Yahoo!ニュース

【丸亀市】3月9日に「哲学×教育」を考える講演とシンポジウム NHKEテレ番組監修の土屋准教授も登壇

ちぃちぃライター(丸亀市・善通寺市)
「哲学×教育で世界を作りかえる 哲学対話教育の現在と未来」のチラシ

哲学対話という「答えの出ない問いと向き合う場」が、香川県内でも少しずつ広がっていることをご存知ですか。もっと哲学対話の裾野を広げようと、3月9日に丸亀市市民交流活動センターマルタスで、講演会とシンポジウム「哲学×教育で世界を作りかえる 哲学対話教育の現在と未来」が開かれます。哲学対話に取り組んでいる小学生から大学教員までが登壇するイベントです。

「丸亀に哲学対話を根付かせたい」

イベントのテーマは、「なぜ哲学的に考えることが重要なのか」。主催者の一般社団法人てつがく屋代表、杉原あやのさんは2年前から、丸亀市内で小学生や10代の若者を対象に、哲学対話を開催しています。自身も大学で哲学を専攻していました。

杉原さんがファシリテーターを務める「こどもてつがく」(提供)
杉原さんがファシリテーターを務める「こどもてつがく」(提供)

杉原さんは「哲学対話は、誰もがお互いに影響し合うことで世界を作っていく試みです。人は、思っていることを人前で出さないことも多いですが、哲学対話(こどもてつがく)を経験した小学生は『本当に思っていること』を表明してくれるように変化するんですよ」と話します。

香川県内の中では、丸亀市は哲学対話に取り組み始めた時期が早いとか。杉原さんは「市内にもっと哲学対話が広がってほしい」という願いを込めて、今回のイベントを企画したそうです。

哲学対話では、「例えば」「なぜ」「本当に?」などの言葉が活躍する
哲学対話では、「例えば」「なぜ」「本当に?」などの言葉が活躍する

「学校や職場など、人間関係が固定化された場では声に出しにくいことも、哲学対話のように『常識を問い直すことが歓迎されている場』では、言葉にすることができます。悩みや疑問をストレートに出せる場所として、哲学対話の場を大切にしています」と杉原さん。

哲学対話は、学校・職場や家庭ではないサードプレイスとして機能しているんですね。

小学生や高校生がパネリスト

シンポジウムには、哲学対話を経験した小学生3人、そして、学校教員の立場から大手前高松中学・高校教員の邑地秀一郎さん、てつがく屋高校生スタッフの松井康太朗さん、杉原さんが登壇します。

シンポジウムに登壇する松井さん(左)と杉原さん
シンポジウムに登壇する松井さん(左)と杉原さん

松井さんは「もともと考えることが好きで、哲学対話に参加するようになりました。哲学対話では、人の発言に真剣に耳を傾け、自分の発言も真剣に聞いてもらえます。そんな真剣な空気感の場はなかなかないので、参加していると心地よいものを感じます」と話していました。

普段から哲学対話をとおして人の話によく耳を澄ませ、自分の考えや思いを表明しているパネリストのメンバーから、どんな話が聞けるのか楽しみですね。

米仏では幼稚園から哲学対話

また講演会には、開智国際大学准教授の土屋陽介さんが登壇します。NHKEテレの番組「Q〜こどものための哲学」を監修するなど、子どもと哲学対話の第一人者です。著書に「僕らの世界を作りかえる哲学の授業」(青春出版社)があります。

国内だけでなく、海外での哲学対話の事例を踏まえながら、哲学と教育の関係性について大きな視点から講演してもらう予定です。フランスやアメリカでは、幼稚園でも哲学対話に取り組んでいるとか。深く考える時間を子ども時代から過ごすことで、どんな影響がもたらされるのか興味が湧きますね。

講演会とシンポジウムの定員は200人。参加費は一般1000円で、高校生以下の子どもは無料です。事前に申し込みが必要です(申込先のメールアドレスは、記事末尾の基本情報を参照)。

「お客さんと作る」カフェサロン

「より良く生きるとは?」をテーマにした哲学対話の板書
「より良く生きるとは?」をテーマにした哲学対話の板書

今回のイベントを主催する杉原さんは、多度津町東浜のカフェサロン「Tetugakuya」のオーナーです。毎週日曜日と月曜日の2日間が営業日(午後2時から午後7時)。元金融機関だった天井の高い建物が、哲学の世界を彷彿とさせる独特の空間に生まれ変わり、ファンが集っています。

実は、このカフェサロンを作り上げていく過程が、哲学対話が目指している世界観と似ていました。杉原さんは「お客さんの力はとても大きいのですが、お客さん本人はそんなこと思っていないんです。小さな一言でも、店を変化させる力を持っていることを伝えたくて、お客さんの発言を尊重しながら店を作ってきました」と教えてくれました。

「Tetugakuya」店内に完成した本棚。3年がかりだったという
「Tetugakuya」店内に完成した本棚。3年がかりだったという

昨年は、3年がかりで取り組んでいた壁際の本棚が完成したそうです。また、座席のテーブルはお客さんが「小さなテーブルも必要だろう」と、手作りしてくれたとか。店内のあちこちに、お客さんとの関係や協力が垣間見えるユニークな空間でした。

杉原さんの「世界は人と人が影響しあって作られている」という思いが、店内にも現れていて、とても面白いと感じました。

「Tetugakuya」で開催されている哲学対話の様子(提供)
「Tetugakuya」で開催されている哲学対話の様子(提供)

このカフェサロンでは月に2回(第2・第4土曜日)、大人を対象にした哲学対話が開かれています。杉原さんは「みなさん、とても礼儀正しく話をしっかり聞いてくれます。話したい内容を持っている人が集ってくれているようです」と話していました。何気ない想いを言葉にしてみることが、実は、他の参加者の新しい気づきになったり、改めて自分自身と出合い直すきっかけになるかもしれません。

3月9日のイベントが、丸亀市を中心として哲学対話が広がっていくきっかけになるかもしれませんね。久しぶりに、じっくり深く考えてみる時間を持ちたい感じました。

会場の丸亀市市民交流活動センターマルタス
会場の丸亀市市民交流活動センターマルタス

基本情報
名称 : 哲学×教育で世界を作りかえる 哲学対話教育の現在と未来

住所 : 香川県丸亀市大手町2丁目4-11 丸亀市市民交流活動センターマルタス

アクセス : JR丸亀駅から車で5分程度(駐車場あり)
日時 : 3月9日午後1時半から午後3時半
参加費 : 1000円
申し込み・問い合わせ : info@tetugaku.net(てつがく屋)

公式サイト

ライター(丸亀市・善通寺市)

ヘルシーなごはん、そして、雰囲気を含めた「心地よい食体験」が大好きです。時には、知的な発信も手がけたいと思っています。香川県丸亀市・善通寺市での時間を楽しんでいただけたら嬉しいです。

ちぃちぃの最近の記事