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認知症【ものとられ妄想】「あんた盗ったやろ」と言われたら、どう答えたらいい?介護福祉士が漫画で解説

こんにちは!認知症のケアサポーター『夢 はるか』です。

わたしは介護現場で15年以上働く介護福祉士です。

子どもの頃から好きだった漫画を描くことを通して、認知症や介護のことを一人でも多くの人に知ってほしいと思い、日々がんばっています。

今日のテーマは、認知症の人の家族にとって、ちょっと深刻な『ものとられ妄想』についてです。

ものとられ妄想とは

認知症の人が、自分が大事にしているものを、どこにしまったのかわからなくなると、誰かが盗ったんだと思い込むことがあります。

その矛先は、だいたい身近な家族ですから、家庭内で、ひと騒動が起こります。

無実の罪を着せられる家族にとっては、とんでもない話です。

なぜか、ものとられ妄想のターゲットになるのは、認知症の人が日頃一番お世話になっている家族やヘルパーなのです。

本来は感謝すべき人に対して、疑いの目を向けてしまうのが、認知症の症状です。

介護をする立場から正直に言えば、

「何のために、この人の介護をしてきたのか」

と、むなしい気持ちにもなります。

しかし、疑いの目が大切な人に向くのは、認知症の症状であることを覚えておきましょう。

一緒に探してみましょう

「あんた盗ったやろ」

あなたが、もしそう言われた時…

気持ちと時間に余裕があれば、ぜひ、5分ほど(無理なら2、3分でも)一緒に探してみてください。

一緒に探しているうちに、違うことが気になって、探していることも、なくしたこと自体も忘れてしまうかもしれませんよ。

そして何より、一つの目的に向かって一緒に作業することで、連帯感や安心感が生まれます。

「わたしはあなたの敵ではなく、味方です」

言葉だけでなく、行動を通して、そう感じてもらいましょう。

自分で見つけるお手伝い

もしあなたが、なくなったものを見つけても、あえて「ここにあったよ!」と言わないのがおすすめです。

第一発見者のあなたが「あんた、本当は持ってたんやろ」と疑われるかもしれません。

「タンスの中かな?ちょっと見てみようかな?」

なんてブツブツ言いながら、そこを探してもらうように声をかけてみましょう。

自分で発見できた達成感も、味わってもらえたらいいのかなと思います。

定位置を決める

大事なものは、必ず決まった場所にしまうように、定位置を決めるのもおすすめです。

なくしやすいものは、必ず定位置に置くことを習慣付けるように、根気よく声をかけていきましょう。

ものを減らしてシンプルな生活を

探し物をしていると、普段ほとんど使わないものが、たくさんあることにも気づきます。

そもそも、ものが少なければ、探す時間も少なくて済みます。

なかなか捨てられないものもあるでしょうが、その思い出を聞きながら、処分できるものから、徐々に減らしていくことも必要ですね。

わたし自身も、将来子どもたちに大変な思いをさせないように、ものを減らしてシンプルな生活をしたいと思っています。

介護福祉士としてデイサービスや訪問介護の現場で働いてきました。職場の上司の指導で、研究会での発表や、学術誌へのケースレポートの投稿なども積極的に行なっています。また、子どもの頃から好きだった漫画やイラストを描くことで、認知症の知識や介護のコツをわかりやすく伝えることを心がけています。

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