濃厚な干し柿と黄身餡は大人味。「かんのや」さんのあんぽ柿は、ねっとり食感にほんのりお酒を効かせて
実は意外と古より日本で食べられていた果物、柿。平安時代には干し柿を調味料(今でいうお砂糖やみりん)として使用していたという記録も残されている程、それなりに高級品ではありましたが日常に根付いたものでした。
甘柿のしゃきしゃきとした食感とは異なる干し柿の魅力もまた乙なものですよね。
さて、福島県が発祥とされるもうひとつの柿、あんぽ柿をご存知でしょうか?干し柿とは異なり、硫黄で燻すことによりその鮮やかな色味と果汁を閉じ込める独特な製法の加工品。そのあんぽ柿のなを冠したお菓子が、福島県を代表する老舗和菓子屋さんのひとつ「かんのや」さんから販売されています。今回は三角形のゆべしではなく、「あんぽ柿」をご紹介。
あんぽ柿と申しましても、こちらは南信州の特産品といわれる長野県産市田柿の干し柿を使用したお菓子。きらきらと光を乱反射する氷餅は、これからより一層冷え込む朝に、霜を纏った野山の柿のよう。箱にはスライスしてお召し上がりください、という案内が添えられておりましたので切り分けようとすると、非常にふにふにとして柔らかく、力任せに押しつぶしてしまわぬようそっと刃を動かします。中には見るからに滑らかな黄身餡がたっぷり。
ねっとりとした干し柿からは、甘味だけではなく果実特有の仄かな酸味もじんわりと滲み、これが自然の甘味なのかとその力に改めて感服。中野黄身餡は干し柿とはまた異なる濃厚なまろやかさを宿し、バターの乳脂肪分が加わることによりどことなくカスタードクリームのような味わいに。
ふんわり立ち昇るアルコールの芳香により、一気にリッチで大人な仕様に格上げ。お日保ちも1か月程するので、ちょっとしたプレゼントやお手土産にもおすすめです。
干し柿はスーパーなどでも手軽に入手できますが、ひと手間もふた手間もかけたこちらの和菓子…和スイーツは、ゆっくりじっくり、秋の夜長に味わいたくなるような一品。
丁寧に珈琲をいれたり、お気に入りの洋酒とあわせてみたり、そんな楽しみ方も相応しい柿のお菓子です。
※1個あたり0.5%未満ではありますがアルコール分が含まれています。
<かんのや・本店>
公式サイト(外部リンク)
福島県郡山市西田町大田字宮木田39
0247-62-2016
9時~17時30分