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ヤマハはなぜ車検のある320ccバイクを出したのか?

相京雅行下町のバイクパーツメーカー/ディレクター

その一つが車検制度。日本ではバイクの排気量が250cc以下は車検が不要になります。ユーザー車検で済ませれば比較的安価とはいえ、所有するコストに違いがあります。

そのため海外で300cc前後で販売されているバイクを国内販売する場合、排気量を250ccまでおとすのがセオリーでした。少なくともMT-03やカウル付きのYZF-R3がリリースされるまでは。

例えばホンダのCBR250Rは海外ではCBR300R、カワサキのニンジャ250はニンジャ300として売られていたりします。250ccクラスはエントリーユーザーからベテラン層まで人気のクラスなので、対応したといったところでしょう。

ではなぜ、ヤマハは320ccのYZF-R3やMT-03を発売したのでしょうか?

ガラパゴスと言われるが、乗ると公道で丁度よい扱いやすさ

以前は取得する難易度が高かった大型自動二輪免許が、教習所で誰でもとれるようになり、大型排気量のバイク人気が高まりました。

半面人気に陰りが出始めたのが、普通自動二輪で運転することができる最大排気量の400ccクラス。海外とは免許制度自体が異なるため、海外では需要がありません。

大型自動二輪の免許を取得するユーザーが増え、メーカー各社も魅力的なラインナップを用意。結果、250ccクラスと大型クラスに人気が集中し、間の排気量の400cc人気は減少傾向に転じました。

ただ実際に250ccからリッタークラスまで試乗してると、400ccクラスは公道を走るのにパワーに過不足がなく、大型に比べると燃費が良いので連続航行距離が長いことに気が付きます。

エンジンを高回転まで回すのが魅力の250ccと比べて、走り出しのトルクがあり楽に走ることができます。実は乗ってみると軽快で楽しいクラスなのです。

加えて言えば、海外で320ccで作られているバイクをあえて日本のために250ccに作り直しているわけですから、320ccのままで売るのは難しくないわけです。

結果250ccのコスパの良さと320ccの軽快さを重視する層が分かれて、どちらの車両も人気となりました。ヤマハの選択は正しかったと言えます。

動画ではMT-25とMT-03の走りの違いも解説しています

下町のバイクパーツメーカー/ディレクター

下町の小さいバイクパーツメーカーで番頭を務めています。面白い事には大抵首を突っ込みます。ワークマンでアンバサダーをやっていたり、オールアバウトでバイクガイドを担当していたりします。

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