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おかえり!10/28開催の茨城「常総きぬ川花火大会」花火の良さがギュッと詰まった75分の幸せ時間

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター

2023年10月28日(土)、茨城県常総市に「常総きぬ川花火大会」が帰ってきました!2019年の開催以来、コロナ禍により中止が続き、2022年は茨城県内でも多くの花火大会が復活しましたが、こちらは復活叶わず…。2022年秋に常総青年会議所主催で別会場で「常総新花火」が開催されたものの、「常総きぬ川花火大会」としては実に4年ぶりの開催となりました。

4年ぶりの急斜面の土手が懐かしい

「常総きぬ川花火大会」は、豊水橋上流の鬼怒川河川敷で打ち上げ、その両岸を観覧会場としています。鬼怒川東側の観覧会場までは、関東鉄道常総線 水海道(みつかいどう)駅から徒歩約15分とアクセスも良好。

私は鬼怒川東側の「左岸自由席」(堤防斜面の席)を購入していました。開場は13:30、自由席なので良い場所を確保するには早く行った方がよいとはわかっていましたが、昼間は仕事があったので、16時ごろ到着。

平地になっているフェンスの内側はマス席やイス席などの有料席、堤防上は指定席のカメラマン席となっています。堤防斜面の左岸自由席も斜面上方は比較的撮影に適していることもあり、撮影のしやすいエリアは16時ごろですでにかなりのカメラマンで混雑。まあ予想はしていましたし、混雑しているところに入っていく根性がないので、堤防斜面のなるべく上の方の、ほどほどに見やすそうな場所を確保。

しかしこの斜面、ご覧のようになかなかの急斜面。みなさん箱のようなものに座っていますが、これ、斜面用の段ボールイスなのです。これもまた、常総きぬ川花火大会だなあと感慨深い。ちなみに、以前は受付で販売していたと思うのですが、今年はあらかじめ、段ボールイス付きとイス無しのチケットが販売されていました。

17:00、プロローグが始まる

17:00から「プロローグ」開始。協賛者名の読み上げを聞きながら、ゆっくりしたペースで上がる花火を眺めます。マジックアワーに開く花火もきれいなんですよね。

17:30、いよいよ花火大会開始!

1.オープニング花火

すっかり日も暮れた17:30、カウントダウンで花火点火!

Mrs.GREEN APPLE「僕のこと」にのせた、ナイアガラ富士とミュージックスターマインで幕を開けました。

それにしてもナイアガラの撮影はいつも焦ります(笑)。結構眩しいのでカメラの設定を調節しなければならないのですが、そうこうしている間にどんどん落ちて行ってしまいます。ほかの花火も同時にあがるとなおさらです。

正直なところ、両方いい感じに撮れたことがないです。今回もピントが合っていない…(汗)

それはさておき。

オープニングからダイナミックな花火で、一気にテンションが上がりました!

2.メッセージ花火

続いてメッセージ花火。

常総の花火復活を祝うメッセージや、家族への感謝、慰霊の想いを込めたメッセージとともに、5号~8号玉が上がりました。

さりげなく上がっていますがこれは野村花火工業の「キラキラ万華鏡」の青系バージョン?
さりげなく上がっていますがこれは野村花火工業の「キラキラ万華鏡」の青系バージョン?

3.創作スターマインPART1

3つめは、音楽無しの花火のみで魅せる創作スターマイン「光の花壇」。筑北火工堀米煙火店の担当です。カラフルな花火が花束のようです。

最後は筑北火工堀米煙火店さんの深いブルーの花火が大きく広がりました。

4.花火ミュージアム

続いては、国内最高峰の内閣総理大臣賞を最多受賞している野村花火工業の、5号玉100連発の「花火ミュージアム」。5号玉を100連発で対打ちします。5号玉とは直径約15センチの花火玉。大きすぎず小さすぎずで花火大会で多用される主力級の花火です。なお、対打ちとは2つの花火を同時に上げること。

DREAMS COME TRUE「あの夏の花火」をバックに、野村花火工業らしい、クリアな色合いで端正な形の花火が次々にあがりました。多彩な花火がまさにミュージアム!

5.創作スターマインPART2

5つ目のプログラムは、筑北火工堀米煙火店の創作スターマインPART2「カラフルクラッカー」。花束とは違い、パンパンと音がはじけて光が飛び散り、なるほどクラッカー。花火の動きと音を楽しむ感じです。

後半に行くほどどんどん大きく広がり、賑やかになっていきました。

6.ワイドファンタジックスターマイン

山﨑煙火製造所による「ワイドファンタジックスターマイン」は、Adoの「唱」にのせてアップテンポに花火を上げます。

Adoの楽曲は、2022年以降、本当たくさんの花火大会で使用されています。音楽つきスターマインを多数披露する花火大会なら1曲は入っているんじゃないかと思うほど。流行りというのはもちろんあると思うのですが、花火に負けないパワフルさが理由の1つのように思います。

緩急をつけた見せ方も、それぞれの玉の美しさもすごい!山﨑煙火製造所は、大曲と土浦の両方の全国花火競技大会で内閣総理大臣賞を受賞している、文句なしにトップクラスの実力派ですが、近年は野村花火工業と優勝、準優勝を分け合うことが多いので、近々また内閣総理大臣賞を取るのではないかと、個人的には楽しみにしています。

