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意外と珍しい?「大角玉屋」さんの柿蒸し羊羹は、干し柿の甘味が凝縮されたもっちり食感の蒸し羊羹

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

洋菓子、和菓子とありますように、現在では主に甘味のある間食としてお菓子という定義の一種もございますが、その昔。まだ今のようないわゆるスイーツがなかったころは、無花果や栗、柿を甘い間食として食べていたという記録も。

また、皮を剥いてそのまま食べる甘柿よりも、渋柿を干した干し柿の方が歴史は古く、平安時代には存在していたとか。そのまま食べるだけではなく、調味料の一種として利用されていたという記録も。確かに、干し柿にすると一般的な上白糖よりも糖度が高くなる種類も存在しますしね。

柿蒸し羊羹
柿蒸し羊羹

豆大福の中に苺を包んだ苺大福でも有名な、東京に本店を構える「大角玉屋」さん。本店のみならず、現在は東京駅改札外のギフトパレットにも出店なさり、旅行や出張の際に見かけたことがあるという方も多いのでは。

秋になると栗蒸し羊羹や芋羊羹など、ねっとりと濃厚かつ季節の恵みを取り入れた羊羹が一切れずつ店頭に並び、今日のおやつはどれにしようかと目移りしてしまうほど。けれども、大角玉屋さんの公式SNSにて「当店の地味なお菓子ベスト3にはいるかもしれない…」とおっしゃる存在の和菓子が。実は何となく美味しいと思いながら購入していたのですが、よくよく考えると非常に珍しいのではと思いまして。今回は大角玉屋さんの「柿蒸し羊羹」をご紹介。

嬉しい一切れサイズ
嬉しい一切れサイズ

ややくすみを帯びた橙色の佇まいは、その名の通り干し柿を彷彿とさせます。一切れずつ丁寧に包装され、尚且つ本物の柿の葉まで添えられているんです。
柿の葉のスンと心地よい清涼感がなんともいえず、追いかけてくる柿の香りも非常にフルーティー。凝縮された干し柿の甘味とほのかなざらつきが、蒸し羊羹のもっちりとした食感とリンクし、甘酸っぱいのに濃厚という干し柿の醍醐味が満開に。

立派な白いんげん豆がごろごろと
立派な白いんげん豆がごろごろと

干し柿の実も
干し柿の実も

更に、干し柿そのものや大粒の白いんげん豆もちりばめられており、味わいの濃淡やほっくりとした優しいアクセントと、慎ましやかな見た目に反して非常に表情豊かな秋の味わいをたっぷりと堪能。

どうしても秋は栗やさつまいもの鮮やかな金糸雀色に惹かれがちですが、ぜひ柿という果実を使用したお菓子にも目を向けていただければと思います。
それにしても、柿と寒天を合わせたようなお菓子は見かけることもございますが、蒸し羊羹はなかなか珍しいのではないでしょうか?

こんな珍しい羊羹があったよ、なんてお土産話と一緒に持ち帰るのもひとつの案ですね。

蒸し羊羹といえども要冷蔵品です
蒸し羊羹といえども要冷蔵品です

<大角玉屋・銀座>
公式サイト(外部リンク)
東京都中央区銀座西3-1 銀座INZ1
03-3563-1535
10時~20時

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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