Yahoo!ニュース

7月22日開催「第70回 安倍川花火大会」は一つ一つの花火に込めた想いが伝わる花火大会

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター

静岡市最大級の「安倍川花火大会」が2023年7月22日に開催されました。第70回大会となった2023年は久しぶりの通常開催で、約15000発を打ち上げ。
こちらの花火大会を初観覧してきました。

【第70回 安倍川花火大会】
開催日時:2023年7月22日(土)19:30〜21:00
会場:静岡県静岡市 安倍川橋上流・安西橋下流

第70回 安倍川花火大会レポート

「安倍川花火大会」は、他の多くの花火大会同様に、コロナ禍で2020・2021年と中止されました。ですが実はそれ以前も、2018・2019年と台風の影響で中止になっていました。
2022年には開催されましたが、例年より規模を縮小しての開催だったので、以前と同程度の規模で開催にこぎつけたのは実に6年ぶりのことだったのです。

6年ぶりの通常開催を楽しみに、安倍川の河川敷にはたくさんの人が集まっていました。

こちらは17時半頃、打ち上げ約2時間前の会場の様子です。
この規模の花火大会では最近ではむしろ珍しくなった、有料観覧席を設けない花火大会。思い思いに場所取りをして、気楽に見られるスタイルを続けています。

堤防上の通路沿いにはズラリとカメラが並んでいました。確かにこの位置は遮るものなく花火をカメラに収めるのにちょうどいいスペースです。

私も撮影する予定でしたが、堤防上にはもう入り込めるスペースはなかったので、安倍川公園の堤防下の斜面を背にするあたりで観覧しました。
探せばもっといい場所があったかもしれませんが、駅から歩いてきて疲れてもいたので、早めに落ち着ける場所を確保することを優先しました。

19:30、安倍川花火大会スタート!

2023年の「安倍川花火大会」は、話題の東京ディズニーリゾート開園40周年記念のドローンショーで始まりました。

ディズニーの音楽に合わせて、たくさんのキャラクターがドローンによって描かれます。

お馴染みのキャラクターが夜空に浮かぶたび、たくさんの歓声が上がりました。
余談ですが、ディズニーに限らず、冒頭にドローンショーを行ったり、花火とコラボしたりする花火大会が増えてきています。花火とはまた違った面白さがあるので、機会があればぜひご覧になってみてください。

約15分間のドローンショーが終わると、いよいよ花火の開始です!

スターマインに単発花火、想いを込めて打ち上げられる

ドヴォルザークの「新世界より」に合わせオープニングスターマイン(※)が始まりました。重厚ながら勢いのある音楽に合わせて、迫力ある花火が上がります。

※スターマイン:速射連発花火。大量の花火を連続して打ち上げる方式。

オープニングスターマインの後は、単発花火おおむね3~5発ごとにスターマインが入る構成。
単発花火は、6号玉、7号玉、8号玉、そして10号玉(尺玉)が上がっていました。

さまざまな色や形の花火が夜空に咲きます。
それらの花火は、企業や店舗、施設の協賛のほか、個人の方の提供によるものもありました。

地域への感謝や、企業やお店の発展、大切な人への祝福や、幸福や健康・長寿への願い。そして、哀悼の想い。

各花火は提供者の名称の読み上げのみで、一つ一つの花火のメッセージの読み上げはありませんでしたが、プログラムには掲載されています。企業のキャッチコピーもあれば玉名もあり、また誰かに向けたメッセージもあり。そこに込められた想いが見て取れます。
(プログラムはこちらの電子ブックから見ることもできます。)

安倍川花火大会 公式プログラム閲覧ページ

改めて感じたのは、「花火って、そういうものだったな」ということ。

お盆の送り火の役目を果たしていたり、祝砲だったり、空にいる人に捧げたり。花火は、楽しむためだけでなく、たくさんの想いを込めて打ち上げられるものでした。
そんな花火の原点を思い出させてくれるたくさんの花火が静岡の夜空を彩りました。

なかには2発、3発同時打ちも。

もちろん、華やかなスターマインもたくさん上がりましたよ。MCさんの「だーいスターマイーーーン!」の掛け声が何度も会場に響きました。

これらのスターマインも多くは企業の提供によるものでしたが、一般の方が提供されていると思しきものもありました。

フィナーレはMISIAの「君の願いが世界を輝かす」とともに打ち上がる特大スターマイン。
歌詞に込められたメッセージがこの花火大会そのものの想いを伝えているようでした。

そして最後に尺玉1発が上がり、打ち止めとなりました。

最近人気の、音楽つきのスターマインをガンガン上げるノリの良い花火大会も、楽しくて見ごたえがあります。
ですが、こんなふうに一つ一つの花火に意味を込めて大切に打ち上げるような花火大会もまた、見て楽しむだけではない花火の意義を伝えてくれるように思います。

「安倍川花火大会」に行ってみたいと思ったら

観覧会場について

2023年の「安倍川花火大会」には、推定約55万人が訪れたそうです。

私は会場の南寄りの安倍川公園の方から見ていたのですが、観覧スペースとしてはまだ余裕があるように見えました。
特に場所にこだわりがなければ、1時間前くらいでも落ち着いて観られる場所は確保できていたようです。

ただ、出店や仮設トイレは、17時半頃でもすでに長蛇の列ができていました。仮設トイレには18時前に並んで、利用できるまで30分ほどかかったので、打ち上げ30分前などに並んだ方は、開始までに間に合わなかったのではないかと思います。
出店やトイレを開始前に利用される方は、ぜひ早めに並んでくださいね。

アクセスについて

新幹線も停まる、県内最大の主要駅・静岡駅が最寄り駅というアクセスの良さですが、駅からは少々距離があります。

静岡駅から会場に向かう場合、徒歩またはシャトルバスとなります。シェアサイクルの利用も推奨されおり、実際に自転車で向かう人もたくさん見かけました。

私は今回、静岡駅から会場まで往復とも歩いてみました。Google mapで調べたところ徒歩約40分と出ましたが、混雑もあり、約1時間かかりました。
帰りの静岡駅行きのシャトルバスは大行列になっていましたが、かなりたくさんの台数を出していたようで、次々にバス停に向かうバスを見かけました。

2024年以降はまた状況が変わるかもしれませんが、2023年はこのような状況だったということで、ご参考になれば幸いです。

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。ビアテイスターで日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

やた香歩里の最近の記事