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【介護福祉士は見た】認知症になっても好かれる人の条件

こんにちは。認知症の支援サポーター『夢 はるか』です。

今日は、わたしがデイサービスで働いていたときに出会った素敵な人『ひなたさん(仮名)』のお話をします。

ひなたさんは90歳。

足腰がしっかりとした、とても活発な方です。

デイサービスでは職員と目が合うたびに、

「ごはんもう食べたけ?」

と聞くのが、ひなたさんの口癖でした。

ある日の午後、『脳トレ』の時間の出来事です。

10人ほどがテーブルに集まって、漢字クイズや計算問題などのプリントに取り組んでいました。

みんなが静かに集中して問題を解いていると…

突然、ひなたさんが大声で歌いだしたのです。

静かなデイルームに響き渡る、ひなたさんの美声に、みんなはビックリ仰天。

わたしは、ひなたさんの目の前に行って「シーッ」と口に手を当てました

ひなたさんは耳が遠いので、彼女の視界に入る場所で、ジェスチャーをまじえて言わないと、伝わりにくいのです。

自分の居場所がわからない

認知症の症状に、時間や季節、自分の現在の居場所、周りの状況などが分からなくなる『見当識障害』があります。

ひなたさんも自分がいま、どこで、どんな活動をしているのか、だんだん分からなくなっているようでした。

このときは、脳トレの時間だということを忘れて、

「いつもは元気な仲間たちが、今日はなぜか机に向かって難しい顔をしている」

「みんなが元気になるように、歌で景気づけをしよう」

と考えたのでしょうか。

常に周りの人のことを気にかけて、元気が出る言葉や、おどけた動きでみんなを楽しませるひなたさんは、デイサービスのムードメーカーでした。

認知症になっても残るもの

認知症になると、すぐに出来事を忘れたり、時間や場所がわからなくなったりします。

ひなたさんは認知症の診断を受けました。

その頃から『もの忘れ』があり『見当識障害』があります。

それでも、認知症になったからといって、ひなたさんを嫌う人はいません。

ひなたさんには『人を思いやる気持ち』があるからです。

超高齢化が急激に進むいま、将来誰もが認知症になる可能性があります。

『認知症になっても幸せに生きるためには、何が必要なのか?』

そんな大事なことを、ひなたさんは教えてくれました。

介護福祉士としてデイサービスや訪問介護の現場で働いてきました。職場の上司の指導で、研究会での発表や、学術誌へのケースレポートの投稿なども積極的に行なっています。また、子どもの頃から好きだった漫画やイラストを描くことで、認知症の知識や介護のコツをわかりやすく伝えることを心がけています。

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