長崎県の銘菓で無病息災祈願「桃かすてら」しゃりっとふわふわなカステラはまるで美麗な伝統工芸
おせち料理にはさまざまなゲン担ぎの食材やお料理が詰められていますが、皆さんどの食材にどんな意味があるかご存知でしょうか?その中のひとつが、健康に関するもの。
黒豆は無病息災、海老は長寿、昆布も不老長寿など、なにかと健やかな毎日を過ごせるよう願いが込められたお料理が揃います。
おせち料理には入っていませんが、「三千年草」と呼ばれる食材をご存知でしょうか?それは「桃」。不老長寿など長生きの象徴ともされる桃を模ったカステラが、長崎県には沢山!今回はお祝いの席にも相応しい「桃かすてら」を、びわを使用したゼリーやカステラでも有名な「茂木一〇香本家」さんよりご紹介。
滴のような、勾玉のような形を模したカステラ。ふんわりかつ潤いを湛えたカステラを焼き上げつつ、餅粉や寒梅粉、白餡をあわせた練り切りの葉っぱや筋などの部品を作ります。焼成後落ち着かせて表面にすり蜜をかけてコーティングしていくのですが、これがまた手間暇のかかる作業なのです。
かけて乾かしてを何度か繰り返していかないと、しっかりとした厚みのある砂糖衣にはならないため、じっくり丁寧に繰り返していきます。もっとどろりとした衣にすれば良いのでは、と思う方。そうすると乾燥に時間がかかるだけではなく、でこぼこやムラができてしまいこうも均等にはならないのです。
最後にパーツをあわせ、乾燥させてできあがり。職人さんそれぞれの息が合っているからこそ、バランスのとれた桃かすてらとなるのですね。
砂糖蜜の部分はひんやりとしたクリアな甘味。しゅわっと舌一面に広がる爽やかな甘味、そして厳選された卵「太陽卵」の黄身の色を宿したカステラ部分のコクとひとつになりなんともいえない幸せな味わいに。口の中でカステラの穏やかな味わいがすり蜜をそっと抱きかかえるように包み込み、そこへ温かいお茶や珈琲を流し込むと…思わず目を閉じてしまいます。
お餅や練り切りなどの迎春菓子だけではなくとも、縁起物の和菓子が日本にはまだまだ沢山!郷土の味だけではなく、自分の周りとなにかしらご縁のある地域の縁起物の和菓子を食べてみる、というのも知見が広がりそうですね。
<茂木一〇香本家>
公式サイト(外部リンク)
長崎県長崎市茂木町1805
095-836-1919
9時~17時
定休日 水曜