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観光列車は冬こそ乗りたい!JR城端線を走る「べるもんた」で富山グルメと雪景色を満喫

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター

観光列車は好きですか?
ちょっとお値段が高かったり、予約が必要だったりと面倒なこともありますが、のんびり車窓を楽しみつつ、グルメなど様々に楽しめる観光列車は、実は冬こそおすすめなんです。

筆者は1月末に、富山県のJR城端(じょうはな)線を走る、観光列車「べるもんた」こと「ベル・モンターニュ・エ・メール」に乗車してきました。

その魅力とともに、冬の観光列車の良さをご紹介します!

「べるもんた」ってこんな列車

「ベル・モンターニュ・エ・メール(Belles montagnes et mer)」は、2015年より富山県の氷見線と城端線で運行している、JR西日本の観光列車。

このちょっと長い正式名称は、フランス語で「美しい海と山」を表す言葉。富山県の美しい海が見える氷見線と、緑豊かな山間部を通る城端線を走ることからつけられました。

「べるもんた」の愛称は呼びやすく、可愛らしく、印象に残りやすいですよね。

2023年2月現在は、土曜日に城端線を、日曜日に氷見線を運行しています。

「べるもんた」車内で沿線の伝統工芸品を鑑賞

「べるもんた」は1両のコンパクトな列車。でも、深いグリーンにゴールドのアクセントが効いた外装は、なんとも「渋カッコイイ」!
そして車内には、富山の魅力がいっぱいに詰まっていました。

座席は、片側は窓に向かったカウンター席、反対側はボックスシートになっています。

木を多用した内装に、深いグリーンのモケット。品があり落ち着いていてどこかレトロです。
ヨーロッパの古い特急列車を思い起こさせるよう。

カウンター席
カウンター席

ボックス席
ボックス席

窓枠は金色で、額縁のような模様入り。

つり革は、木製の持ち手に、銅色が輝く装飾付き。図柄には、沿線の市のモチーフが取り入れられています。銅といえば、高岡市の伝統産業「高岡銅器」ですね。

全席指定なので、基本的に立っている乗客はいません。雰囲気作りといえばそうですが、こういったところに細かいこだわりがみられるのが観光列車の面白いところ。

そしてなんといっても車内で目立つのは、南砺市の伝統工芸品である「井波彫刻」。「井波彫刻」は、江戸時代中期にまでその歴史を遡ります。神社仏閣彫刻に多く使用されてきましたが、現在は住宅の欄間などに多く見られるそう。
これがなんと8つも!

ツバキ・ミスミソウ(雪割草)・水芭蕉
ツバキ・ミスミソウ(雪割草)・水芭蕉

合掌造り、こきりこ節など五箇山地方の風物詩が表現されています
合掌造り、こきりこ節など五箇山地方の風物詩が表現されています

さすが、「走るアートギャラリー」のキャッチフレーズは伊達じゃありません。
コンパクトな車内に、沿線の伝統工芸がギュッと詰まっています。寒い外を歩き回らずとも、この中で地域の文化を楽しむことができるんです。

「べるもんた」の暖かい車内から絶景を眺める

窓に向かってカウンター席がある観光列車は、当然カウンター席側が景色がいいものです。氷見線では海が見える東側(氷見駅に向かって右側)の方がやはり眺めがいいし、城端線では東側に立山連峰が見えるということで、やはり車窓の眺めは東側を向いたカウンター席がおすすめ。

とはいえ城端線の場合、天候によっては遠方の立山が見えないこともあり(私が乗車した日はほぼ見えませんでした)、その場合、極端にどちらかの車窓がいいということはないと思います。

