【目黒区】そうだったんだ御朱印帳、正しい使い方も学べた2023年の山手七福神巡り
毎年お正月恒例、めぐろ観光まちづくり協会が催行する人気のイベント「山手七福神巡り」に抽選で当たり、参加してきました!
こちらのイベント、めぐろまち歩きボランティアガイドが同行するので、見どころや歴史などもわかりやすく紹介してくださいます。
御朱印が欲しい場合は、予め申込んでおくと、書置きしたものを準備してくれるとのこと。普段あまり御朱印をいただかない私ですが、目黒区と良いご縁を結びたいので、いただくことにしています。
また、現在めぐろまち歩きボランティアガイドの勉強中なので、今回はその勉強もさせていただくつもりで参加してきました。以下、今回歩いたコースと所要時間目安です。
山手七福神めぐりスケジュール
9時30分 白金高輪駅(改札口)集合→(0.3キロ・徒歩約10分)→9時45分 覚林寺【毘沙門天】着→(0.4キロ・徒歩約10分)→瑞聖寺【布袋尊】→(0.6キロ・約25分)→妙圓寺【福禄寿・寿老人】→(1.0キロ・徒歩約25分/途中、目黒駅でトイレ休憩)→大圓寺【大黒天】→(0.6キロ・徒歩約10分)→蟠龍寺【弁財天】→(0.5キロ・徒歩約10分)→瀧泉寺【恵比寿神】→12時30分頃解散
※時間は目安となります。
ところで御朱印は何のためにいただくもの?集めた御朱印はどうする?
今まで七福神めぐりの時は、色紙を購入して各お寺を巡り、スタンプを頂いていました。しかし、このところの御朱印ブームで、私も御朱印帳を購入。
目黒区内の神社・仏閣におじゃまする際は、御朱印をいただいています。
趣味の古代史ツアーや講座で親しくなったゆだぽんさんと先日お話した際に「御朱印帳は亡くなった時、御棺に入れて火葬していただくためのもの」という話をうかがい、びっくり!
ゆだぽんさんは普段、オーラ視を中心としたスピリチュアルリーディングを行っている方で神社検定1級を持っています。御朱印帳についてもっと詳しくお話をうかがってみました。
御朱印の始まりはもともとは寺院で、納経をした証としていただくもの。寺院も神社も「御朱印」といっていますが、寺院の方は正式には「納経印」というんだそうです。
今でも納経しないと書いてもらえない寺院がいくつかあり、御朱印をいただく場合、寺院と神社の御朱印帳は基本的に別にした方が良いそうです。
分けてないと御朱印を授与していただけない寺社もあるということ。にわかブームに乗って御朱印帳を購入した私、反省です。
ゆだぽんさんはすでに30冊も御朱印帳があるとのこと。このペースで増え続けると御棺に入りきれないかも・・・とおっしゃっていました。
御朱印帳は功徳の証ととらえればよいのでしょうか。勉強になりました!
