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SUV仕様の電動キックボードに乗ってみたら「ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ」だった件

相京雅行下町のバイクパーツメーカー/ディレクター

電動キックボードが話題に上がることが増えてきました。

エンジンに比べてモーターは開発費用が安いため参入メーカーが多く、楽天やアマゾンなどのECサイトで気軽に購入できる気軽さもあり、ユーザーも爆増しているのだとか。

今のところ扱いは原付と一緒みたいですが、時速20km/h以下に制限すれば免許とヘルメットが不要になるなど規制が緩和されるという話も。

それだったらキックボードに比べて安定性抜群の50ccスクーターの30km/h規制や二段階右折を先になんとかしてくれ・・・という個人的な感情は一先ず置いておくとして。

話題の乗り物なので、二輪ジャーナリストとしては乗ってみたい!と思ったのですが、前述したように参入メーカーが多く、どれが良いのか正直わからない。

楽天やアマゾンで売っている製品はメーカーが違っても同じに見えます。

中には保安部品が基準を満たしてなくて公道走行NGなのに、堂々と公道走行可能とか書いて販売しているものも。

予想以上に市場はカオスの模様です。そこで二輪関連メーカーであれば、法律に準拠した電動キックボードを販売しているはず!と思い探してみるとカスタムジャパンから販売されているのを見つけて今回乗ってみました!

eXs1とeXs2という二種類を販売しており、前者はデザイン的にはよくある電動キックボードという感じ。後者はアウトドアのテイストを加えており、いわゆるSUVモデルなのです。

装備が超本格的

EXS2はとにかく装備が本格的!まずタイヤサイズが10インチを採用しています。幅は狭いですが50ccスクーター同等のインチ数です。ブロックパターンがアウトドアテイストを強めています。

ブレーキはなんと前後共にディスクブレーキ。スクーターだってリアはドラムブレーキを装備していることが多いのに豪華すぎます。

多くの電動キックボードがリジッドなのに対して、EXS2は前後にサスペンションを装備。タイヤの扁平率は低そうですが路面の追従性と乗り心地は悪くなさそうです。

保安部品であるウインカー・ミラー・テール/ヘッドライトは全て標準装備。灯火類は全てLEDになっており消費電力を抑えています。

個人的にうれしいと思ったポイントしてはハンドルの高さが調整できる機構。電動キックボードはサイズ調整できないイメージがありますが、低身長ライダーとしては調整機構がついているのはありがたい。

長距離走行ができるのがうれしい!

EXSの充電時間は5時間から7時間。もちろん一般的な家庭用の電源で充電可能です。夜寝ている間に充電しておけば朝にはフル充電になります。

出川哲郎さんの番組で使われている電動スクーターの連続航行距離が29kmなのに比べてEXS2の連続航行距離は40km/~45kmと充分。

これだけ走れば残りの電力量を気にしながら走る必要はなさそうです。

最高時速35km/hは伊達じゃない!

EXSは三段階のパワー切り替えが装備されています。実際に使ってみると、1は15km/h、2は25km/h、3は35km/hまでスピードが出るように調整できました。

15km/hというと現在行われている特定キックボードの実証実験で制限されているスピードです。小型特殊自動車として位置づけられており、ヘルメットの着用が任意、自転車道を通行できるようにするというもの。

モーターの加速はエンジンと違ってオンとオフがハッキリしており、50ccの原付スクーターと比べても走り始めは早い印象を受けました。慣れるまでは結構ビックリします。

ただ走り出しは早いものの、時速15kmは相当に遅い印象です。一般道を走るなら35km/hモードじゃないと厳しい印象を受けました。道路標識が30km/h規制の道路でも、実際には車の流れはもう少し早いです。

ただ35km/hモードは加速がピーキーでアクセルオンで一気に体を後ろに持ってかれます。超ピーキーマシンで有名なヤマハのMT-09初期型Aモードと言えば、乗ったことがある人は「まじで?」となるはずです。

これを面白いととるか、扱いにくいととるかは乗り手次第といったところでしょう。ブレーキも結構ガッツリ制動するので、SUVモデルといいつつも、スポーティーな走りの印象が強い一台です。

eXs1にも試乗してみましたが、二台を乗り比べるとステップ位置の違いに気が付きました。eXs2はオフロードの走行を意識して最低地上高を引き上げているのでステップの位置が高いのです。

街中のストップ&ゴーではeXs1の方がフレンドリーに感じます。車体自体も軽いので女性が扱うならeXs1の方がいいかなという印象です。

大きな道路には向かないが「ちょっとお出かけに便利」

どちらもかなりコンパクトに折りたためるので、三列シートのミニバンに積載する場合は三列目だけシートをたためば積載可能でした。出先でのコミューターとして使うのにも良さそうです。

今回大きな道路も走りましたが、かなり車の流れを止めてしまいます。車通りが少ない道やキャンプ場でのサイト移動などでは魅力を発揮できそうです。

eXs2のディテールはメーカーサイトでご確認ください

動画では実際に走行しながら魅力を語っています

下町のバイクパーツメーカー/ディレクター

下町の小さいバイクパーツメーカーで番頭を務めています。面白い事には大抵首を突っ込みます。ワークマンでアンバサダーをやっていたり、オールアバウトでバイクガイドを担当していたりします。

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