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匠の技が、平和への祈りが夜空を舞った!8月26日開催「大曲の花火」全国花火競技大会

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター

2023年8月26日(土)、秋田県大仙市にて、「大曲の花火」として知られる「全国花火競技大会」の第95回大会が開催されました。

花火師さんの真剣勝負の素晴らしさはもちろん、各スポンサー花火や前回優勝者の特別プログラム、さらにこれを見なけりゃ帰れない、大会提供花火など、見どころ盛りだくさん!

そんな「大曲の花火」の2023年の様子をお届けします。

2022年は無念の雨…

「全国花火競技大会」は、2020・2021年の中止を経て、2022年に3年ぶりに開催されました。しかしこの年は天候に恵まれず、雨と、重い雲に阻まれていました。

高く打ち上がる花火が雲に飲み込まれるという苦しい状況。

煙が滞留して動かないため、スターマインで立て続けに花火を上げるとどんどん煙が溜まり、さらにかすかに客席に向かって風が吹いていたので、豪華なスターマインである大会提供花火もその火薬量が逆に花火を遮ってしまうという結果に。結局、終盤の一部の煙火店の作品は審査不能になってしまいました。

この状況が一番辛かったのは花火師の皆さんですし、大会関係者の方々だったのはもちろんですが、観覧席で見ていても涙が出るほど悲しかったです。

果たして2023年は?

そんな2022年のリベンジへの願いも込めて迎えた2023年。

数日前まで懸念されていた雨も降らず、晴天!

お天気が良すぎて、昼花火の煙の色がわかりにくくさえ感じられたのは、私だけでしょうか。

夕方までは風も弱く、煙の滞留が気がかりでしたが、夜になると風が強まり、いい感じで煙も流れるように。スターマインやスポンサー提供花火などで少し煙が残る場面はありましたが、各社の競技花火は綺麗に見ることができました。

どれもクリアで美しく、「これすごい!」と思ったらまたすぐ次の作品で上書きされてしまうという状態。結果発表が本当に楽しみです。

そして圧巻だった、大会提供花火。2023年はムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」で、夜空にウクライナの国花「ひまわり」を描き平和への祈りを捧げると早くから告知されていました。

壮大な音楽にのせ、夜空にひまわりが咲きます!

兵器とは対極にある、「花火」という火薬の平和利用。その花火で描いた平和への祈りは、深く胸に届きました。

そして900mワイドというスケールは、単純に見ていて圧倒される素晴らしさ!

尺玉で繰り広げられるフィナーレ、そして対岸の花火師さんとの光のエール交換まで全てを無事に終えて、「第95回 全国花火競技大会」は幕を閉じました。

実は大変だったJR組

私は盛岡駅に宿泊し、JRを利用したのですが、帰りはちょっと大変なことになっていました。列車と野生動物に接触などがあり、なんと60分以上の遅れが発生。23時ごろ大曲駅に到着した時点で、まだ22時10分台の便が出発できていませんでした。

しかし終始丁寧な状況アナウンスと手慣れた案内で大量の乗客をコントロール。また乗客の方からも、疲れ切った中でも文句や不満もほとんど聞こえず、混乱も騒動も起きませんでした。最終的に80分ほどの遅れでしたが、列車自体には乗ることができ、無事に盛岡駅まで帰ることができました。

盛岡駅到着は深夜2時を回っていましたが、駅改札ではまだたくさんの駅員の方々が対応しておられ、連絡の北上行きの普通列車も連絡待ちをしていました。まだ後続便があったことを考えれば、明け方まで業務が続いたのではないかと思います。

たくさんの方々の尽力で花火大会を楽しむことができるのだと改めて感じた夜でした。

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。ビアテイスターで日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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