さつま芋よりさつま芋らしい?「青柳正家」さんの癒し系フォルムな芋大福のさつまいも餡は尾を引きます
ここ数年和菓子離れ、という言葉が横行し、かと思えばあんこに特化した催事やイベント、SNSでのインフルエンサーたちによる普及など、和菓子を取り巻く環境がどんどん変化していっているように思います。
あんこはおいしい。私は胸を張ってそう言えるのですが、実際はあんこが苦手…という方も多々。豆そのものが苦手、という方も実は少なくないように思います。納豆は平気、という方は結構いるんですけれどね。
さて、あんこが苦手という方でも食べられるような和菓子の選択肢もかなり増えてきたように思います。特にこの季節、旬であるさつまいも・栗・かぼちゃはそのものがねっとりとしていて、お砂糖や白餡と一緒になることで素材の風味や色合いを活かしたあんこになります。そんなサツマイモをたっぷりと使用した大福「芋大福」をご紹介。
こちらの芋大福を作っていらっしゃるのは、1948年創業の「青柳正家」さん。歴史情緒あふれる街並みかと思いきや、ふとお店の屋根を仰ぐと東京スカイツリーの堂々たる立ち姿も。
まるでさつまいもをそのまま縮小したかのような、ぽってりと眺めているこちらの肩の力がぬけていきそうなゆるっとした佇まい。なんとも愛嬌溢れる大福ですね。
見た目そのままに、ほんのり色をつけられたお餅はふわふわとしてまるで耳たぶのような柔肌。端のほうからぱくりとひとくち、お餅の優しい甘味と、やや柔らかめの食感。ふたくちめからは、さつまいも餡がひょっこりと。
こちらのさつまいも餡がまた不思議な味わいで、材料はさつまいもとお砂糖だけとのこと。それにもかかわらず、なぜかひとひねりきいたような豊かな風味と甘味を感じるのです。かと思えば、熟成させたさつまいものような、ねっとりとした焼き芋のような深みもある濃厚な一面も。それがずっと続くわけではなく、後味はあっさりとしている…。
材料は単純ながらも、やはり熟練の練り上げ具合や見極めなのでしょうか。さつまいもよりもさつまいもらしいような…なんて考えながら食べていたら、あっという間に2個完食。
さつまいもは品種によって実に個性豊かな野菜のひとつ。こちらの芋大福もまさにその通りで、シンプルながらも表情ゆたかな大福でした。
※こちらは日本橋三越にて2023年11月15日~11月20日迄の催事限定とのこと。青柳正家さんでの通常販売のご用意はございません。
<青柳正家>
東京都墨田区向島2-15-9
03-3622-0028
9時~19時
定休日 日曜