参加者は4~5名のグループに分かれて出発、覚林寺に向かいます
まず1か所目は白金(港区側)にある覚林寺です。新型コロナウイルス感染症対策の一環として、各グループ4~5名の少人数に分かれて行動します。
私たちのグループは、めぐろ観光まちづくり協会がまち歩きボランティアガイドを発足した黎明期から活躍されている、井上裕美子さんが担当。そしてもう1人、今回のガイドが初めてという秦さんがアシスタントとして同行しました。
覚林寺は加藤清正公もお祀りしており、地元から「せいしょうこうさん」として慕われているお寺。開山は、加藤清正公の養子となった日延(にちえん)です。
覚林寺のご本尊は、清正公の守護仏である釈迦牟尼仏。さらに清正公をも一緒にお祀りされているというわけです。
毎年5月4日・5日に行われる「清正公大祭」では、武運の強かった清正公に由来して「苦悩に打ち勝つ」という願いを込めた「葉菖蒲入リのお勝守」を授与。この両日しか手に入らないので、毎年大勢の参拝客が詰めかけます。
残念ながら毘沙門天がお祀りされている御堂は扉が閉まったまま。七福神めぐりでは1月7日までに参拝すると御開帳されていることが多いのですが、覚林寺に電話で問い合わせたところこちらの毘沙門天の御開帳は毎月1日・15日とのこと。
ガイドの井上さんが手持ちの資料として、毘沙門天のお写真を見せてくださいました。
この他、覚林寺では、明治初期頃に高低測量を行うために設けた基準「几号水準点」が刻印された石碑の説明など、ガイドなしでは見落としてしまいそうな紹介もあり、勉強になりました。
江戸で最初の黄檗(おうばく)宗のお寺「瑞聖寺」では、強面の布袋尊と対面
2番目に訪れたのは同じく白金台にある「瑞聖寺」です。江戸で最初の黄檗(おうばく)宗のお寺で、ご本尊である釈迦如来をお祀りしている大雄宝殿は国指定重要文化財。
大雄宝殿は1757年(宝暦7年)の再建と推定されており、ちょっと珍しい二重屋根になっています。一番上に小さなしゃちほこのようなものが乗っているのが見えますでしょうか?
この飾りは「ワニ」と呼ばれるもの。京都にある黄檗宗大本山「萬福寺」の屋根の上にもあるそうで、正式には摩伽羅(まから)といい、ガンジス河の女神の乗り物とされています。
火事にならないようにというおまじないの意味もあるそうです。黄檗宗は、江戸時代に中国から渡ってきたもので、大雄宝殿は日本の寺院建築とは異なる意匠が特徴的。
上写真のように「魚梆(ぎょはん)」と呼ばれる、外に吊るされた木魚や大雄宝殿の正面中央にあしらわれた桃の彫刻などは、黄檗宗以外のお寺ではあまり見かけないものなのだそうです。
また、月台(げつだい)と呼ばれるテラスのような張り出しもあります。
ご本尊である釈迦如来に続けて布袋尊にお参り。
一般的な布袋尊といえば、まるまるとしたお腹とおおらかな笑顔というイメージでが、上写真を見てお分かりの通り、瑞聖寺の布袋様はなかなかの強面です。
ちょっと珍しいかもしれませんので、機会がありましたら、ぜひご参拝してみてはいかがでしょうか。
お正月以外は扉が閉まっていますが、正面から少しのぞき込むと見えるそうですよ。
そして瑞聖寺のもう一つある見どころは庫裏。建築家・隈研吾氏が手がけたもので、大雄宝殿から延びる軸線の南側に、コの字型の回廊空間を設けています。
中央には水盤のある中庭、中央にプラットフォームを設け、地域に開かれた空間としてデザインしているとのこと。黄檗宗寺院と溶け合う木製と鉄骨を組み合わせた軒下やルーバーで幾何学的なリズムを生み出しています。
ご長寿のシンボルである福禄寿と寿老人両方をお祀りする「妙圓寺」
港区最後のお寺は妙圓寺、福禄寿と寿老人両方をお祀りしています。こちらの案内は、まち歩きガイド初デビューの秦さんです。
妙圓寺のご本尊は妙見大菩薩で、日蓮大聖人が比叡山遊学中に感得された像で、伝教大師作と伝わります。妙見大菩薩は北辰妙見大菩薩ともいい、北極星(北斗七星を含む)を神格化したものだそうです。
お寺の屋根などにその北斗七星信仰を感じさせる意匠(丸や井などを使ったモチーフ)が施されていますので、皆さんもぜひ注目してみてください。
妙圓寺の妙見大菩薩は「開運妙見」と呼ばれ、地元からは「白金の妙見さま」として親しまれています。
妙見堂中央には妙見大菩薩、その左右に寿老人と福禄寿という配置(中は撮影禁止)。南極星の化身としてあがめらえている寿老人・福禄寿ですが、妙現大菩薩は北極星を神格化したものです。
どちらも極地とゆかりがあるというのも面白いなと思いました。
撮影するのを忘れてしまいましたが、妙見堂向かって左手奥に稲荷社があります。今はもう枯れてしまっていますが、滝の跡があり、かつては水が流れていたそうですよ。
この他、港区内では「シェラトン都ホテル東京」内に残されている庭園(実業家・藤山富太郎氏邸宅跡)や「八芳園」の歴史(元・大久保彦左衛門の屋敷跡)、「港区郷土歴史館」が旧公衆衛生院だったことなども紹介いただきました。
知らないことばかりだったので面白かったです。
目黒の行人坂から広重も見たであろう富士山を拝みます
目黒駅でトイレ休憩を取った後、4カ所目のお寺「大圓寺」に向かいます。大圓寺は行人坂の途中にあるのですが、その前に行人坂の上から富士山を探します。
上写真に写っていますが見えますでしょうか?
