【東京都杉並区】様々な種類の肉とグローバルな酒とのペアリングが楽しめる、荻窪のビストロノミーに感動!
肉とハーブ マツノヤ
理由はともかく、無性に肉を喰らいたくなる衝動に駆られる事はないだろうか。それも焼き鳥屋の些々たる肉片でも、焼肉店やチェーン店のしゃぶしゃぶの薄っぺらい肉切れでもなく、できれば漫画に出て来るような豪快な肉塊がいい。
そんな衝動を和らげつつも肉への欲求を昇華させ、美酒と共に理性を回復してくれる店が『マツノヤ』である。以前は新宿二丁目で『松の屋』という焼き鳥店を営んでいたのだが、メニュー内容の刷新を機に『マツノヤ』と改名し、2018年に荻窪へ移転することになった。
「新宿の店は、ほぼ9割の方が会社勤めのサラリーマンやOLさんでした。荻窪に来てみたらカップルか単身者、家族連れがほとんどなので、最初は戸惑いましたね〜(笑)」と語るのが、オーナーシェフの鹿毛静穂(かげ・しずほ)さん。現在は、女性ふたりだけでこの店を切り盛りしている。
厳選された肉はもちろん、ジビエや新鮮な地場野菜をこれまた選び抜いたワインや焼酎、純米酒などと共にペアリング。カジュアルな店内やフレンドリーな接客と相まって、まさに”ビストロノミー”と呼ぶに相応しい店となっている。
荻窪駅の南口を出て仲通りに入り、1本目の角を左折するとすぐ右手の2階に看板が見つかる。”雨が降っても濡れずに来れる”との店のキャッチフレーズも、まんざら嘘では無い。
アイボリーを基調とした明るく清潔感溢れる店内には、カウンター席とテーブル席が用意され、着席時17名まで収容する。10〜17名(着席)、20名(立席)までであれば貸切も可能なので、ちょっとした集まりにも重宝しそうだ。
今年になってから始めたというランチは、平日の火曜・水曜・木曜のみ提供している。メニューは「放牧和牛ライス」の一択だが、腹の空き具合に応じてS ・M・ Lのサイズが選べ、野菜サラダやポテトサラダなどのトッピングが、自由にカスタマイズできるのがいい。
ランチのデフォルトは、ひと皿に「放牧牛のモモ肉」、「玉ネギ」、「古代米」を盛り付ける至ってシンプルな組み合わせだが、肉の味わいをしっかりと感じられる逸品。岩塩やペッパー、オリジナルソースは、客の好みに応じてセルフで賄うスタイルだ。
ミディアムサイズ(1290円)に「ほとんどサラダ」(250円)をトッピング。新鮮な地場野菜をたっぷり味わうことができるのでお勧めだ。ちなみに入り口脇に置かれたオリジナルのデトックスウォーターは飲み放題。
気になる肉料理がずらりとメニューに並ぶ。「放牧和牛」、「放牧豚」、「放し飼鶏」、「窒息ハト」、「ダチョウ」、「エゾシカ」などなど、何れもこれも食べてみたい欲求に駆られてしまう。ジビエは不定期な入荷のため、その都度、遠慮なく尋ねて欲しいとの事だ。
アペタイザーも充実している。かつての焼き鳥屋の味を引き継いだ「大山ささみ」をはじめ、「魚沼市豚のハツタタキ」、「ピータン」(各490円)、「ふぐの卵巣」(580円)、「エスカルゴ」(680円)など、無国籍状態で揃えられているのが面白い。囲みの中から3つ選ぶと1350円とリーズナブルだ。
ドリンク類も豊富だ。こちらも「ハイボール」から「焼酎」、「グラッパ」などとグローバルに揃う。「フレーバービール」の種類も多く、呑兵衛たちを悩ませるラインナップと言わざるを得ない。
「〜お酒が弱い方〜」と銘打った女性向けのアルコールメニューも。ここにはフルーツ系など変わり種の優しい日本酒がラインナップされているが、『竹鶴』や『王禄』、『鍋島』など、燗酒向きの豪気な純米酒も用意されているのが嬉しい。
さて、これらのメニュー表を見てお気付きかと思うが、どの品にも懇切丁寧な説明が加えられている。店主の細やかな配慮なのだが、とにかく気になった点があったら遠慮なく尋ねてみよう。快く説明してもらえるはずだ。
アラカルトの他にいくつかのコースも用意されているので、あれこれ迷うようならお勧めだ。10月からは「本日のお得コース(前菜2種+季節のサラダ+本日の肉料理)」(4500円)も新たに加わっている。
「レバーペーストとパンデビス」(550円)。”パンデビス”とは、フランスで親しまれているライ麦粉とハチミツ、シナモンなどのスパイスを使ったパン菓子のこと。ワインと合うのは間違いないが、日本酒の熱燗にもいける。
山形産のラム肉を使用している「ラムのタタキ」(1790円)。オリーブオイルとクミンなどの香辛料がよく馴染んで旨い。思わずパンを追加注文!
真打は、炭火でじっくりと焼き上げられた「稚内牧草和牛のイチボ」(3850円)。イチボは臀部の先にある赤身とサシが同時に楽しめる希少部位。これぞ、A5ランク肉の醍醐味!
ワインは国産銘柄をはじめ、フランス産やイタリア産を常備する。この日はイタリアのオレンジワイン”malvasia"を賞味。ちなみにオレンジワインとは、白ブドウを発酵させる際に皮や種を残したまま醸造されるワインの事で、白ワインの香りを保ちつつも、赤ワインのような渋みと苦味を併せ持った、深みのある味わいが特徴だ。
『マツノヤ』に興味を引かれる理由のひとつが、日本酒とのペアリングかもしれない。最近は地酒を置いているバルも見受けられるようになったが、ステーキ肉と燗酒のマリアージュを享受できるのは、荻窪界隈ではおそらくここだけであろう。
トイレの中に、何気なく飾られているジェームズ・ディーンのオブジェを発見!聞けば、店主が若い頃に影響を受けた大好きな俳優なのだそう。
螺旋階段を登って店内に入ると、笑顔の絶えないふたりのマダムが迎えてくれる。洒脱な会話も弾み、独り客でも安心して寛げる雰囲気とあって、リピーターとなる女性客も多いというのも納得だ。
男性諸氏も、たまには赤提灯の暖簾を潜らずに、この”肉と酒の楽園”に足を運んでみてはいかがだろうか。
さてさて、今宵も大満足。ご馳走様!
肉とハーブ マツノヤ Rettyページ
住所:東京都杉並区荻窪5-29-8 2F
電話:03-6915-1555
アクセス: JR中央・総武線 、東京メトロ丸の内線「荻窪駅」南口より徒歩1分
営業時間: 火~木 ランチ 11:45~15:00(L.O.14:30)
火~金 ディナー 18:00~22:30(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:00)
土・日・祝前日・祝日 ディナー 17:00~23:00
(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
定休日:月曜日(不定休有り)
公式サイト:肉とハーブ マツノヤ