どちらも、散居村と言われる田園の中に住宅が点在する景色の奥に山が連なるという、富山らしい眺めが見られます。

この日は北陸に豪雪が降った直後だったので、見事な雪原と雪をかぶった山並みが見られました。

この雪景色を、暖かい車内から存分に眺められるのが観光列車の醍醐味です。
しかも、自分が動かなくてもどんどん景色の方が流れてきてくれます。

「べるもんた」で富山グルメを楽しむ

車内では、富山の海鮮を使ったお鮨や、地酒が楽しめます。

私は今回、「ぷち富山湾鮨セット」(2100円・税込)と

地魚の寿司5貫。氷見はとむぎ茶もついてきます。
地魚の寿司5貫。氷見はとむぎ茶もついてきます。

「白エビと紅ズワイ蟹のお造り」(1800円・税込)をいただいてみました。

「べるもんた」のすごいのは、車内にすし職人さんが乗っていて、そこで握ってくれるところ。
新鮮な地魚のお鮨に、「富山湾の宝石」白エビ、そしてジューシーな蟹。
これ、列車内で食べられるってすごくないですか?

そして旨い海鮮を食べたら、そりゃもー、お酒が欲しくなるでしょ、ってことで…

地酒3種飲み比べセットを追加して、雪見酒をキメてみました。

飲み比べセットは、当日のおすすめの地酒から3種類選ぶことができます。私は知らないお酒ばかりだったので、スタッフさんに選んでいただきました。

左から、「三笑楽」「苗加屋」「太刀山」。
「三笑楽」は南砺市のお酒で、さらっと飲みやすい純米酒。
「苗加屋」は砺波市のお酒で、火入れをしていない生原酒。甘くて濃厚。
「太刀山」も砺波市のお酒。ぴりっと辛口、古酒のような色と風味の純米吟醸でした。

メニュー表にしっかり特徴が書いてありますから、自分で選ぶときも安心です。

地ビール「城端ビール」も置いています。連れは「麦やエール」をオーダーしていました。

城端ビールの「麦やエール」はさっぱりと軽いテイスト。飲みやすい地ビールです
城端ビールの「麦やエール」はさっぱりと軽いテイスト。飲みやすい地ビールです

寒い冬でも暖かい車内なら、冷たいビールも美味しくいただけます。

なお、城端線の「べるもんた」は高岡~城端間が約45分間と、観光列車としては乗車時間が短め。
なので、あれもこれもと頼んでしまうと、飲み食いばかりでちょっと落ち着かなくなってしまうかも?

また、基本的に事前予約制です。在庫があれば当日車内での販売も可能ですが、やはり乗車時間の短さから、事前に予約しておくのがおすすめ。その方が早くサーブしてもらえます。

「べるもんた」の車内販売の予約は、乗車の3日前の17時まで、下のサイトで受け付けています。

「べるもんた」車内販売プランのご案内

冬こそ観光列車を満喫しよう!

寒い冬に観光列車をお勧めしたい理由がおわかりいただけたでしょうか?
たとえ天気が良くても、寒い日に長時間、外を観光するのはちょっと辛いこともあります。
冬こそ、暖かい車内でゆっくり楽しめる観光列車はおすすめですよ!

そうそう、車内にはこんな記念乗車証があり

裏面には乗車記念スタンプの押印ができ、きっぷホルダーにもなっています。

また、地元産品も販売しているので

思い出のお持ち帰りもばっちりです!

「べるもんた」は快速列車なので、青春18きっぷや北陸周遊乗車券などのお得な乗車券でも乗ることができます。ただし全席指定なので、指定席券が必要。

指定席券の購入は、駅窓口や指定席券売機のほか、JR西日本のオンライン予約サイトe5489で、乗車日の1か月前から可能です。

まだまだ寒さの続く今こそ、「べるもんた」を満喫してください!!

JR西日本「ベル・モンターニュ・エ・メール」(愛称:べるもんた)
運行区間
 JR城端線:高岡・新高岡~城端(主に土曜日)
 JR氷見線:砺波・高岡・新高岡~氷見(主に日曜日)
座席指定券:大人530円、子ども260円(別途乗車券が必要)
※情報は2023年2月現在のものです。
【公式】JRおでかけネット「ベル・モンターニュ・エ・メール~べるもんた~」
【公式】JRおでかけネット「七尾線観光列車『花嫁のれん』 城端線・氷見線観光列車『ベル・モンターニュ・エ・メール』の運転計画(2024年2月まで)〈PDF〉」

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。ビアテイスターで日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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