目黒区内には富士山が見えるスポット、いくつかありますがJR目黒駅は高台になっているので、行人坂の上からもよく見えます。お正月からおめでたい光景が楽しめました。
こちらからの富士山の眺めは歌川広重が描いた「江戸自慢三十六興 目黒行人坂 富士」と同じ場所から見ている光景。当時の面影は富士山だけという感じでしょうか。
「行人坂」の由来は、山形県の湯殿山の行人たちが集まり、住むようになったことからその名がついたといわれています。
坂の途中にあるホリプロダクションビルの脇には「富士見茶屋と夕日の岡」という説明板が立っていました。
江戸時代に富士山の眺めを楽しめる「富士見茶屋」がこの近くにあり、また、行人坂周辺は夕日と紅葉の名所だったことから「夕日の岡」と呼ばれていたそうです。
「甲子祭」と重なり、大勢の参拝者で賑わう「大圓寺」
行人坂を下り、ホテル雅叙園東京の少し手前にある大圓寺へ。訪れた1月6日(金)はまさに今年初めての甲子祭の日(大黒天縁日)です。
さらに、「天赦日+一粒万倍日」が重なるという「年内最上吉日」。ということで、大護摩供厳修を受ける参拝客が大勢いらっしゃいました。
ちなみに私は2022年もこの「甲子の日+天赦日+一粒万倍日」重なる「年内最上吉日」にお参りし、お財布を新調。気のせいかお金に困らなかったような・・・気がします。
まずは開運出世大黒天にお参り。こちらの大黒天は徳川家康のお顔をモデルに作られたといわれています。普段は非公開ですが、1月7日までのお正月と甲子祭の時はご尊顔を直接拝めます。
そしてご本尊は「生身釈迦如来(国重要文化財)」。「生身(しょうじん)」とは、生まれながらの身体をいい、人間の体内にある五臓が絹や錦の布で作られ、文書や経巻・宝玉と共に納められているもの。清凉寺式釈迦如来像です。
大圓寺の生身釈迦如来像には、白銅菊花双雀鏡(はくどうきっかそうじゃくきょう)と女性の髪の毛などが納められているそうですよ。
こちらのご本尊は珍しく本堂ではなく、その脇にある釈迦堂に納められています。釈迦堂は1988年(昭和63年)に現代建築工学の最新技術を駆使して耐震・耐火・耐水設備を整えた建物として建築。
貴重な仏像が被害にあわないよう、万全な対策が取られているというわけです。こちらも普段は非公開で、お正月の1月7日までと4月8日の花まつり、甲子祭だけ御開帳されます。
そして、大圓寺境内にある五百羅漢像。江戸を襲った大火で犠牲になった方々を弔うために造られ、納められたものです。
この羅漢像の中に実は、聖母マリアが赤ん坊を抱いたものがあるという噂。上の写真中央にそれらしい像があるのがわかりますでしょうか?
