縄県産の黒糖を使用した黒蜜。こちらの黒蜜がクリアで華やかな味わいで、かといって薄味というわけではないのです。数本箸にひっかけ、まずは黒蜜をつけずにそのまま。これだけでもまろやかで滋味深い豊かな吉野葛の味わいが、咀嚼するごとにじんわりと広がっていきます。その上のど越しも良いので、黒蜜をつけないまま完食してしまいそうな程。
勿論それではもったいないので、たっぷり黒蜜を絡めて。黒糖のエキゾチックな甘味、吉野葛の旨味が口の中で交わり、単純ながらも食材の味わいがまっすぐに口の中を満たしてくれます。そこからは半分程浸して、あるいは黒蜜をつけずに、次はたっぷりと黒蜜を纏わせてと葛切りと向き合いながら楽しんでいたら、あっという間に食べ終えてしまいました。
今回は百貨店の催事会場にて頂いたので、熱気を帯びた屋内にてひんやりとした心地よさを味わうことができました。
紅葉と共に冬支度を始める京都にて、いつか口にしてみたいと思います。
<鍵善良房・四条本店>
公式サイト(外部リンク)
京都市東山区祇園町北側264番地
075-561-1818
販売 9時30分~18時
喫茶 10時~18時(L.o 17時30分)