Yahoo!ニュース

バレンタイン限定はチョコレート味!小さなガラス玉のような琥珀糖「kasane」はお取り寄せでも大人気

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

以前よりも目にする機会は減りましたが職場の方へ渡すというよりも配るという認識のほうが強い義理チョコ、同じ趣味をもつ友人同士楽しく交換しあう友チョコ、はたまた最近和菓子の世界では「和バレ(和のバレンタイン)」という単語ができるほど、時代の移り変わりと共にバレンタイン事情は刻々と変化していきますね。

引き算の美
引き算の美

とはいえ、本命と申しますか誰かを想い慕う気持ちはいつの時代も変わらないもの。古より日本では歌、ひいては和歌に秘めたる思いを込めて贈っていました。ロマンチック…という言葉は平安時代の人たちはご存知ないと思いますが(そりゃそうだ)、根本的な部分は同じなのではないかと。

岐阜県大垣市にて暖簾を掲げる、創業2020年の和菓子屋「柏屋つちや」さん。お店が産声をあげるまでの道のりは決して順風満帆とはいえない背景を抱えながらも、舌と心を掴んで離さない和菓子が揃うお店です。

kasane かくとだに
kasane かくとだに

今回はバレンタイン限定品として、銘菓でもあるガラス玉のような琥珀糖・kasaneシリーズより「kasane”かくとだに…”」をご紹介。

かくとだに えはや伊吹のさしも草 さしもしらじな燃ゆる思ひを

平安時代のモテ男、藤原実方朝臣(ふじわらのさねたかあそん)が思いを寄せる相手に初めて送ったといわれている歌です。

小柄なお団子に日本の美しさがきゅっと収まっています
小柄なお団子に日本の美しさがきゅっと収まっています

橙色・金糸雀色・薄桃色と次第に淡い色合いに変化していく、愛らしくてどこか温かくなるような色合いの三色のガラス玉のような琥珀糖。オレンジ色、黄色とひとことで片付けるのがもったいないような色合いです。しゃりしゃりっと耳の奥で子気味よく響く表面の衣の中からほろほろと姿を現すきらきらとした寒天。食感だけではなく、光の反射具合といった違いにもぜひ注目していただきたいところ。

ふわりと優しいチョコレートにうっとり
ふわりと優しいチョコレートにうっとり

一番上と真ん中は、なんとGODIVAのチョコレートリキュールをとかしたチョコレート味。色味はチョコレートと異なりますが、優しくもきちんとチョコレートの味わい。そして一番下はラズベリー味。ふんわり爽やかな甘酸っぱい味わいは、余裕をちらつかせているチョコレート味の奥に潜む本音でしょうか。そう考えると、一本食べるごとに胸がときめいて口角があがってしまうのです。

繊細ながらも温もり漂う色彩美
繊細ながらも温もり漂う色彩美

ちなみに、藤原実方朝臣はモテ男だけではなくキャリア組。のちのち左遷されてしまいますが、お洒落な彼の本音が垣間見える、ちょっとあざといような歌を送られた相手は、どんな女性だったのか気になるところです。

癒し系ともいうべきフォント
癒し系ともいうべきフォント

いつの時代もバレンタインには、ロマンチックな恋心がつきものですね。他人事とはいえ、そのときめきを時代を超えておすそわけしてもらえたようなお菓子でした。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<柏屋つちや>
公式サイト(外部リンク)
岐阜県大垣市美和町1766
070-2182-9370
9時~17時
定休日 火曜・水曜

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

柳谷ナオの最近の記事