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たんぱく質もたっぷりとれる「豆すっとぎ」は、そのままでも蒸しても焼いても楽しめる陸中山田の懐かしい味

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

年末年始から姿を見せ、3月下旬にまた来年へと旅立っていったうぐいす、否、うぐいす餅。早春の和菓子でもあるうぐいす餅は、一般的な黄色い黄粉を使用するお店もありますが、基本的にはうぐいす粉という青大豆を挽いたものを使用します。黄緑色のきなこですね。

きなこだけではなく、お砂糖と一緒に炊いてうぐいす餡として活用されていることも多い青大豆。うぐいすあんぱん、はスーパーでも販売されていることがありますね。

パック入りで冷凍状態で販売もしくはお取り寄せです
パック入りで冷凍状態で販売もしくはお取り寄せです

かつて青森県の太平洋側や岩手県北部では、初夏の「やませ」という季節風により農作物に冷害がもたらされることもあっため、稲作には不向きだったためお米は貴重品だったとか。そのため、年末の神様へのお供え物でもあった「すっとぎ餅(しとぎ餅)」を代用していたものが今に受け継がれているという説が主力です。

豆すっとぎ
豆すっとぎ

今回は冷凍状態でもお取り寄せ可能な岩手県下閉伊郡山田町「荒川農産物加工組合」の皆さんが作っていらしゃる「豆すっとぎ」をご紹介。

下まで切れていないので、まな板に出してカットしてから
下まで切れていないので、まな板に出してカットしてから

青大豆の粒がごろっとしている部分もあるので、ちょっとざらついた断面になります
青大豆の粒がごろっとしている部分もあるので、ちょっとざらついた断面になります

平らな豆すっとぎに印がついているので、その線に沿って切り分けていきます。縦半分にカットしてから線に沿って切るのもあり。

そのまま食べると、甘くてしゃりしゃりとしたお菓子なのですがやや喉にひっかかる感覚があるので好みが別れるかなと。ラップに包んで500wのレンジで10秒~20秒ほどあたためていただくと、もっちりとした食感と米粉のふっくらとした旨味が引き立ち、お餅のような感覚に。

油不要のホイルにのせてグリルかオーブントースターへ。じっくり弱火がおすすめです。
油不要のホイルにのせてグリルかオーブントースターへ。じっくり弱火がおすすめです。

表面はさくっとしますが、さほど焦げ目はつきません
表面はさくっとしますが、さほど焦げ目はつきません

個人的なお気に入りはグリルやフライパンで焼くこと!じっくりゆっくり焼いていき、最後は火加減を強めてちょっぴり焼き色を付けると香ばしさが増します。サクッとした表面、ほくほくとした青大豆の薫香と甘味がグンと引き上げられ、あちあちっと口の中で転がしながらももう一切れ、もう一切れと止まらない美味しさに。

じっくり焼いて最後に火力を上げると、チリチリと焼き色がついてきます
じっくり焼いて最後に火力を上げると、チリチリと焼き色がついてきます

更におすすめは、焼いた豆すっとぎにバターをのせていただくこと。表面がでこぼこしているのでバターをすんなりと受け止めてくれ、まろやかさと塩味が加わり手が止まらない…!植物性のたんぱく質も100g中に9g以上含まれているので(商品全量は150g)、ほのかな塩味と甘さもあいまって栄養価のある朝ごはんは勿論、お酒のアテにも最高なんです。

お店できないのが心苦しのですが、ぱかっと割ると湯気がもくもくと
お店できないのが心苦しのですが、ぱかっと割ると湯気がもくもくと

素朴な郷土菓子にはストーリーがあり、レシピだけではなく風土についても知ることができるのでお酒が…いえいえ、お茶や珈琲が進みますね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<荒川農産物加工組合>
岩手県下閉伊郡山田町荒川9-86-1
0193-86-2670

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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