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創業300年以上の老舗たちが織り成す「切山椒」糯米の甘味と粉山椒の刺激、青大豆の香ばしさは大人の余韻

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

料理番組やレシピ本に時折出てくる言葉のひとつに「余すところなく全て美味しくいただける」というキーワードを耳にした、あるいは目にしたことがありませんか?大根や蕪などの根菜類に多くみられるのですが、それ以外にも勿論沢山。

できたそばからどんどん包装してくださいます
できたそばからどんどん包装してくださいます

山椒もその中のひとつ、というのをご存知でしょうか。山椒の実は勿論、小さな黄色い花は醤油漬けなどにされた珍味として瓶詰めに、葉は和食の彩りとして全て利用できるということから、特に商業を営む方々には珍重されている縁起物。酉の市でも販売される今回の和菓子は、縁起物ということからお正月にも製造されることが多い代物。

切山椒
切山椒

今回は、江戸にて享保年間創業・約300年以上の歴史を紡ぎ徳川家からも厚い信頼を寄せられていた「江戸風菓子司 日本橋長門」さんの「切山椒」をご紹介。

山椒の粒がちらほら
山椒の粒がちらほら

長門さんのショーケースの上段に並ぶ彩り豊かな四季を反映させた上生菓子とは裏腹に、切山椒はややくすんだ生成りの色合いと薄桃色のお菓子。決して華やかとは言い切れませんが、その芳香は華やかそのもの。

唇に触れた瞬間、滑らかな質感に思わず一度静止。本来ならば、拍子切りのお餅を半分ずつふた口で行儀よく頂くのがマナーなのかもしれませんが、思わずひと口でぱくり。

ふんわりと香ばしい青大豆の薫香
ふんわりと香ばしい青大豆の薫香

糯米のストレートな旨味、ほんのり、本当にほんのりと聞かせたお砂糖の甘味は素材である糯米の魅力を底上げしてくれる程度。そこからは長年実直にお菓子を向き合い、食材の特性を見極めている自信が伺えます。

そして切山椒を語るに欠かせない粉山椒。こちらは浅草にて1625年創業の「やげん堀」さんのもの。購入の個数制限や遠方からファンが訪れるなど名実ともに浅草を代表する人気店のひとつです。

清々しく軽やかな薫香、そして最後に口の中に忘れられない余韻を残して去っていくぴりりとした刺激。更に、ふわりと香ばしさという花を添えてくれる青大豆のハーモニー。あれこれごまかさず、素直に美味しさを満喫できるシンプルながらも実に豊かな和菓子です。

紐を解くわくわく感…
紐を解くわくわく感…

江戸時代には存在していたという和菓子ですが、作られるのは年始や酉の市の際のみというところが多いのでなかなか出会うタイミングが少ない存在かもしれません。

きゅんとときめく刺激は、大人だからこそ感じ取れる余韻とセットでいただいてみましょ。

<江戸風御菓子司 日本橋 長門>
公式サイト(外部リンク)
中央区日本橋3-1-3
03-3271-8662
平日・土曜 10時~18時
日・祝 定休日

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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