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名匠の花火と潮風と海鮮を楽しんだ、茨城「第34回 那珂湊海上花火大会」(9/9開催)レポート

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター

茨城県ひたちなか市の那珂湊といえば、新鮮な魚介が楽しめる「おさかな市場」で有名な港町。その那珂湊の漁港で、2023年9月9日に「那珂湊海上花火大会」が開催されました。花火の名匠、野村花火工業が打ち上げ担当とのことで、観覧させていただきました。

せっかくだから、少し早めに行って、おさかな市場にも立ち寄って。

ぷりっぷり大きな岩牡蠣、いただきます♪

花火大会は、基本的に市街地や他の施設から離れたところで開催されることが多いので、こんなふうに地元の観光スポットを楽しめるのは珍しいかもしれません。
市場は通常通りの時間に終了していたようで、ゆっくり見て回るほどの時間はありませんでしたが、雰囲気は楽しめました。

台風13号の影響で、前日までは茨城県内でかなりの雨が降りました。ひたちなか市でもかなりの降水があったようで避難所が開設された地域もありましたが、このころには天候も穏やかになっていました。

観覧会場として、漁港の広い駐車場が開放されていました。潮風を受ける海に面した観覧場所です。有料観覧席はなく、思い思いにシートを広げたり、イスを置いたりして観賞する、昔ながらの地域の花火大会。
この写真は16:30頃ですが、まだまだ場所取りをしている人は少なかったです。

打上げを担当するのは、2023年8月に秋田県の「大曲の花火」で9回目の内閣総理大臣賞を受賞した、地元茨城の野村花火工業。

大曲と土浦の2つの全国花火競技大会で、最高峰の内閣総理大臣賞を最多受賞している煙火店で、「現代の名工」にも選ばれています。その花火はとにかく端正。

気品があるとさえ思うような、形も発色も美しい花火が上がります。

1時間に約1000発という打ち上げ数は、最近では多いほうではありませんが、1つ1つの花火の玉名をアナウンスしながら打ち上げるので、じっくり楽しめます。

「キラキラ万華鏡」「幻想イルミネーション」などの「これぞ野村花火工業!」な玉名から、シンプルに玉の情報を伝える「四重芯変化菊」「芯入錦冠菊」なども読み上げられるので、ぜんぶ録画していると、ちょっとした花火図鑑になりそう。

尺玉や8号玉などの大玉も上がり、子どもたちの「大きい!」「ヤバイ!」などの楽しそうな声が響いていました。

型物花火(ハートやスマイルなど、何かの形を描く花火)は、漁港の町らしく、魚やタコがいっぱい。ご当地感があって楽しい。

タコの足、ちゃんと8本ありますね
タコの足、ちゃんと8本ありますね

もちろん単発の花火だけでなく、たくさんの花火が連続して上がるスターマインもあります。

海上花火というだけあって、名物は水中スターマイン。海上で花火が開くと、一気に海面が明るく照らされます。

ひゅ~っと飛んできた花火が、着水してパン!と開きます。大きく半円に開くと、歓声もひときわ大きく。

約1時間の花火大会の終わりは、華やかなスターマインで締めくくられました。

うっとりするような繊細な色使いの花火が次々に上がります。

音楽付きのド派手なスターマインがたくさん上がる花火大会も楽しいですが、読み上げられる玉名と花火を照らし合せつつゆったり楽しむ、こういう花火大会もいいですね。

那珂湊海上花火大会の会場までは、ひたちなか海浜鉄道の那珂湊駅から徒歩約10分と近いのも嬉しいです。

地域柄、車で来る方も多いので、ひたちなか海浜鉄道もすし詰めになるような混雑ではありませんでした。帰路も、駅に着いたらホームに臨時列車が待っていて、スムーズに乗車することができました。

夏の名残を惜しみながら、1つ1つ丁寧に上げられた名匠の花火を穏やかに楽しむ、良い花火大会でした。

【那珂湊海上花火大会】

開催日:2023年9月9日(土)

開催場所:茨城県ひたちなか市 那珂湊漁港

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。ビアテイスターで日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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