7・9.ファイヤーアートコンテスト

続いては8号玉による「ファイヤーアートコンテスト」。PART1とPART2に分けて各10社、計20社の煙火店の玉が打ち上げられました。

個人的にとても好きだったのが、ホソヤエンタープライズ:細谷佳二さんの「潮騒のメモリー」。八方咲?と思ったら中心がカスミソウ、さらに外側に小花が開くとても複雑な花火。
個人的にとても好きだったのが、ホソヤエンタープライズ:細谷佳二さんの「潮騒のメモリー」。八方咲?と思ったら中心がカスミソウ、さらに外側に小花が開くとても複雑な花火。

各社の代表的な玉あり、新作と思しき玉ありで、それぞれ個性的な花火を堪能できました。

こちらもお気に入り、北日本花火興業:今野義和さんの「昇曲導付 八重芯錦かむろ菊」。タイトルはシンプルなのに、八重芯(芯が二重に入る)の外側の芯が点滅し,外周の花火がゆっくり流れていくコントラストが印象的でした。
こちらもお気に入り、北日本花火興業:今野義和さんの「昇曲導付 八重芯錦かむろ菊」。タイトルはシンプルなのに、八重芯(芯が二重に入る)の外側の芯が点滅し,外周の花火がゆっくり流れていくコントラストが印象的でした。

8.ワイドミュージックスターマイン

「ファイアーコンテスト」PART1とPART2の間に披露されたのが、長野の紅屋青木煙火店によるワイドミュージックスターマイン。音楽は、これも人気のofficial髭男dismから「ホワイトノイズ」。

紅屋青木煙火店の、細かくリズムや音をつかむ演出が好きなのですが、今回は抑え気味…と思ったら、サビのに一気に盛り上がりました。音と息を合わせるような花火が爽快!

10.花火の巨匠 スーパースターマインの競演

プログラムも終盤、「花火の巨匠 スーパースターマインの競演」に入ります。県外の4業者による打ち上げです。

北日本花火興業(秋田)「UTOPIA~暁に浮かぶ伝説の島」

曲はEvelin「Really Slow Motion」。繊細なインストゥルメンタル曲に合わせて、水の揺らぎを感じさせるような美しい花火が上がりました。序盤のザラ星の静かな打ち上げや、中盤の笛の音など、音とぴったりとハマる花火の表現が心地よかったです。

伊那火工堀内煙火店(長野)「炎舞と輪舞」

こちらはジブリの『ハウルの動く城』の「Merry-Go-Round of Life」、もちろん久石譲作曲。おとぎ話めいたワルツの曲調にあわせ、3拍子を刻むように花火が上がります。序盤は炎色の和火中心の打ち上げ、曲調が変わってカラフルでドラマチックな打ち上げに。

マルゴー(山梨)「Paradise on Free」

曲は東京スカパラダイスオーケストラ「Free Free Free feat.幾田りら」。独特の早いテンポを下から噴き上げる花火で刻みます。カラフルな印象の強いマルゴーにしては中間色メインだったように思いましたが、やはりマルゴーの玉は一筋縄じゃいかないと言いますか。点滅したり光が回ったりと、1つ1つに見入ってしまいます

篠原煙火店(長野)「秋・Tradition」

曲名は調べてもわからなかったのですが、琴や笛、鈴の音が響く和風の楽曲。シックな炭火色の和火の花火で夜空に秋が描かれました。丸い花火は菊の花が咲き誇るよう、落ち葉がはらはらと散るような演出も見られ、その世界観に引き込まれました。

11.グランドフィナーレ

楽しい時間はあっという間で、グランドフィナーレがやってきてしまいました。打ち上げは野村花火工業。澤野弘之さんの楽曲で構成されていたようです。

最初はもの寂しげな旋律のピアノ曲で始まり、だんだん音の厚みを増していきましたが、とても透明感のある曲。野村花火工業のクリアな色と繊細な形の花火と調和して、とにかく美しかったです。

花火ががんがん上がっていて音楽も聞こえているのに、なぜか静寂の世界に入り込んだ感覚を味わっていました。

12.エンディング花火

エンディングは、南こうせつ「満点の星」の流れる中、花火が上がります。この曲、「大曲の花火」でも流れるんですよね。終わりの寂しさを来年への希望に変えるような歌だなと思います

最初は5号玉かな?くらいの大きさの花火が淡々と上がっていましたが、だんだん大きな玉や凝った玉が上がり始め。

最後は画面に納まらない大玉が上がりました。

ありがとう、また来年も!

すべての打ち上げが無事終了。約75分と短めながら、スターマインあり芸術玉あり、個性的な各地の煙火店のプログラムがみられ、花火の良さをいろんな形で楽しませていただきました。
多少の煙待ちがあったにもかかわらず、ほぼ予定通り、18:45頃に終了していました。

なお、駅の近くの「市民の広場」で「常総グルメ」というフェアをやっていて、キッチンカーや出店が多数出ていました。20:00までということで、帰りに通りかかったときも盛り上がっていました。
花火終了時間が19時前なんて、夏の花火大会ならまだ始まってもいないような時間。秋の花火だからこそ、終了後もイベントが楽しめます。

秋の花火大会は会場でビールを飲む気にはならないかもしれないけど、花火大会そのものの時間が短いことが多いので、花火は花火で集中して楽しんで、終わってから飲食をゆっくり楽しむスタイルが定着すればいいと思います。
帰りの混雑も分散されますしね。

なお、帰路の関東鉄道も、臨時便や車両の増結がされていたこともあり、混雑もそれほどでなくスムーズに帰宅できました。

4年ぶりに帰ってきた「常総きぬ川花火大会」。久しぶりの大会ということで、関係者の方々はこれまで以上にご苦労があったかと思います。
素晴らしい花火大会をありがとうございました。また来年も!

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。ビアテイスターで日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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