「学校に行きたくない」対応を間違えるとそのまま不登校に。親が今できることは?
夏休みやGWなど、長期休み明けには「学校に行きたくない」という言う子どもが増えます。
長期休暇自体は年に何回かありますが、実はゴールデンウィーク明けが"最も不登校のきっかけになりやすい"と私は考えています。
実際に私が高校1年生の担任をしていたとき、ゴールデンウィーク明けの初日に「誰が休んだか」というのはかなり気に掛けていたことです。
初日に登校できていれば少し安心、逆に休んだ場合は何かしらのケアが必要だと考えていました。
ただし、子どもが「学校に行きたくない」という理由はさまざまです。
今回は、教員時代の経験を元に子どもが学校に行きたくないと言う理由とそれに対して親や教師ができることについて解説していきます。
学校に行きたくない理由①朝起きられない
朝起きられなくなる理由は?
長期休み中に
- 夜遅くまでゲームで遊んでいた
- スマホに夢中で気づいたら朝だった
など、昼夜逆転の生活になる子どもは少なくありません。
そういった生活が数日続くだけで、生活リズムは簡単に崩れてしまいます。
生活リズムが整わないまま休暇が終わってしまった際、前日も夜更かしして「朝起きられない」ということがあります。
誤った対処法
単に朝起きられない、眠いから学校を休んでダラダラしたい、といった理由で学校を休むことは推奨されません。
こういった場合に一度休んでしまうとクセになってしまい、学校を休むことに抵抗を感じなくなることがあるからです。
休み癖が一度つくと、些細なことでも学校を休みがちになり、気づけば年間欠席日数が30日間を超えてしまうということになりかねません。
連続して休んではないものの、結果的に不登校状態になってしまう可能性があるのです。
適切な対処法
このケースでは、単に生活リズムを戻してあげればよい話なので、初日の朝に自分で起きてこなくても親が声をかけて学校へきちんと登校させるのが良いでしょう。
学校へ行き始めれば自然に生活リズムは戻ります。
※ただし、朝起きられないことが「起立性調節障害」といった病気や精神的なストレスから起こっている可能性があるため注意が必要です
学校に行きたくない理由②GW中に友だちとトラブル発生
子どもから「学校に行きたくない」と言われた際には、頭ごなしに「学校へ行きなさい!」と言うのではなく、まずは理由を聞くことが大切です。
GW中に友だちとトラブルが起きやすい理由とは?
実は、GW中に友だちとトラブルが発生し、学校へ行けなくなる子どもは少なくありません。
4月に入学や進級で新しいクラスになり、新しい交友関係が生まれます。
その交友関係が大きく変化するのが、4月以降で初めて長期休みになるGWなのです。
これまでは学校だけの付き合いだった友だちとも、
- どこかへ遊びに出かける
- 友だちの家に泊まる
というように、長い時間一緒に過ごすことになるのです。
そんな中、学校生活では見えてこなかった一面を知ることもあり、考え方の違いなどが浮き彫りになります。
GW中にトラブルが起こり、その結果「友だちと会いたくないから学校に行きたくない」という子どもも一定数います。
誤った対処法
この場合、必ずしも学校に行かせることがベストとは言えません。
また、学校を欠席する際の連絡で「体調不良なので」と偽りの理由を伝えるのはNGです。
適切な対処法
場合によっては、1日学校を欠席して様子を見ることも大切です。
また、欠席する際は嘘をつかず「実はトラブルがっあったみたいで……」と簡単にでも良いので担任の先生に状況を説明しておくと良いでしょう。
友だちとトラブルが発生して学校へ行けない場合には、極力担任の先生に相談してみるのがおすすめです。
子どもが親に相談できそうな場合には、話を聞いて解決方法をともに考えます。
しかし、
- 親には具体的に話したくない
- 家庭だけでは解決が難しそう
といった場合には、学校のサポートが必要です。
まずは担任の先生あるいは養護教諭(保健室の先生)が子どもと話せる機会を設けるのが良いでしょう。
教室に入れない場合は保健室に行くだけでも良いですし、電話だけでも話ができれば学校側でも対処がしやすくなります。
逆に、「体調不良なので」といって数日休んだ場合には、問題がまったく解決せずに時間だけが過ぎてしまうこともあります。
その結果、何日も休んでしまい「今更学校に行きたくない」ということにもなりかねません。
このようなケースは、とにかく早期に解決することが大切です。
学校に行きたくない理由③宿題が終わっていない
宿題が終わらない子は一定数いる
学校に行きたくない理由として「宿題が終わっていないから」というケースも割とあります。
この場合、宿題が終わっていないことで先生に怒られるのが嫌だ、という気持ちから登校をしぶります。
しかし、宿題が終わらないから学校へ行かないというのは何の解決にもなりません。
実は、長期休みの宿題が休み明けに提出できない子どもは一定数います。
そこで、万が一宿題が終わらなかった場合の対処法についてご紹介します。
誤った対処法
適切な対処法を解説する前に、絶対にやってはいけない「誤った対処法」についてお話しておきます。
それは、嘘や言い訳をつくことです。
何か先生が納得できるような理由があればもちろん説明すべきですが、嘘や言い訳は絶対にNGです。
嘘は必ずバレますし、宿題が終わらなかったこと以上に叱られることがほとんどです。
適切な対処法
宿題が終わらなかったときにやるべきことは、学校を欠席したり嘘でごまかしたりすることではありません。
まずは残りの時間を使ってできるところまで全力に取り組み、登校したらすぐに職員室へ向かうことです。
ここで重要なのは、宿題を回収するタイミングで「宿題が終わらなかった」ということを先生に伝えるのではなく、朝一で報告をしにいくということです。
そこで、
- 宿題が終わらなかった理由を説明
- 期限が守れなかったことについての反省
- いつまでに提出できるか期限を提案
- 今後同じことを繰り返さない宣言
を先生に伝えます。
ここまで徹底すると、たいていの先生はそんなに怒ることはないでしょう。
もちろん、そもそも宿題は計画的にやって期限を守るべきですが、万が一終わらなかった場合には上記のような対処法がおすすめです。
場合によっては学校を休むことも必要
GW明けの初日に「学校に行きたくない」と子どもが相談してきたときには真剣に耳を傾けることが必要です。
- 宿題が終わらなかった
- 眠いから起きたくない
といった場合には登校をさせるべきですが、実は子どもからのSOSサインということも考えられます。
18歳以下の日別自殺者数は、夏休み明けが圧倒的に多いのですが、実は春休みやゴールデンウィーク等の連休明け直後も多いことがわかっています。
こうしたことから、無理をしてまで学校へ行かせることが必ずしも良いわけではありません。
場合によっては学校を休むことも必要です。
とにかく休み明けに子どもが「学校に行きたくない」と相談してきた時には、その理由を明確にする必要があるでしょう。
実は、
- 特に理由はないけど行きたくない
- なんとなく休みたい
- 理由は言いたくない
という場合には、学校生活への不安やストレスを感じている可能性が高いです。
また、子ども自身もそのことに気づいていないケースがあります。
こうした際に、子どもの小さなSOSに最も気づいてあげられるのは母親や父親です。
「学校に行きたくない」と言われたら、今回のお話をぜひ思い出してみてください。