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しっとりほろり、このためのあんこ「縫月堂」さんの蒸しきんつばは、ほんのり塩気がきいた皮と粒餡が好相性

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

観光地ならではの定番銘菓をいただくと、どんなところへ行ってきたのか、どんな街へ行ってきたのかとなんとなくその景色が浮かびますよね。いいなぁ、私も行きたいなぁと思いながら、お茶や珈琲をいれて口へはこびつつスマホ片手に検索…というお約束のルーティンをいつの間にか始めていることも。

銘菓はなくとも、土地柄やオリジナリティ溢れる個人店のお菓子もあると思いませんか?昭和8年創業、東京都日本橋人形町駅から徒歩5分程度の場所にお店を構える「縫月堂」さん。町の人たちからも愛される和菓子屋さんは、日本橋七福神巡りのひとつとして有名な末廣神社があることから、観光客の方もお土産を求めて訪れています。

きんつば
きんつば

末廣神社の焼き印が目印のお饅頭なんかもありますが、ほっこりおやつに相応しい「きんつば」をご紹介。

小豆の粒が一粒ずつ確認できるほどうっすら
小豆の粒が一粒ずつ確認できるほどうっすら

きんつば、と言えば白い皮に包まれて四角くてほろほろとした小豆が中にたっぷりの…と、思い浮かぶかもしれませんか、縫月堂さんのきんつばは蒸しきんつば。極々薄い生地であんこを包み、形を整えて蒸しあげていきます。底面をご覧いただくと分かりやすいのですが、白っぽい部分が生地の閉じ口となっています。

裏側をみると閉じ口が
裏側をみると閉じ口が

しっとりとした生地肌を口に運べば、とろり、そしてほろりとした粒餡がとろりと。粒がほろほろっとしすぎず、かといってべたつきすぎない、まさにこちらのきんつばのために炊き上げられたものなのだとか。

絶妙な炊き上げ具合
絶妙な炊き上げ具合

固すぎても焼ききんつばのようになってしまい、柔らかすぎてもあんこらしい口当たりにはならない。きんつばには、きんつばのあんこなんです。焼いた皮の香ばしさではなく、あんこの美味しさを味わってほしい。と、語ってくださった女将。

ほんのり塩気が効いた皮のおかげで、味わいにかんきゅがつきふわふわとした粒餡の甘味、そして小豆らしい素朴さが口いっぱいに。

当日中のおめしあがりです
当日中のおめしあがりです

塩気きいてるおかげで、甘味がふわふわっと優しい印象に。焼かれた四角いきんつばの、甘味と香ばしさというコンビネーションではなく、塩気と甘味という黄金コンビをストレートに味わえる。町の人たちのおやつは、ちょっとした観光のお土産にもなりそうですね。

<縫月堂>
東京都中央区日本橋人形町2-7-10
03-3666-6739
10時~18時
定休日 日曜日

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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