他の像と色合いや表情が違うので目立つのではないかと思います。
隠れキリシタンだった方を慰めるためだったのではないか、といわれているのですが本当のところは誰にもわかりません。
石造りと木造2体の弁財天をお祀りする「蟠龍寺」
5番目は山手通り沿いにある浄土宗のお寺「蟠龍寺(ばんりゅうじ)」です。こちらのお寺、名前に「龍」の字が入っており、本堂の天井に龍が描かれていました。
ご本尊は平安末期から鎌倉初期の作で寄木造りの阿弥陀如来像。東京都の重要文化財に指定されています。
お寺の門をくぐる際に、ガイドの井上さんから「皆さん、にんにくの入った食べ物を摂っていませんか? あるいはお酒を飲んでいませんか?」という問いかけがありました。
蟠龍寺入口には「不許辛肉酒入山門」と書かれた石碑(結界石)が建っています。
「不許辛肉酒入山門=しんにくしゅ、山門に入るを許さず」と読み、ニラやニンニクなどの匂いが強い野菜や肉などの生臭物、酒を飲んだものは山門に入ることを禁止するという意味なのだそう。
日本のお寺周辺には色街などが形成されるのが定番。飲んで酔って暴れて騒ぐ輩も多かったことでしょう。規律の厳しい浄土宗ならではの名残りとのことでした。
まず初めに洞窟の中にある石造岩屋弁財天にお参り。江戸中期から江戸城裏鬼門の鎮守として納められていると伝わっています。
そして、お正月1月7日まで開帳される辨天堂。昨年は直接拝むことができませんでしたが、今年は間に合いました。
そして、蟠龍寺といえば「おしろい地蔵」。浅草欣浄寺から遷座したもので、顔に痘痕(あばた)のある娘さんが願掛けしたところ、たちどころに治ったという故事があります。
江戸時代、おしろいに含まれていた鉛毒に悩む歌舞伎役者が、お地蔵様におしろいを塗り、願掛けしたといわれ、現在でもお参りする方が多いスポット。よく見るとお地蔵様の足、ペディキュアをされています。おしゃれ・・・。
皆さんも美肌祈願にいかがでしょうか。
恵比寿神をお祀りする「瀧泉寺」、目黒不動尊にも合わせてお参りしました
ラストは瀧泉寺の恵比寿神にお参りし、満願成就です。瀧泉寺は、関東最古の不動霊場であり、日本三大不動の一つに数えられる目黒不動尊としても有名ですね。
恵比寿神は、恵比寿・渋谷行きのバス停側の三福堂の中にお祀りされています。
三福堂の中には恵比寿神の他に弁財天・大国天も合祀。昨年訪れた時は三福堂の扉が閉まっていましたが、今回は開いていたので弁財天・大黒天とも直接拝観できました!
やはり、山手七福神めぐりは1月7日まで回らねばなりません。この後、目黒不動尊にもお詣りして帰りました。
昨年は1人で回っただけなので、表面的なことしかわかりませんでした。目黒区に詳しいガイドさんと一緒に回ることで、知らなかったトリビアや歴史について詳しく知ることができてとてもラッキーです。
こちらの記事で紹介しきれなかったこともたくさんあり、めぐろまち歩きボランティアガイドとともに回る目黒観光はかなりお得で勉強になることばかりです。
「めぐろ観光まちづくり協会」の会員になると、会員向けのツアーも定期的に開催されます。皆さんもぜひ、会員になってはいかがでしょうか。
実は、名誉会長はあの森田一義(タモリ)さんなんですよ。
■取材協力
【山手七福神めぐり概要】
覚林寺(かくりんじ)
住所:東京都港区白金台1-1-47
問合せ先:03-3441-9379
瑞聖寺(ずいしょうじ)
住所:東京都港区白金台3-2-19
問合せ先:03-3443-5525
妙圓寺(みょうえんじ)
住所:東京都港区白金台3-17-5
問合せ先:03-3441-3593
大圓寺(だいえんじ)
住所:東京都目黒区下目黒1-8-5
問合せ先:03-3491-2793
蟠竜寺(ばんりゅうじ)
住所:東京都目黒区下目黒3-4-4
問合せ先:03-3712-6559
瀧泉寺(目黒不動尊)
住所:東京都目黒区下目黒3-20-26
問合せ先:03-3712-7549